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1.7追記【ご報告】名誉毀損「ちだい氏」に対する法的措置について【11/13仮処分決定】【9/16刑事告訴】

【2020.11.13 追記】ジャーナリストの「ちだい」こと「石渡智大」に対し東京地裁に投稿記事削除仮処分命令申立を行っていた件で令和2年11月13日、裁判所は当該記事を違法と認定し削除仮処分命令が発令されましたのでご報告いたします。引続き、民事(損害賠償請求訴訟)及び刑事責任追及も進行中でございますので、何卒よろしくお願いいたします。

追記箇所:「9.民事裁判する前に仮処分申立をしました」の「(5)ちだい氏の反論(加陽は公人!)」~

【追記】令和3年1月7日権利行使催告期間を経過したため供託金返還されました。

※※この記事では、私が全く見ず知らずの者に、虚偽の犯罪事実をネット上に掲載され、多大なる被害に遭い、刑事告訴及び投稿記事削除仮処分申立を行い裁判所より認められた経緯等をまとめた記事となります。私が嫌がらせをする目的で相手に資料やメロンを代引きで発注するよう企画した等、悪質な記事を掲載されました。インターネット上での悪質な投稿に困っている方のために、少しでも情報提供になればと思い、実体験に基づく情報をまとめました。刑事告訴までの流れや告訴状のひな型、仮処分申立書のひな型を無料で閲覧・ダウロードすることが可能です※※

 みなさん、こんにちは司法書士の加陽麻里布(カヨウマリノ)です。※一連の経緯をすべてまとめました。目次より気になったところをお読みいただければ幸いです。

(※2020年11月13日仮処分申立において勝訴したため仮処分に係る記事を追記更新しました)

0.はじめに

 私は、東京都内で司法書士事務所を営む者であります。司法書士として会社法人登記業務を中心に活動し、その他ユーチューブに動画投稿を行う等の活動をしています。令和1年12月23日、私が開設するユーチューブ動画のコメント欄、事務所メール、ツイッターアカウント等には「犯罪者」「ゴミ」「カス」「死ね」「早く逮捕されろ」「今年中にお前を殺害する(←さすがに犯罪です…)」等の大量の書込み・DMが送られました。突然の書込みに、大変驚き急いで確認したところ、まったく身に覚えのない虚偽の犯罪事実が「ちだい」と名乗る者のブログ(note)に掲載されていたのです。


1.虚偽投稿がされた具体的な経緯と原因

 その掲載内容は、記事(note)の投稿者自身が、以前から何者かによって勝手に資料等請求をされ、頼んでもいない企業のパンフレット等が自宅に大量に送付されたり代引きでメロンを送られる等の嫌がらせ被害にあっていたそうです。そしてこの事実を述べた上で「これまで大量に送りつけられているパンフレットの犯人が、明らかになります。」「この作戦を企画立案したのは司法書士の加陽麻里布さん」と掲載したのです。

 当然、わたしはこの記事投稿者である「ちだい」という人物とは会ったことも無ければ面識も関わりも一切ありません。急に、私を名指しして私が犯罪行為をしたのだと投稿をしたのです。投稿者曰く、私が犯人であると書かれた手紙が送られてきたとのことでありました(後述しますが本件記事投稿者は民事裁判上、真実相当性を証明することは出来ていません)。

 調べたところによるとこの人物は、当該記事を掲載する際、当事者に一切取材をしなかったジャーナリスト「石渡智大」という人物でした。

 私はSNSで情報発信を行うものではありますが、当然一般人であり、一経営者であります。公人でもなければ、どこかの政治団体に所属している者でもございません。本件投稿記事の投稿者に対して何らの利害関係も持たないものであります。

 ではなぜ私が標的になったのか。それは、私が経営する司法書士事務所のクライアント先が、本件記事投稿者が日ごろより敵愾心を抱く団体であるということが考えられます。しかし私はこの投稿記事内容に無関係であるためこのような事件に巻き込まれて本当に迷惑でしかありません。

 このようにして一切面識のない人物に事実無根の犯罪事実を掲載され、私はSNS上で多大なる被害にあいました。誹謗中傷はもちろんのこと、私が経営する司法書士事務所に嫌がらせ電話や殺害予告メールが届くまでにいたりました。内容はストレートに「今年中にお前を殺害する」という内容です。率直に怖いです。

 私は、絶対にこのような嫌がらせはしていないし、一切関与していないと主張し続けます。虚偽の犯罪事実を掲載されて、私がどれほどの思いでこの1年間、司法機関に訴え戦い続けてきたか、本当に怖くて悲しくて悔しくて言葉にならない気持ちでいっぱいでした。急に巻き込まれなぜ虚偽事実を一方的に掲載された私が金銭的にも精神的にも負担の生じる法的措置を講じざるを得ない状況に置かれるのか(後述しますが法的措置を講じたら更なる報復投稿を受けました)。こんな理不尽とは断固として戦う決意をしました。

