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#読書感想文

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記事一覧

『ユービック』 作者: フィリップ・K・ディック

短篇『宇宙の死者』と同様の世界観を持った本作。つまり、人間が死後、或る程度の期間「半生状…

浅野 智
2週間前
1

『美しい星』 作者: 三島由紀夫

私が読む三島由紀夫の作品は、これで二冊目なので良くは存じていないながら、三島作品ではSF的…

浅野 智
1か月前
8

『夏への扉[新版]』 作者: ロバート・A・ハインライン

1956年に発表されたロバート・A・ハインラインによる古典的SF小説であり、代表作ともされてい…

浅野 智
2か月前
3

『白日』 作者: 北方謙三

私が初めて読んだ北方謙三の小説。今でこそ『三国志』や『水滸伝』などと言った『中国歴史小説…

浅野 智
2か月前
1

『マンガの描き方―似顔絵から長編まで』 作者: 手塚治虫

本誌は1977年初出のものを文庫化したもので、何故今更読んでみたのかと言うと、手塚治虫自体が…

浅野 智
2か月前
7

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』 作者: フィリップ・K・ディック

本作は、私が初めて読んだディックの小説だ。手にした動機は無論、映画『ブレードランナー』の…

浅野 智
3か月前
2

『火の鳥 太陽編(上中下)』 作者:手塚治虫

1986年から1988年にかけて小説雑誌の『野性時代』に連載された第12部は、作品として発表されたものとしては最後のエピソードで、実質的なシリーズ最終話となっている。 これまで各話毎に表現方法や作風、火の鳥の扱い方など様々な変化や工夫を凝らしてきているが、本作も特異な作りとなっている。 これまで『火の鳥』は、一作毎に過去と未来とに、交互に舞台を重ねながら少しずつ時代の振り幅が狭まっていっていくというスタイルを通してきた。だが本作に於いては、7世紀がメインではありながら、21世

『人間以前 ディック短篇傑作選』 作者: フィリップ・K・ディック

事情はよく知らないが、近年になって改めて連続刊行されたディック短篇傑作選も本書で6冊目。2…

浅野 智
4か月前
4

『火の鳥 宇宙・生命編』 作者:手塚治虫

『宇宙編』は第4部で、『ヤマト編』と『鳳凰編』の間に、『生命編』は第10部なので、『乱世編…

浅野 智
4か月前
7

『火の鳥 乱世編(上下)』 作者:手塚治虫

第9部は12世紀末、平安時代の終わり頃の時代を描く。 作中では『鳳凰編』の我王のその後も描か…

浅野 智
4か月前
4

『変数人間―ディック短篇傑作選』 作者: フィリップ・K・ディック

本書では、前半が短めでスッと読める短篇が続く。アイデア・ストーリーの達者なディックらしく…

浅野 智
5か月前
6

『火の鳥 望郷編』 作者:手塚治虫

第8部『望郷編』は、STUDIO4℃によって『火の鳥 エデンの宙(そら)』としてアニメ化され、202…

浅野 智
5か月前
9

『火の鳥 復活・羽衣編』 作者:手塚治虫

第6部は西暦2482年の未来を描く『復活編』。 エア・カーから一人の少年が墜落死した。内臓は破…

浅野 智
5か月前
7

『火の鳥 鳳凰編』 作者:手塚治虫

シリーズ第5部の『鳳凰編』は第2部以来になる長篇作であるが、火の鳥は長篇作の方が評価が高い様に思う。本作はその中でも特に人気があるのではないだろうか。個人的にもかなり面白い作品と思っている。 舞台は8世紀、奈良時代の日本。シリーズを通して重要な役割で登場している猿田が、本作では我王という悪党を演じている。 生まれたその日に事故により右目と左腕、そして父親を失い、母親は狂人と化した。そんな我王は村人たちに疎まれながら育ち、今や荒み切っていた。 15歳の時、争いごとから人を殺し