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2022年振り返り、あるいは100本中のマイベスト

ヘッダーの写真は、8年前に作った自分のフィギュアの首が折れたところ。いったい何の暗示なんだ。

2022年もあと数日。今年はなんと言うか、あっという間に過ぎ去っていった感じがする。いわゆるフリーランスとしてスタートを切った昨年11月から、大きな休みも取らず(そもそも休むことが上手くないのだが)、まずは「相談されたら断らない」スタンスで色々なことをやってみた。

その結果、記名・無記名を併せて、おおよそ100本くらい記事を書いていたらしい。平均して2-3日に1本、そこそこボリュームのある文章をコンスタントに書き続けられたのは、シンプルによく頑張ったと褒めてあげたい。

付き合いのあるクライアントやメディアも増え、紙媒体やイベントの運営・広報など、やることの幅も広がった。収入的にも順増という感じで、もう泣く泣くSwitchのソフトを売らなくてもよくなった。諸々含めて、フリーランス1年目としては上出来な日々だったのではないだろうか。

以下、記事とあわせて、トピックごとに振り返り。

3Dプリント / 同人ハードウェア

あいも変わらず3Dプリンターを追いかけ続けているのだが、2022年は「3Dプリントしたアイテムが最終製品として売られる」ことが急に広まった印象がある。個人がオンラインストアで販売する事例は枚挙にいとまがないが、ハンズのような小売店のバイヤーにとって、彼らの情報発信がコロナで消えたリアルイベントの代替になっていることに時代の符合を感じた。

もちろん、作り手の技術が熟達してきたことも大きな理由だろう。京都の新工芸舎、東京の積彩といった具合に、各地でクオリティの高い3Dプリント品が生まれ、デジタルな加工や生産を前提とした新しい工芸品(民藝よろしく「電藝」とでも呼んでみたい)が世に広まっている。大型化・高速化といった機材自体の進化と並行して、枯れた技術にデザインエンジニアリングの血を流し込み、極限まで使いこなすことで生まれる価値には心を奪われる。

作ったプロダクトはオンラインや展示会で売られることもあれば、とてもローカルな結びつきさえ育んでいく。人の往来に開かれたアトリエ兼ショップで3Dプリンターを動かし、作って、売って、壊れれば直すような光景は、一周回って商売の原点に近いものなのかもしれない。

個人でつくったガジェットの生産を企業が肩代わりし、その売上をシェアする「モノの印税」のような概念も生まれている。委託販売、クラウドファンディング、サブスクなどなど、モノを取り巻くお金の流れが多様化し、ものづくりを生業に近づけるための環境は、急速に整い始めているようだ。


ローカル / 暮らしと工房

ほぼ完全にソロ&リモートワークになったことで、自分の生活と向き合う時間が増えた。ローカルを軸とする編集チーム Huuuu の方々との仕事を通じ、土地のことや暮らしのことを考え、感じ、言葉にする機会が増えた。社会人生活のスタートを切った御徒町の紹介(という皮を被った自己開示)エッセイは、多くの人に読んでもらえた嬉し恥ずかしなハイライト。

家が近いという理由(?)でアサインしてもらった、「すみだ向島EXPO」の紹介記事。おおよそ東京らしくない、濃密な歴史とキャラクターを持つ京島エリアには取材前後で何度も通い詰めた。生活と仕事だけじゃない、「街のこと」をするという観点は、今までの自分に全くなかったもの。その深みにどんどんはまった結果、次の引越し先になりましたとさ。

自分が得意なデジタルファブリケーションについて、ものづくりメインでないメディアで書かせてもらえるのは、惚れ込んだものを広く共有できる感じがして嬉しかった。このあたりから、土地と工房、ローカルとものづくりみたいなことへの関心がいっそう強くなる。

年末に発刊されたTURNS vol. 56 では、初めての雑誌仕事 × 大学同期の取材 × デジファブ × ローカル というこれまでの集大成みたいな記事を執筆。ライターとしてこれを言うのはどうなんだという気もするが、気持ちが乗りすぎてもはや良し悪しが判断できないくらいに向き合った。

編集者とカメラマンとデザイナーと、多くの人が一丸となって作り上げる雑誌というメディアの贅沢さと底力も感じ、関わらせてもらえたことに心底感謝。新卒で単身地方に移住し、町営のラボを経て自分の工房を営む友人のたくましさ、そこで培われる人間関係や暮らしの豊かさを目の当たりにして、「さぁ、お前はどうする?」と向き合うことにもなった。


編集 / イベント運営 / 電子工作レクチャー

ライターとしての仕事以外に、いくつかのメディアで記事の校正や編集も担当することに。人の文章に手を入れるのはこれまでと違う感覚が求められるので、引き続き向き合っていきたいところ。

3D関連で最もファンキーな企業、メルタの「第2回もじゃもじゃコンテスト」とその展示をサポートした。広報をするためには情報を集める必要があり、そのためには色々期限を決めて… とやっているうちに、若干プロマネ的な関わり方になっていった。審査員の方々含め、みんながいい人で本当に楽しく、メ芸への応募が叶わなかったことが悔やまれる。

Raspberry Pi を使ってロボット相撲をする(!?)、ヘボコン・アドバンスの参加者向けの映像講座に講師として参加。ラズパイ片手に焼き肉を投げるロボットを作るという白昼夢のような1日が忘れられない。

その他にも母校で授業を手伝ったり、Webサイトのディレクションをしたり、22本以上の短編インタビューを撮影編集したりと、いろいろなことをやっていた。どれもこれも、みなさんのおかげです。

頼まれごとと、頼まれていないこと

冒頭にも書いた通り、ぐっと仕事の幅が広がった1年だった。身近な人が取材対象だとめっちゃ力がこもるし、自分で興味を持って話を聞く機会も増え、これぞ!と言えるような原稿も何本かできた。スキル的な不足を感じた部分もあるので、引き続き驕らず頑張っていきます。

めきめきと働いた一方で、あまり自分のことに構ってやれなかった感覚もある。2023年は「頼まれていないこと」を意識的にやって、自己満足の度合いも高めていきたい。

それでは、良いお年を。

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