見出し画像

遠距離家族・序。

内々にとはいえ夫の転勤が本決まりになった頃、問題になったのは

父の単身赴任とその後の転校を子どもにいつ言うか

である。

夫が単身赴任でのワンオペ経験のある友人に相談したりあれこれ悩んだりした結果、赴任ひと月前、ということになった。

ちょうど正式な辞令が出たのもその頃である。

▼夫の転勤話が来たときの葛藤などはこちら。


子どもへの告知

夫と選んだのは、土曜の午後。コロナでだいぶ縮小された長女の運動会の日の昼過ぎだ。小規模とはいえ、毎日家で熱心にダンスを練習して披露してくれる長女を、本番前に動揺させたくなかった。

そして運動会当日。

学年ごとの開催のため人も少なく、家族揃ってベストポジションで見守ることができた。嬉しさと恥ずかしさ誇らしさで顔を輝かせていた長女は、その後の授業を終えて昼前に帰宅。

長女リクエストの冷やし中華を食べ終えて、リビングで腹ごなしに父娘でSwitchを楽しむ。

そんな絵に描いたような団欒の中、少し改まって夫が切り出した。「大事なお話があります」。

父の仕事が変わること。
新しい仕事場はすごく遠くて家から通えないこと。
次女にはいまの幼稚園で卒園まで過ごしてほしいこと。

だから、先に父だけで行くこと。
期間は2〜3年のことが多いこと。
卒園したら父の方で一緒に暮らすつもりなこと。
必ずいまの家や学校に戻ってくること。
別の土地で暮らす楽しさも経験してほしいこと。

娘たちは、話してる途中から涙をダバダバと流し、大泣きした。

いやだどうしてと荒れるかなと危惧していたけれど、娘たちはひたすらに打ちひしがれていた。咆哮まじりの嗚咽。泣きながら交互にティッシュを取りにウロウロウロウロ。

それでも、1時間くらいで落ち着いただろうか。予想よりだいぶ早かったのを覚えている。

期間限定であることがやはり大きく、こんなところだよと長女のタブレットで調べて見せたりしていると、新しい土地への興味も湧いてきたようだった。

ひとまず大きなハードルである子どもへの告知は無事完遂。

ひと息ついたのち、周囲への告知に着手した。

引っ越しだけであればギリギリまで隠しておいたと思う。けれど、子どもたちの、そして私のメンタルケアが必要なのはむしろ単身赴任中だと思った。

少々フライングの告知は、フォロー体制の強化が目的だ。

学校への告知

折しも小学校は面談期間。初めて会う先生の人となりもわからぬまま、実はと切り出した。

これこれこういう事情で精神的に不安定になる可能性があること、この日に話をするので以降少し注意して見守っていただきたいこと。

年度末の転校の意向も合わせて伝えた。

長女の学校は2年ごとにクラス替えがあり、担任も転任がない限りは2年続けて持つことが多いようだ。年度末の忙しい時期に事務手続きでお世話になるだろう先生には、せめて早めに心づもりをしておいてもらえればと考えたのだが、余計なお世話だったかもしれない。

幼稚園への告知

幼稚園は、送迎で毎日訪れてはいるがそうそう話し込む時間もないので、担任宛てに手紙を書いた。次女の場合、引っ越しは卒園のタイミングなので、お願いしたのは主にメンタルケアだ。

園の場合、速攻で先生方に共有されたようで、園長やら去年の担任やらからもこっそりお声掛けをいただいた。驚きつつもありがたかった。

ママ友への告知

学校と園への報告が済んだら、次なるターゲットはママ友たちである。

幸いなことに、上の子も下の子も同級生というママ友に恵まれており、よく遊ぶのもそのメンバーなので、まとめて報告させてもらった。会える人には直接、会えない人にはグループLINEで。

防犯上、積極的に周囲に単身赴任を知らせたくはないと思っている。でも、もし子どもが不安定になった時、悪影響を受ける可能性があるのは、特に仲が良いママ友の子どもたちだ。だからせめてママたちには知っておいてほしかった。

何かあったとき、ちょっとしたお願いができたら。そういう打算ももちろんある。

驚いて、悲しんで、励まして、快く協力を申し出てくれたママ友には感謝しかない。

おともだちへの告知

娘たちに告知したとき、できればお友達にはまだ黙っておこうね、と伝えていた。あまり気にせず過ごしてほしい、聞いたらどう接していいか困ってしまう子もいるだろうからと。

漏れたら漏れたで仕方ないと思っていたが、単身赴任スタートから1か月経ったいま現在でも誰にも言っていないようで、少し意外に思っている。

ママ友がそれぞれの子どもたちに知らせるタイミングは、各家庭の判断に任せた。口止めをお願いしようかとも思ったが、子の特性によって良いタイミングは違うかなと思ったからだ。

結果、早めに子どもに伝えたっぽいのは2家族だけ。動揺はしたみたいだが、ママたちが上手に戻ってくることを強調してくれたようで、切り替えて「手紙書くから!毎日書くから!!」と言ってくれていて頼もしい。

すぐ夏休みに入ったのも大きかったが、子どもたちからうわさが広まることも今のところない。

外堀を埋めた感想

告知に関しては、娘たちは思ったよりも落ち着いていて、思ったよりも前向きだったと言える。

もちろん、まだ実感がわいていないのも大きかったと思う。けれど、親の予想を良い意味で裏切ってくれたことに安堵したことは確かだ。

つづく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?