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食べたいものを買わない生活: オーガニック野菜の定期便

私たちが栃木県の那須塩原に移住してからしばらくして、町のマルシェでオーガニック農家さんに出会いました。私と夫と年齢がそこまで変わらない男の方が、ご夫婦で有機農業をやっていて、その野菜を定期便で自ら届けているとのこと。
オーガニック野菜も、野菜の定期便も考えていなかった私たちですが、その方が「どうぞ試食してみてください」と勧めてくれた、その農家の方が育てた大根で作った切り干し大根がとても甘くて美味しい!普段切り干し大根を食べない息子もバクバク「美味しい美味しい」と頬張っているのを見て、夫を説得し、その有機野菜の定期便に申し込みました。
それから三ヶ月くらいがたち、毎週(たまにお野菜が余ってしまったときはスキップのお願いをしながら)農家の方自らが、我が家の玄関まで大きな段ボール箱いっぱいのお野菜を届けてくれる生活になりました。お野菜と一緒に農家の方が作ったお便りも届きます。お便りには農園の最近の様子、入れてくれた野菜のリスト、そしてこうやって今回のお野菜を食べると美味しいですよーというレシピが書かれています。
今回はこういう農家の方から直接届けてくれる野菜定期便で生活するようになって感じてきたことをシェアしたいと思います。

食べたいものを買わないということ

今までの私たちの生活は、「今度これを食べたいよね」という自分たちの計画のもと、スーパーに行ってそれに必要な野菜を買う毎日でした。日本のスーパーは季節に関係なく、欲しいと思うものは大体何でも揃っています。自分たちの欲求を解消する手段としての野菜があったとも言えるかもしれません。
一方、有機野菜の定期便になってからは、農家の方の畑で採れるその時々の「旬の野菜」が届くようになりました。自分たちがその時食べたい、欲しいと思ってたかに関わらずです。例えばレタスが1ヶ月連続で届いたり、(夫が苦手な)ネギが連続で届いたり。自分たちでは買おうと思ったことがないビーツが入ってたり。
食べたいものを買わない、その時々に採れる野菜を食べるようになって、自然の一部に戻ってきたように感じます。季節によって採れる野菜は違って、その時の天気や畑の状況にあった、まさに自然の恵を、私たちがたまたま頂いている。お金さえ出せば好きな野菜をいつでも買える生活で忘れてしまった感覚を取り戻した気がします。

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猪が食べるのか、人間が食べるのか

今まで、野菜をスーパーで買う時は、自分たちがその野菜にありつけるのが当たり前のように思っていました。不作だったという時にちょっと値段が高くなるのは仕方ないな、程度にしか考えていなかったのが事実です。
一方、有機野菜の定期便を頼み始め、ー農家の方のニュースレターに何回か「一生懸命育てていた野菜が、猪に食べられてしまいました・・・!!」という報告や、「今年こそは猪対策をして、しっかりこの野菜を皆様に届けたいです!」とありました。そういう報告を見て初めて、あー野菜は人間のためだけにあるのではなく、他の動物も欲しいもので、たまたま私たち人間が他の動物の代わりにありつけているだけなんだ、という当たり前のことに気づきました。
自然の土の中で太陽の光を受けて種から芽を出して、育っていく野菜に「人間用」「猪用」なんていうラベルが付いているわけではない。私たちが野菜を食べることが出来るのは、猪から守ための工夫が出来る能力がたまたまあったり、たまたまその工夫が効果を出しただけ、という偶然の結果なんだなということをひしと感じます。
猪より先に人間に野菜を届けようと苦労している農家の方のお話しを聞くことで、今まで何も考えずに言っていた「いただきます」の意味を改めて考えるようになりました。

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食べることに真剣に向きあう

美味しい有機野菜を作ってくれた農家の方の顔がわかるからこそ、お野菜を無駄にせず美味しく食べたいな、と思うようになり、結果として一日に三回ある食べるということに今までよりも真剣に向き合うようになりました。
薬を飲むとかいうと、「これに悪いものは含まれてないかな」「副作用がないかな」と改めて考えることも多い一方、一日に三回もある、自分の身体に外部から何か異物を入れるという行為に対して、皆も当たり前にやっていること、というのが前提にあるのか、今までは食べる行為にそこまで意識的になっていなかった自分がいました。
有機野菜の定期便を食べるようになり、自分の身体の中に何かを取り込んでいくという人生でずっと続いていくかなりの時間を占める行為に対して、その時間を心から楽しめたら人生が豊かになるなと思うようになりました。また自分の体に取り入れることにしっかり向き合うことは自分や自然、世界に向き合うことにもなるなと思い始めてます。
最近はアーツ前橋の「Foodscape: we are what we eat」という本を読んで、またこの食べることについての新しい見方を学んでいます。

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地方移住して、たまたま訪れたマルシェで、偶然出会った有機野菜農家さん。その方との出会いで、私は世界が広がっています。なんだか人生って面白いです。そんなことより、美味しいお野菜が食べれたり、ワクワクして料理が出来たり、そんな風に日常がちょっと今までよりカラフルになっていることだけでも、十分とっても幸せです。


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コロナでほぼフルリモートになったのをきっかけに東京から栃木の那須に地方移住。地方移住で感じたこと、日常のちょっとした幸せなこと、たまに働くことについて語ります。 アクティブ・コネクター株式会社CEO&Founder 二児(息子3歳、娘1歳)の母