2.警察へ相談

 虚偽事実が書かれた記事の公開により、公開日から嫌がらせ電話や事務所に殺害予告が届くようになり、自分の従業員や周りの多くの人に心配や恐怖を与えました。私の事務所には私の他、従業員が存在し、連日不審な電話への対応を余儀なくされ(これらの事実を陳述した陳述書提出済)責任者として、これを看過する訳にはいきませんでした。私は虚偽事実を掲載した投稿者に対し、刑事上の責任追及をすべく次の日の令和1年12月24日、自分の自宅近くの警察署である麴町警察署へ相談に行きました。

 しかしブログ自体はハンドルネームで運営されており記事投稿者の身元をハッキリと特定することが出来ないため、即日の刑事告訴状受理は難しく、刑事さんと相談の上、まずは投稿者を特定する作業から始めることとなりました。

3.加害者特定から刑事告訴状提出まで

 当該記事には、私以外にも多くの人物が登場し、それらの者は一方的に人格権を侵害されています。同時期に私以外の者が、加害者情報を掴みこの記事に対して、民事裁判を提訴いたしました。別で行われている民事裁判において、相手方が提出してきた令和2年6月29日付準備書面内にて、ブログを投稿したのは自身である旨の自白をしたため、この民事裁判の裁判記録より、投稿者(加害者)をハッキリと「客観的に」特定するに至りました。

 これを受け、私はすぐに麹町警察署の刑事課知能犯の担当刑事さんに取寄せた民事裁判の資料を提出いたしました。事件化することが可能か検察官にご相談いただき数日後事件化可能と回答いただいたため、刑事告訴状を提出する日程を刑事さんと決定しました。

 刑事告訴状の書き方やひな型等を丁寧に教えていただき、令和2年9月16日付で提出することとなり、同日無事に提出・受理されました。
 ご協力いただいた刑事さんのおかげで虚偽事実を掲載され続けることや誹謗中傷を受け続ける悔しさをほんの少しだけ紛らわすことが出来ました。刑事告訴状受理いただくまでに何度も警察署に通いました。電話でのやり取りは数え切れないほど。刑事告訴状は、その日にその場で提出することが出来るものではないため、根気強く警察署へは相談に通いましょう。

4.刑事告訴状提出からその後

 上述しましたとおり、令和2年9月16日麹町警察署へ刑事告訴状を提出後しました。今後は、私の供述調書を巻く流れとなりました。この先の捜査については進捗があり次第、公表可能な範囲でここへ追記していく予定となっております。

 また、名誉棄損罪で刑事告訴を行いたい方のために刑事告訴状のひな型を下記にアップロードいたします。

 告訴人・被告訴人の表示は「住所」「職業」「氏名」の順番で書いていただきたい旨等、細かなルールを刑事さんより教えていただき、何度も実際の受理に至るまでは、手直しをしました。上記ひな型は分量少な目ですが、事実をどんどん書き加えていくような形でつくります。最終的に私の告訴状は、それなりのボリュームとなりました。

5.刑事告訴状は即日受理されるものではない

 刑事告訴状は初めての相談ですぐに受理されるものではございません。私は本件虚偽の投稿記事が公開された次の日である令和1年12月24日に初めて社員と警察署へ相談に行きましたが、刑事告訴状が正式受理されたのは、令和2年9月16日でありました。ただ、初回相談の時点で自分が作った刑事告訴状は持参いたしました。

 刑事告訴状を受理した場合、捜査機関は捜査を行う必要性が生じるためその受理にはどうしても慎重になります。何が何でもその日のうちに受理させる方法を紹介するサイトがあったりしますが、間違ってもそんな強引なことはせず、刑事さんには事件の概要を時間をかけて説明するべきですし、事件解決には刑事さんとの信頼関係を築かなければならないと思ってます。

 私はこの事件に関しては言葉に出来ないほどの憤りを感じており、強い処罰感情をもっています。だからこそゆっくりと時間をかけて通い続け説明を続けました。初回相談から事件化までレールに乗るまでは、何度か電話をかけたりもしましたし、別件で展開されている民事裁判の資料が被告(記事投稿者)から届くたびに相手が供述している準備書面を貴重な証拠として警察へ届けに毎回いきました。

 刑事告訴を行う場合は、事前に所轄の警察署に相談をするなど連携を取りましょう。警察に相談いく際は、事実経過を時系列にまとめた資料を持参することが有効です。

6.刑事での名誉棄損処理状況(統計)

