野鳥観察|こんなところにカンムリカイツブリ/鳥を通じて発見する街の中の自然
JRに乗って、自宅のある西神戸から大阪の東側へ。
奈良県に入る手前で降りるとそこは、生駒山が見える閑静な住宅街だ。
ここで月に一度、友達の会社の絵画クラブにお邪魔して油絵を描いている。
その日は早めに駅に着いた。
そんな日はだいたい駅のスタバかロッテリアに入ることが多いのだけど、天気も良かったし、近くを散策することにした。
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少し目線を上げれば遠くに山が見えると言っても、足元の道は綺麗に整備されている。剥き出しの土や草地や林道みたいな自然の余地はほとんどない。
駅のすぐそばを流れる寝屋川も両側をほぼ垂直なコンクリートで厚く固められ、川と歩道は高い塀で分断されている。機能的で無機質だ。こんなところには、さすがに何もいないだろうなー。
期待せずに川を覗くと、いた。
本当に野鳥はどこにでもいる。
まず目についたのは、4羽のオオバン。
真っ黒の体と白いくちばしが特徴的。潜水して水草を食べる鳥だ。
手前の方にカイツブリが1羽。
この小さな鳥も得意の潜水でエビや魚を捕らえて食べる。
水草を食べるオオバンや、小魚やエビを食べるカイツブリがいる。ということは、無機質に見えるこの川も、水の中には案外にぎやかな生態系があるのかもしれない。
向こう側にもう一羽、見慣れない白い影が浮かんでいた。
カンムリカイツブリだ。
この至近距離で見たのは初めてだった。
近くまで泳いできた。
葉っぱのような指の足が体の後方についていて、これを使って上手に潜ることができる。弁足といって、先に登場したオオバンやカイツブリもこの種の足を持っている。
カンムリカイツブリばかりに気を取られていたら、いつの間にかカメが浮かび上がっていた。
やっぱりこの川は生きている。
カートに子供たちを載せた保護者ご一行が背後を通りかかった。
「ほら、カモおるねえ」
カモはいない。
という鬱陶しい独り言はもちろん口に出さない。
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