好きなものはやめられない

好きな食べ物ベスト3

桃の缶詰

プッチンプリン

ボンタンアメ

なんて安上がりな食べ物たち。

でもこれらはたまに無性に食べたくなる。

桃の缶詰は、昔、祖母がよくおやつに出してくれた。缶切りでふたを外してにゅっと姿を現す白桃はシロップでさらにつややかで、それを、ガラスの器に盛りつけると、きらきら輝く宝石さながら、一口大にフォークで切って大事に口に運ぶ。しかし、時々口に到達する前に床に落ちたりすると、ものすごく悔しくなったものだ。

次にプッチンプリン。これはいまだに、好きである。今は大小さまざまな大きさがある。よく買うのは三簾になったお買い得パックだ。数年前は娘と競って食べたが、娘たちはプッチンプリンから卒業した。

本来、プッチンプリンはお皿の上にプッチンと乗せることを前提に作られているのだが、私は容器の底に残るシロップが好きである。だから皿の上にプッチンしてしまうのは勿体ない。好きなものは最後まで置いておきたい。だから、キャラメル部分を最後にずっずずっと啜る幸せは誰にも譲れないのだ。

最後に。ボンタンアメ。普通のキャラメルとは違い、食べるたびに気持ちまでぼたんとなる。おまけに歯にくっつきやすい。

けれど、これを食べると電車の車窓から見える青い海を思う。田に植えられた稲を思う。

友達と青春18きっぷで旅をした。

キヨスクで買ったボンタンアメ。時間に左右されず、降りたいところで降りる。

そこは佐賀県の小さな駅だった。暑い日だったが、田んぼに生い茂る稲穂が風に揺れて心地よかった。最終目的地は長崎だった。が、青々と生い茂る稲穂につられてちょっと途中下車したくなった。

リュック一つで必要最低限の着替えだけ。キヨスクで買ったボンタンアメを食べながら少し歩く。

あ!

その瞬間,虫歯を治療し終えた歯が・・・・取れた。

めちゃくちゃ笑う友達…

歯のくっついたボンタンアメを夏空に放り投げた。ほんとはその歯を歯科に持っていくべきだっただろうが、

風に揺れる稲穂にどうでもよくなったのだ、

少しも痛みを感じなかったのは不思議である。

こうして長崎まで京都から二日かけてたどり着くと、長崎は雨だった。

前川清の眉間にしわ寄せ歌う声が聞こえてきそうだった。

性懲りもせず。ボンタンアメを食べつくした。

まったり甘いどこか懐かしい味は今も時々食べたくなる。

本場のちゃんぽんはうまかった。

旅から帰って歯医者に行くと、抜いてブリッジにやり替えられた。

あめはやめてと言われたが、好きなものは好きである。

思い立ったら、どこにでも行けてたあの頃。今の世の中を想像だにしてなかった。しかし、あの頃と変わらずある思い。

明日があるさ!

笑って生きてナチュラルキラー細胞を増やしましょうか…

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今はまだ修行中の身ですが、いつの日か本にしたいという夢を持っています。まだまだ未熟な文章ですがサポートして頂けたら嬉しいです。