見出し画像

365歩のマーチと、世代間交流 episode2

幸せは歩いてこない だから歩いていくんだね
一日一歩 三日で三歩
三歩進んで二歩下がる

そして、始まった地域の保育園交流。
打ち合わせを重ね、まずはお散歩がてら老人ホームへ来て頂き、子ども達から歌や踊りを披露してもらいました。
一生懸命踊ったり恥ずかしがったりする子どもの様子に介護職には作れない笑顔をたくさんこぼす高齢者たち。
会の終わりには握手をして、子どもたちは照れながらたどたどしくも挨拶を交わしていました。

また、近くの小学校の校庭で行われた保育園の運動会。普段中々外に出られない寝たきり生活の方をお連れして、見に行きました。
園長先生が気を利かせてくださり、パン食い競走に車椅子に乗って参加することになったおじいちゃん。
そうすると子どもたちから「あ!〇〇(ホーム名)さんだ!がんばれーー!がんばれー!」と自然とわきあがる歓声に、おじいちゃんは「おぉー!」と拳を上げこたえてくれました。
普段の生活では睡眠時間のほうが長く、当日も行けるかどうかの心配は、あたたかな感動に変わりました。


そして、私は現在念願の老人ホームと学童クラブ併設の場で社会福祉士の資格を使って働いています。
が、このコロナ禍での交流。という、まさに三歩進んだと思ったものが、二歩下がるかのような状況。
老人ホームは家族の面会制限等、学童でも近隣の公園へ出掛けることさえ今まで通り出来なくなり、せっかくの併設の強みも中々活かせません。
そんな目の前の対応に追われる中で、まず出来ること。

それは、オンラインでの交流でした。
画面越しに一緒に体操をしたり、子ども達からのインタビューをしたり。
インタビューでは聞いてみたいことを自分たちで考え「子どもの頃好きだった本はありますか?」と質問すると、一人のおじいちゃんが答えた本の名前に他のおばあちゃん達も盛り上がったり、そして「へぇー!」と目を丸くする子どもたち。
最後に、練習した「365歩のマーチ」を一緒に歌いました。世代を超えて愛される音楽の力。とても大きな声で楽しそうに歌っている子どもたちを見て、綻んだ笑顔のおじいちゃん、おばあちゃん達。

そうして終えた交流会の後日談。
新学期が始まり学校のお迎え中、子ども達に交流会の話題を振ると、「幸せは〜♫」と歌い出し先頭列車を代わるがわる楽しんでは弾む笑い声。
昔は男子は黒、女子は赤と決まっていたランドセルも、時代と共にカラフルに。
時折、「帰りたくない!」と泣いてしまったりする一対一の時間が必要な子も、学童に着いて
「あぁー!すっごい楽しかった!!」と一言。

きっかけは交流会の為に覚えた曲が、小さな日常の一コマになった出来事でした。


世代間交流がもたらすもの

老人ホームで生活をする高齢者にとって子どもたちの存在は、きらきらと眩しい光のような存在。
そして子どもたちにとっては、言葉を交わし、ふれあいを通して、自分とはちがう人がいることを感じ、どんな風に接したらいいのかを肌で感じ、考える経験。 


昔と今の架け橋を経て、そこから生まれる温かい物語。
そんな風に、ささやかな物語が増えて、子どもたちの未来に福祉や介護があたりまえになったらいいな、と思います。

さらには高齢者にとって役割を見出す機会になって、認知症ケアや生きがいにつなげていけたら。
それを子ども達に伝えていけたら。


そんな想いを絵に込めて。

画像1

あなたの付けた足跡にゃ、綺麗な花が咲くでしょう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?