 名誉棄損は、民事名誉棄損と刑事名誉棄損の2つがございます。民事は不法行為の一種として、刑事は名誉棄損罪という犯罪として扱われることが一般的です。裁判例は、圧倒的に民事裁判が件数を締め、刑事裁判で判決まで至るケースはごくわずかでございます。検察統計によれば検察庁が処理した名誉棄損事件は897件であり、公判請求(正式裁判)まで進んでいるのは、年間わずか55件。罰金の略式命令を含めると200件くらいでありますがそれでもかなり少ないことが分かります。大半は刑事告訴状自体を受理していないことが分かります。受理している数は、897件でこれは、かなり絞った数だと思いますが、それでも立件率は2割程度。

 これを見てわかるとおり、基本的には、よほどでないと刑事事件化することは難しいということでございます。今回の刑事告訴状受理は、本当に心がほんの少しだけ救われました。

7.刑事告訴期間・時効期間について

 名誉毀損罪は、親告罪といって刑事告訴がなければ起訴することが出来ず、親告罪には告訴期間が定めらております。告訴期間は「犯人を知った日」から6か月であり、この期間を経過した場合刑事告訴をすることが出来なくなります(刑訴法235条)。

 ちなみにインターネット上に名誉毀損記事が公開されている場合は、それが削除されるまでは犯罪継続中(被害状態が続いている)と評価されます。犯罪継続中に告訴権者が犯人を知っても、その日を告訴期間の起算日とすることはできず、犯罪行為終了時が告訴期間の起算点となります(最決昭和45年12月17日)裁判例によれば、名誉毀損の犯罪行為終了時は、犯人が削除の申入れをした日と認定しています(大阪高判平成16年4月22日)。

 一方で、民事名誉棄損については、不法行為の一種として扱われることが一般的であり、その時効期間は、加害者を知った時から3年若しくは不法行為時から20年となります(民法724条)。

【民法724条】
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
(1)被害者又はその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき。
(2)不法行為の時から20年間行使しないとき。

 刑事名誉棄損と異なり民事名誉棄損については、ゆっくりと証拠固めを行い、準備することが可能です。

8.民事裁判提訴予定(情報発信は手軽になったが責任は軽くならない)

 今後も、1つ1つゆっくりと進めたいと考えています。刑事が終わりましたら、民事裁判で損害賠償請求訴訟がありますし、まだまだ先は長いです。

 また、記事を拡散・リツイートした匿名の者について、発信者情報の開示を命ずる決定が出ましたのでこちらも準備していく予定です。時間はかかりますが少しずつ進めます。何よりも法律の専門家としてこの1年間、権利侵害され続けた事実を看過することは致しません。

 また、Twitterを利用する方は改めて以下の事実を勉強していただきたいです。名誉棄損となる投稿をリツイートすることは違法です。少しでもリーガルマインドを持っている方であれば分かると思います。本件でも、リツイートだけでなく要点をまとめて投稿した人物についても発信者情報の開示を命ずる決定が出ています。

 リツイートというのは、自分の発言と言っても過言ではありません。現実世界で虚偽事実が書かれたビラを街中に貼って回れば名誉棄損が成立するのは誰でもわかる通りです。その虚偽事実を書いたのは自分ではないので貼った自分には責任ない!と言えると思いますか。

 リツイートは現実世界で虚偽事実が掲載されたビラを貼って回るのと同じ行為です。現実の世界か、ネットの世界かどうかの話でありこれらを別異に扱う必要性はどこにもありません。ぜひ有名な橋本徹さんの裁判例をご参照ください。

 また、ここに書くか悩みましたが当時、影響力のあるユーチューバーであった「えらてんさん」について私の今の想いを書きたいとおもいます。

 この虚偽の犯罪事実が掲載されたnote記事が公開されたときに、えらてんさんが動画にて取り上げたことにより、本来記事投稿者がもっているフォロワー数に基づく影響力以上の影響を与えインターネット上に瞬く間に拡散されました(いわゆるバズる)。

 私はすぐに、えらてんさんに、記事は虚偽であるため動画は撤回していただきたい旨と、もし真実というのであればそれを根拠づける証拠を出してほしいとお願いしました。しかしすぐには消していただけませんでした。

 ところが数日後、動画はひっそりと削除されていたことを確認しました。私はこの件について、影響力をもって拡散させた者の責任として一言の謝罪もなかったことは本当に残念に思っています。

 刑事さんと告訴状を作成する際には、動画拡散した「えらてんさん」についての責任追及や処罰感情を確認されました。私は、自分の知人の親しい人であったこと、お会いしたことないけどお話すれば話の分かる方であるとどこかで思っていたので、責任追及は望みませんでした。だからこそ一言の謝罪もなかったことは残念でした。ただもうこの方について今後言及するつもりはございません。

