『チャンドラー短編全集3 待っている』 作者:レイモンド・チャンドラー,(翻訳)稲葉 明雄
「一、二集がまずまずの売れ行きを示しているのだろうか。再度のおすすめで、引き続きチャンドラー傑作集の三、四集を編むことになった」
と、訳者あとがきにあるが、こちらとしては実に有難いことだ。お陰で魅力的な作品を更に多く拝めることになる。
レイモンド・チャンドラーには生涯で七作品しか長編作が無い。そしてその多くが幾つかの中編作を組み合わせて書かれており、プロットが多岐に亘り、複雑で分かり難い印象を読者に与えがちである。
本書にも、長編作「湖中の女」のベースの一つとなる「ベイ・シテ