TinkerCADの「共同編集」は, 遠隔3Dモデリング講座で最強かもしれない
看護師向けのものづくりワークショップにスタッフとして参加しています。近日の状況を鑑みて急きょ遠隔開催となったのですが、ピンチはチャンスじゃないけれど、多くの発見がありました。デジタルファブリケーション系で遠隔WSを企画する人の助けになればと思い、記録しておきます。
TinkerCADの「共同編集」
ワークショップで使った「Tinker CAD」は、アカウントさえ登録すれば無料で使えるモデリングソフトです。ブラウザなのでダウンロードする必要もなく、UIも積み木みたいで分かりやすい。現状で初心者にオススメするなら、コレ一択でしょう。
ただでさえ使いやすいTinkerCADですが、オンライン講座では「共同編集」が大活躍しました。簡単に言えば、複数人が同じ画面でモデリングできる機能です。始め方も超簡単。
右上のメニューから「デザインにユーザを招待」をクリック。
「リンクをコピー」をクリックすると、クリップボードにアドレスが記録されます。それを「右クリック→コピー」なり「ctrl + V」で貼り付け、相手とアドレスを共有すれば完了です。
共同編集用のリンクをもらった相手は、それをクリックするだけ。するとあら不思議、人がモデリングしている空間にお邪魔でき、自分でモデルを追加することもできるのです。
ここからはぜひ体験してもらいたいのだけど、イメージとしては「自機が見えないゲームのマルチプレイ」みたいな感じ。チャット機能はないけれど、文字を3Dデータにして送り込めばコミュニケーションもとれます。
以下、共同編集+オンライン講座の良かったポイントです。
良い点1:リアルタイムで進捗を確認できる
受講者のモデリング進捗をリアルタイムで確認できます。順調であればそれで良し、停滞していれば声を掛ける。
物理空間を共にするWSでは、メンターが机を回ってPCを覗き込む光景がおなじみですが、今回の方式では一画面で完結します。かなり楽でしたし、人数が増えた時のチェック漏れも減るかもしれません。
良い点2:画面共有の手間が省ける
講師側で一括して画面を管理できます。教材を見せるときも、受講者の作品を紹介するときにも切り替え必要なし。受講者側で画面共有する手間がかからないため、ヒューマンエラーが起きにくい。
モデリングであろうがなかろうが、オンラインMTGでの画面共有ってトラブルの元じゃないですか。運営側で一元化できるのは地味ながら大きなメリットだと感じました。
良い点3:サポート時に操作を奪わない
モデリングのサポートをするたびに感じるジレンマ。それは「教える側」が「教わる側」の操作を奪ってしまうこと。
物理的にマウスなりキーボードなりを借りて操作せざるを得ないので、「教わる側」の達成感を損うような気がするのです。「教える側」が作ったモデルを残すにせよ消すにせよ変な感じだし、なかなかもどかしい問題でした。
ですが、共同編集だととても気が楽。「お邪魔しまーす」というノリでモデリング空間に入り、「教わる側」に見える状態で手本を作る。マウスもキーボードも操作可能なので、Step by Stepで追いつくこともできるでしょう。
「モデルをインポートをさせていただきますね〜」「これは透明にしちゃいますね」なんていう奇天烈なコメントが聞けたのも面白かったです。
遠隔・対面それぞれのメリットを生かそう
遠隔開催が決まってから2日ほどで「ZOOM + TinkerCAD共同編集 + Google Docsでのログ取り」という体制を構築。スタッフ内でのリハーサルを挟んだこともあり、なんとか無事に終えることができました。
この記事では遠隔講座でのメリットを挙げてきましたが、ささっとスケッチを描いたり、サイズ感をジェスチャーで伝えたりするときには、やはり対面の方が良いと感じました。3Dプリントした物のレビューなど、実空間がないと難しそうなことも多そうです。
当たり前ですが、遠隔にも対面にもそれぞれ長所と短所があります。参加者のスキルや世の中の状況、提供側のリソースを鑑みながら、適切に使い分けていけると良さそうです。
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Fab Nurse Project https://fabnurse.org/
主催:慶應義塾大学看護医療学部 宮川祥子研究室
スクリーンショット提供:吉岡純希 https://note.com/junky
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