9.民事裁判する前に仮処分申立をしました

 インターネットやSNS、ツイッター上に投稿された誹謗中傷等、悪質な書き込みに対して法的に削除請求を行う場合、サイト運営者等に対して、侵害情報の削除を求めて投稿記事削除仮処分命令を裁判所に申し立てます。民事訴訟では時間がかかるため1、2カ月程で結果を得られる仮処分の手続を利用することが一般的です。

 私は、本件記事投稿者に対して令和2年10月6日、投稿記事削除仮処分命令申立を行いました。この申立てを行うかは本当に悩みました。というのも、本件投稿者は、別件で第三者に記事の真実性を巡り訴訟を提起された際に、自身のツイッターで訴訟提起された旨を報告し、その相手方を執拗に侮辱する投稿を繰り返している事実がありました。

 今回仮処分の申立てを行うことにより、私も同様に本件投稿者よりインターネット上で報復攻撃を受ける可能性があり、当該申立をすることには非常に躊躇しましたし今も恐怖を感じています。

 しかし本件記事は現在も不特定多数の者が閲覧できる状態で、本件記事が公開され続ける限りは、今もなお私の人格権は侵害され続ける現実があります。私は、本件投稿記事は、刑事事件での責任追及を行う過程で捜査機関からの要請により記事の削除が行われるものであると認識していましたが、そのような扱いはないことを知りましたのでこの度、仮処分の申立を行いました。

(1)投稿記事削除仮処分命令申立内容


 裁判所へ申立てた内容は下記のとおりです。申立書は下記のとおりとなります。

 ひな型は(6)よりダウンロード可能です。

(2)仮処分申立後の投稿者の反応

 仮処分申立を行うと裁判所より債務者(投稿者)に対して呼出状が送達されます。この呼出状の送達を受けて記事投稿者は、自身のツイッター上にさっそく「加陽麻里布が起こした投稿記事削除仮処分~」と私の実名を掲載した上で要約すると「この申立は自分の取材活動を妨害するため」と投稿を行いました。

 その後も、裁判所の審尋期日まで投稿者の挑発行為は、変わることなく「仮処分申立は宣伝目的」だの「取材妨害目的」だの繰返しそれだけでは満足できないのか、自らの配信で男性器を連呼し続け卑猥な発言を繰り返して侮辱発言は、エスカレートしていきました。なぜ、一方的に虚偽事実を掲載された側がこれほどまでに理不尽な目に遭わなければならないのか。本当に憤りを感じます。

(3)追加資料・提出証拠等

 裁判所へ提出した証拠の一覧は下記のとおりとなります。

 本件申立後も態度を改めるどころか、本件投稿に対する申立てに対して真摯に向き合う姿勢が一切見受けられなかったため、裁判官に債務者のこの態度を見ていただくため、侮辱的発言がある度に記録して裁判所へ提出しました。

 呼出状が届いた日「削除なんてしません」「弁護士に相談した」「弁護士に行ってもらう」等、発言がありましたが結局仮処分申立係属中に弁護士は就きませんでした。民事裁判でついてた弁護士はどうしたのでしょうか。

 令和2年10月14日に上記PDFの「証拠説明書(2)」に記載した追加証拠を裁判所へ提出し、同日債務者へ直送しました。追跡記録を確認したところ令和2年10月15日午前中配達されたようですが「ご不在のため持ち戻り」になっていました。

 結局この日投稿者は、追加資料を受け取りませんでした。投稿者は追加資料について「明日届くらしいんで楽しみに待つことにするが、そんなのワクワクして寝られへんがな。」と発言し、申立人を煽っていたにも関わらず結果、期日まで受け取りませんでした。

 最近では「この記事、儲からなかったから削除してもいい。」とまで言う始末でした。民事上の損害賠償請求訴訟においては、これ以上の証拠を積み上げ時期を見て行う予定です。

(4)双方審尋期日(ちだい氏は欠席)


 令和2年10月16日、双方審尋期日が行われました。先方は結局弁護士が就かず、書き込みを行った本人は出頭しないという暴挙にでました。

 前日に電話があり、書記官に対して本件に関係ないことまで散々文句を垂れていたそうです。審尋期日に債務者は欠席したため、私と裁判官の2人だけでおこなわれました。まずはじめに裁判官より心証言渡しがありました。

 書込み内容に違法性を認め、私が記載された箇所につき削除命令を発令する方向であることが伝えられました。また画像の削除命令もするため、私の提出した申立書の請求の趣旨を「債権者は別紙投稿記事目録記載の投稿記事の下線部分及び別紙写真目録記載の写真を仮に削除せよ」という文言に訂正するよう伝えられました。

 ちなみに債務者(投稿者=チダイ氏こと石渡智大)は、前日「答弁書」と題する書面に「申立を却下するとの裁判を求める。」とだけ書き具体的答弁及び証拠の提示も一切行ってきませんでした。

(5)ちだい氏の反論(加陽は公人!)

