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ラウンドアバウト

小学1年生の夏休み、近所のあきちゃんがイギリスに引っ越した。まあるい眼鏡の小さな女の子。
しばらくして、引越し先のイギリスからのエアメールにドキドキしたのを覚えている。

元気ですか?
私の友達はキャロラインとセーラです。髪の毛の色は金色です。
ロンドンの学校は9月からはじまります。

近況や、友達のことが書かれていて、いかにも外国人の名前が書かれていたことに本当にイギリスの友達がいるんだなと、胸が高鳴った。

お母さんに買ってもらった床屋さんみたいなデザインのエアメールの封筒を手にして、なんだか少し大人になったようで得意気な気分だった。

それから宛名の書き方を教えてもらって、日本とは逆の書き方で、アルファベットで一生懸命に書いた。

返事がおそくなってごめんね。から始まる手紙。
また日本に帰ってきたら遊ぼうね。と締めくくった。


それから、文通をすることはなかったけれど、いつかのお祭りで行き合った。一時帰国してたみたいで少し話してまたねってバイバイした。のちに帰国したと風の噂で聞いたけど、もう会うことはなかった。

時は過ぎ高校2年生の春、学校のカリキュラムの一貫でイギリスにホームステイをすることになった。
ヒースロー空港からロンドンのホームステイ先まで向かう途中、すっかり忘れていたあきちゃんを思い出し、ロンドンの街並みにいるはずもないあきちゃんを探した。

ホームステイ先のお家には、老女が1人で暮らしていたが、他にもホームステイ仲間がドイツから来ていた。

よろしく!と握手をして自己紹介をしあった。

次の日からは語学学校に通うのにレンタルした自転車を走らせてロンドンの街を駆け抜けた。

途中、駅前のラウンドアバウトの進み方がわからず困った。車はどんどん来るし、自転車の人もどんどん行くけど大縄跳びに入るみたいにタイミングを失い、全然行けなくなってしまった。どんどん追い越されていくし、学校も遅れそうだし、正直、道だってわからない。不安そうに涙目になっている私に、現地の人が「どうしたの?」と声をかけてくれた。良かった〜ネイティブ英語聞き取れた〜


あきちゃんだった。
まさかこんなところで再開できるなんて…嘘みたいな本当のお話。

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