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私になるまで37

手術までの1ヶ月。塗り絵に没頭した。何にも考えずにたくさんの色鉛筆を使い、ひたすら塗る。何かに集中してないと、「未知なる世界」が頭をよぎって不安になる。

そうしてるうちに手術へのカウントダウンが始まって、とうとう入院する三日前を迎えた。下の子は、中3で、まだ春休みだったので入院の3日前に京都の娘の部屋へ家族で大移動。狭い部屋に五人で

雑魚寝し、次の日には、京都市内に初めて出来たポケモンセンターへ家族で出かける。入院前に全く無謀なことをする家族。久しぶりの河原町を歩き懐かしさに心を馳せる。ポケモンセンターで小遣いをはたいて高いぬいぐるみをいくつも買う娘達に呆れる。が、「お母さんも買ってあげる。」と言われた途端嬉しくなり、フシギダネのぬいぐみを買ってもらった。それを連れて入院することにした。その後ご飯を食べて、バスと電車乗り継ぎ娘の部屋へ。その日の晩はぐったり疲れねた。翌日、大荷物の上にフシギダネを乗せて、両親と車で病院に向かう。高速を降りて、市内に入るとやはり迷ってしまった。ようやく病院に辿り付いて、受付を済ませ病棟まで案内される。受け持ち看護師から問診があり、その後この病院の リハビリ科の先生が現時点のADLを調べる。この病院は、急性期病院であるが、手術後からリハビリをするらしい。一通り調べた後、今度はSTの先生が話を聞きにきて、次の日ちょっと食べてるとこ見せてねって言われ、「手術したら詰まることがあるかも。」と言い残して行った。病室は前も言った通り、6人部屋、膝の手術をした人がほとんどだった。大阪のおばちゃんが集まるとかなりうるさい。とりあえず挨拶してその日のうちにまた両親は娘の家に帰って行った。

翌日は、手術の準備で多忙になった。午前中は、院内の理容室で頭を坊主にする。わざわざ理容室?っておもうが、バリカンで一通り丸坊主にした後、ご丁寧にカミソリでツルンツルンになるまで剃る。理容師さんは気の毒そうだったけど、こんなことがない限り、頭を丸めるなんてない。内心鏡の自分の姿にクスッと笑う。

その後採血とかct検査とか夕方まで続く。そのうち夕食になってSTの先生が食べてる様子を見に来て、頭をを随分動かしながら食べてる姿に、「ハローベストつけたら頭全然動かへんから詰まるよ。」と忠告される。が、今までこういう食べ方しかしてなかったので、頭を動かさずに食べてる様子が想像出来ずに戸惑った。両親は昼過ぎに娘たちを連れて来た。「わぁー可愛い!」と頭を撫でる。「ご利益ありあるよ。」と笑いながら言った。

そうしてるうちに、明日の段取りの説明をしに麻酔科の先生と看護師がくる。人口呼吸器装着してする手術のため危険性が大きいと言われ、少しビビった。が、ここまで来たらもうまな板の上の鯉にならざるを得ない。明日は8時から手術室に行く事になった。

また両親と娘達は京都の家に帰っていく。その晩は中々眠れなかった。

強がっていても不安に苛まれる。スマホでゆずを聴きながら、大丈夫。と心の中で暗示をかけた。

いつの間にか眠り手術とうじつがやってきた。


今はまだ修行中の身ですが、いつの日か本にしたいという夢を持っています。まだまだ未熟な文章ですがサポートして頂けたら嬉しいです。