 期日を欠席したにも関わらず裁判所には電話をするようで、反論をしたいので待ってほしい旨の連絡があったそうで「欠席しているのにやっぱり反論したいから待ってはおかしいのでは」と裁判所に伝えたところ「敗訴者には十分な主張を尽くさせる必要があるのでご理解ください」と説明いただき納得し私は10月30日まで反論を待ちました。

 期限当日に、分厚いレターパックが届いて中身をみたところ先方の主張は大きくわけて4つありましたので紹介します。

①記事は有料だから債権者の権利を侵害する情報は流通されてない

 当然ですが記事が有料であることをもって侵害情報の流通が否定されることとはならないため主張は失当です…そんなこと言ったら週刊誌はすべて有料販売なので名誉棄損し放題という理屈になるでしょう。

 記事は現在も不特定多数の者が購入・閲覧可能な状態にあり、現に不特定多数の者の閲覧に供されています。この時点から、「おいおい…円滑な進行や議論がしたいので私や裁判所のためにも弁護士つけてくれ…」と思ってしまいましたが仕方ないので1つ1つ反論を出しました。

②加陽は足立区議会議員選挙に出ていた+裁判してるので公職の候補者

 先方は私が、足立区議会議員選挙に出馬していたことについて言及をしているが法律上の「公職の候補者」であったのは令和1年5月19日から令和1年5月26日まで。私は、落選しており、本件記事は令和1年5月26日より後の令和1年12月23日に公開されているため「公職の候補者に係る記事」ではないことは明らか。また告示日である令和1年5月19日から投票日の令和1年5月26日の7日間の選挙活動以外の活動(いわゆる政治活動)を、選挙前含め現在に至るまで、1度も行ったことはないので、現在に至るまで、解釈上の「公職の候補者」であるとする主張には無理がある。

 また、私は足立区議会議員選挙における裁判を今年7月まで行っていたが、私は公職に就いた状態を維持して裁判をしていたわけではないためこの係争期間までを「公人」であったと主張することも当然無理がある。

 仮に公職の候補者又は公人と評価し債務者がこれらの者に係る内容であったと主張するのであれば、それはその内容が真実であることの証明がなければ違法性は阻却されない。

 そもそも公職の候補者であっても公人であったとしても、同じ人格権を持つ人間である以上、虚偽事実の掲載を容認しなければならないことには当然ならないし、公職の候補者であることをもって虚偽事実の掲載を容認しなければならないことになるならば、それこそ「公職の候補者」に対する人権侵害である。選挙に立候補したことがあるという過去を持つ人間は、その後も人格権を侵害され続けなければならないのか。選挙期間は7日間であるがこの7日間によって人格権が侵害されることを容認しなければならないのであれば、立候補の自由と人権を侵害する重大な問題である。

③政党から仕事請け負っているので公人

 債務者は、司法書士として政党顧問を引き受けていることについても触れていたが、政党より依頼いただいた司法書士業務を遂行することを政治活動と評価し「公職の候補者」や「公人」と主張するのも当然無理がある。

 繰り返しになるが、もし公職の候補者に係る記事であることを主張するならばその内容は真実でなければならず、真実であることを証明する客観的証拠を示すことが出来ないのであるから本件記事が名誉棄損であることは明らかである。

④反論載せたので名誉棄損にならない

 ちだい氏は、私の反論を掲載したことをもって名誉権を棄損していないと主張するが、掲載後に追加で反論を載せたところで違法性が阻却されることには当然ならない。虚偽事実を掲載された身としては早々と反論をするのは当たり前の言動である。

 その他の主張は私以外の第三者の言動に言及したものばかりで論点ずらしも甚だしいものでした。現にちだい氏が提出した証拠はそのほとんどが私ではない、第三者の言動についてのものでした。第三者の言動を私の言動であると一緒くたにして裁判所に対する心証操作をする意図でしょうが、これらはいずれも私の言動ではない以上、考慮の余地がないのは明らかでした。

 ここでは、掲載記事(債権者が債務者に対して嫌がらせをするように企画立案したこと)の真実性を裏付ける客観的証拠の提示が求められている局面であるにも関わらずこれを示すことができないため、第三者の言動を持ち出したりと空中戦に逃げ込もうとしているとしか理解のしようがありません。

 仮に私の顧問先がちだい氏が対立関係にあったとしても、それは私の与り知らないことです。ちだい氏の主張は、極めて主観的であり結局のところ掲載記事の真実性を裏付ける客観的証拠は何一つ出せないものであることは明らかでした。公人だのと持論に付き合わされ大変ストレスを感じました。

 上記内容は当然準備書面内ですべて私の反論として提出し、裁判所より連絡があり「敗訴者には十分な主張を尽くさせる必要がある」ため、再度一週間先方の反論を待ち担保決定を待つこととなりました。

(6)担保決定(ちだい氏の主張は全て却下)

 上述のとおり、無駄な主張ばかりで「証拠」は一切出されなかったため、ちだい氏については「敗訴者には十分主張を尽くさせた」としその上で「いずれも心証は変わりません」ということで裁判所より削除命令が発令されることに決定しました。

 削除仮処分命令発令にあたり民事保全法第14条第1項に基づく担保決定がおこなわれ即日オンライン上で供託手続を済ませました。

 上記、供託書正本と発令用目録を裁判所へ差し入れ翌日11月13日に決定書正本の交付となりました。

※担保取戻しについては、この後削除を確認したら保全取下をし「権利行使催告による担保取消決定申立書」を提出し手続きとります。チダイ氏へ「この削除により損害を被ったと考えるのであれば、一定期間内に私に対して訴訟を提訴せよ。提訴しないのであれば、担保取戻しに同意したものとみなす。」とする旨の通知をするのです。先方より提訴があれば応訴しますが、おそらくないので私から提訴することになると思います。

令和3年1月6日裁判所より連絡があり、ちだい氏は権利行使をしなかったため供託原因は消滅しましたと連絡がありました。これによって私の積んだ担保(供託金30万円)は返還されることとなりました。

上記が供託原因消滅証明書です。これを法務局に提出して供託金が戻ってきます。記事については、これだけ法的手続が進行しても訂正も謝罪もなし。裁判所から訴える機会をもらうが訴えるわけでもない。しかし影では、妨害された~とか一方的に投稿を続ける。一体何なんでしょうね。正直行動が陰湿で「気持ち悪い」です。

(7)投稿記事削除仮処分命令発令

 記事の違法性が認められ裁判所よりチダイ氏へ、削除仮処分命令が発令されました。決定正本は下記のとおり。

  私の名前が掲載されている箇所及びその写真について削除仮処分命令

 余談ですが、ネット上では専門家から素人まで仮処分手続についてオリジナルの意見が飛び交っています。「仮処分」を字のまま法的効果も「仮」の処分と勘違いしている方が散見されます。まず「削除」というのは表現の自由に対する抑制となるものである以上、厳格な「違法性」が求められます。この削除申立は対立する表現利益との比較衡量した上で違法性が認められたときに発令されます。

 またその削除範囲は、表現の自由に対する観点から当該投稿記事の中の違法な部分に限り削除命令(差止請求)が認められることが本来の形です。削除仮処分はとてもハードルの高い手続きです(通常名誉棄損の民事裁判では損害賠償は認められても謝罪広告や削除が認められるケースは稀です)。

(8)削除命令発令後5日経っても削除がないため間接強制申立をいたしました

 発令後、チダイ氏は虚偽の犯罪事実を掲載した本件記事を削除する必要があります。しかし、呼出状が届いた日には絶対に削除しない旨の発言をしていたため、削除しなかった場合に備え、間接強制(削除するまで、裁判所が命じた金額を支払わせることができる)執行の申立て準備も同時にしました。

※※間接強制申立にあたっての注意※※

 この間接強制を申し立てるためには債権者が決定を受け取った日から2週間以内に行う必要がございます。相手が意図的に特別送達を受け取らず、送達完了をまっていたら2週間経過してしまい申立の権利が無くなってしまうということがないよう気を付けてください。

 令和2年11月19日16時現在、裁判所の決定が出たにも関わらず削除がされていないことを確認したため間接強制の申立を行いました(事件番号令和2年(ヲ)第80107号)。しかし報告をしたところわずか10分程で該当箇所につき削除が行われたそうですが、削除までに間接強制申立にまで至ったことは悪質な事実として今後の裁判上の主張にも記載を行ってまいります。

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 また、この裁判所の削除命令決定正本は別件の民事裁判で重要な証拠となりえること、現在行っている刑事告訴においても重要な参考資料となりえるため決定正本の写しを刑事さんへお渡ししました。

(9)間接強制申立取下及び保全取下(供託取戻手続)

無事削除されたため間接強制の申立を取り下げました。また、目的達成したため保全取下を完了させました。

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次いで権利催告(損害受けたと主張するなら一定の期限内に本案訴訟しなさい、しなければ担保は返しますという旨の催告)申立、供託原因消滅証明書交付請求書等を提出しました。

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一定の期間は、2ヶ月となります。しっかりと担保は回収します。ここまでにかかった印紙代や郵送費用、交通費含めた実費についてもこれから起こす損害賠償請求訴訟の中にいれて一緒に審理していただき回収します。

(10)投稿記事削除仮処分命令申立書のひな型

 もし悪質な投稿に困っている方がいらっしゃいましたら、申立書のひな型を下記よりダウンロード可能ですので、お使いください。今回は投稿者(債務者)がどこの誰であるか判明していたパターンでしたので投稿者本人に直接申立てを行いましたが通常は投稿者(債務者)が誰であるか分からないことが多いです。その場合はその投稿がされたプラットフォームを運営する会社を相手に申立てを行います。

10.別件で行われている民事裁判【必見】


 今回投稿された虚偽の犯罪事実が掲載された記事の中には、私以外に複数人が名指しで掲載されています。その登場人物のうちの1名が、名誉棄損であるとして本件記事投稿者に対して民事裁判を提訴いたしました。民事裁判を提訴した方よりご協力いただきその裁判資料の提供をしていただきました。概要を下記にまとめます。※登場する関係者氏名名称等は掲載せず内容はそこに書かれた内容を一部抜粋したものとなります。被告(投稿者)側の主張に対する原告側の反論(準備書面)内容も解説として抜粋して掲載いたします。

(1)先方の主張(記事は被告の想像であり真実とは言っていない旨の主張を展開)

 本件記事の投稿者はインターネット上で真実である証拠を持っている旨を主張していましたので、その証拠が裁判上提出されるのかと思いきや(当然そんなもの存在するはずがないが)、先方から提出された準備書面(令和2年6月28日付)によれば、下記のとおりでありました。

 被告(記事投稿者)の裁判上での主張は大きくわけて2点ありました。1つ目の被告(投稿者)の驚くべき主張は下記のとおり。

①本件記述は仮定の記述であり被告(投稿者)の憶測であること
 「この手紙が真実だとすると」と留保をつけて、読者へ手紙の内容及び被告(投稿者)が記載することが事実ではないことを注意喚起してから、本件記述がされている。
 また、本件記事では、被告のもとに届いた手紙の写真及び前文の内容を紹介しており、それを受け「この手紙が真実だとすると」と留保をつけて、読者へ手紙の内容及び被告が記載することが事実ではないことを注意喚起してから、本記述がなされている。
 それゆえ、本件記述中にある「組織犯罪」との表現は本件手紙を真実だと仮定し、それを前提にしたうえでの被告の憶測を述べているに過ぎない。

 皆様はこれをみてどう思いますか。こうした主張に至るともはや何を意味するのか善解することも困難です。インターネット上では真実であるかのよう主張して、証拠があるかの如く投稿を続けていた投稿者が、裁判上では憶測だから名誉棄損ではない!と主張展開をしています。この投稿内容が、真実であると信じてツイート、拡散した人は、発信者情報開示請求の対象となり、現に令和2年10月14日付で開示決定も出されています。一般読者を煽って巻き込み最後は自分は憶測を書いただけだから知らない。とでもいうのでしょうか。

 仮に、この投稿者の主張通り、虚偽の事実を虚偽の事実として「注意喚起」して記事にした。というのであればこの記事は一体何を目的に作成された記事になるのでしょうか。
 しかも「この手紙が真実だとすると」という表現が使用されたあと「この手紙が真実」であるかどうかを留保するような表現は一切見当たらず、文章全体の構造上も、留保など形式的なもので何ら「注意喚起」になり得ていないことは当然であります。

 のみならず「あとはチョロチョロっと指を動かすだけ犯人は逮捕に至ります」という表現は、本件手紙が、真実であるかという留保を付すことなく、被告(投稿者)の言動のみで「犯人」が「逮捕」されるというのだから、読者としては当然に真実であることを前提に読む以外にはありません。

 次に投稿者の2つ目の主張を下記に掲載します。

②真実相当性について
本件手紙の内容が被告又は送付物を郵送している関係者しか知り得ないこと
(1)被告への送付物が増大された時期が記載されていること
被告への送付物が増加した時期を本件手紙の作成者は知っているため、被告又は送付物を郵送している関係者しか知り得ない情報であある。したがって被告が、本件手紙の内容が真実であることを信じた相当な理由があることを裏付ける
(2)被告に実際に届いたものが記載されていること
パンフレットだけでなく、メロンも郵送されていることを手紙の作成者は知っている。メロンが郵送されたことも被告や送付者しか知り得ないことであるから、被告は、本件手紙の内容を真実だと信じたのである。
(3)本件手紙が具体的で迫真性に富んでいること
関係者でない者が、関係者の台詞を作り話として考えることや、政党に関わっている人名を沢山挙げることは不可能である。被告が本件手紙を信じることにつき相当の理由があることを裏付ける。

 先の主張では、あくまで仮定的な記事としながら、次に真実相当性(真実だと思っていることが前提です。)が認められるなどと主張しているのですから、とんでもなく矛盾した発言ですが…。それは一応置いておいて…。

 投稿者は、上記のように手紙を信じた理由を3点あげました。いずれも記載されている内容のみからの判断に過ぎず客観的状況による裏付け等が示されているわけではないのだから十分な証拠とはなりません。(1)と(2)で挙げた内容は、被告(投稿者)個人に関する情報のみで客観的には確認することが出来ないのだから何ら真実相当性を根拠づける事情にはなり得ません。

 (3)の「本件手紙が具体的で迫真性に富んでいること」などという事情も真実相当性の問題においては、本件取材等を実施して裏付けを取るべきことが要請されているにもかかわらず、そうした具体的、客観的な根拠を示すことができないがために、空中戦に逃げ込もうとしている(逃げられるものではないが)だけとしか理解のしようがありません。

 当然のことながら手紙を誰が作成したのかも全く明らかにされることもなく、被告(投稿者)が原告に常に敵愾心を持っていたことなどからすれば、被告(投稿者)自身の自作自演であると想像することもあながち穿った見方とは言えません。

(2)記事を裏付ける証拠の提出は無かった

 上述のとおり、少なくても現時点(令和2年10月16日現在)において被告(投稿者)は真実性について主張しているわけではないのであるから現時点で、真実性を根拠づける客観的な証拠が被告(投稿者)の手元に存在しないことは明らかであります。

 当然のことながら真実相当性の要件については、被告(投稿者)が個人的に信用したというだけでは足りず、真実と信じるだけの客観的根拠が明らかにされなければならないが、何ら真実だと信じるべき客観的な事情は明らかにされておらず、主張自体が矛盾していることからも含めれば、主張自体が失当であるという他ありません。

(3)民事裁判の行方

 判決・進捗あり次第更新します。

(4)投稿記事を信じてツイート・拡散した人物について発信者情報開示決定

 上述しましたが、債務者が投稿した本件記事を真実と信じてツイッター上で拡散した者について、発信者情報の開示を命ずる判決が言い渡されました。

【決定正本_東京地方裁判所民事9部】

 投稿者自身は、一般読者を巻き込んでいることについて何か思うところはないのでしょうか。

11.おわりに


 本件投稿者は、憲法上保障される「表現の自由」の名のもとに他人の名誉を棄損し続けました。自由には責任が伴うこと。そして他人の名誉よりも表現の自由を優先すべき場面は、対立する公共の利害にかかわるときだけであると極めて限られております。たとえば「公務員の収賄や議院、政治家などの過去の逮捕歴・前科に関する情報」などです。こうした情報は、国民が適切に政治的な意思決定をするためにも必要です。

 しかし本件記事投稿者は専ら収益を得る目的で、読者に有料記事を購入させるため長期に渡り、私に関する話題をでっちあげ続け権利侵害を続けました。

 確かに、私は国政政党から司法書士業務の依頼を受けたことはありますが、国政政党から仕事を請け負ったことがあるという一事を以て、請負人(債権者)の振る舞いに関する記事に公益性が認められることにはなりません(そもそも虚偽ですが)。国政政党や公的機関から仕事を受けたというだけで仕事を受けた人間が公人とされたら怖くて誰も仕事を受けることは出来ません。そもそも「虚偽の犯罪事実」に表現価値はありません。

 私は、独立して司法書士事務所を営む者であり、政党関係者でもなければ、公人でもなく、私に対する記事について高度の公共性・公益性は認められません。最も、同じ人格権を持った人間である以上は、仮に私が政党関係者であったとしても、私が虚偽の犯罪事実の掲載を容認すべき理由とはなりません。

 これは本裁判(民事損害賠償請求訴訟)でも主張しますが、そもそも報酬を得ることを主たる目的としたサイトは専ら公益を図る目的によるものとは言えないと判断された裁判例があるため(東京地判平27.7.13)どの観点からも公益性が認められるものとはなりません。最も削除仮処分申立には公益性がないことを主張する必要はないため公益性検証はここでは割愛します。

 また、「真相追及する」と謳っている以上は、相手に対しては取材をするべきであり事実確認も一切されないまま記事にされ、世の中から受けた誹謗中傷には非常に心を痛めました。近年インターネット上での誹謗中傷問題は社会問題となっております。ネット上に、でたらめを書き込まれた方は、その名誉の回復が非常に厳しく長期にわたり理不尽に誹謗中傷を受け続けます。

 情報発信を行う人間のリテラシーの低さには、非常に憤りを感じています。少しでも悪質な投稿に悩まれている方の参考になればと思いまとめ記事を作成いたしました。

 最後に、私は日頃、会社法人登記業務を中心に活動し同時に毎日YouTubeで情報発信をおこなっております。自身の専門分野である法人・企業に関する情報や、経済のこと等時事ネタを中心に毎日更新していますのでぜひ、チャンネル登録おねがいします。

  それでは、みなさま、また別の記事でお会いしましょう。

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