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思春期と夜の散歩


厄介な性格

長男は5年生。結構厄介度の高い口達者なツンデレ。思春期。口も悪い。
中受奮闘中で、文句を垂れながら、逃げ出しながらギリギリ勉強してる。
振り返ると小学校入学してすぐに、学童に行かずに3駅先まで勝手に遠足して警察を呼ばれたことや、今日もまさに学校の授業を勝手に早退してしまい、先生に捜索してもらったり。
宿題をほぼやったことがなくて、授業もほぼ受けていない(長男の学校は公立なのだが、非常にオープンで、クラスに扉がない構造。授業中、教室の枠にいなくても先生の目に届く場所にいるという妥協案が提案され、なんとか見守られてきた)。
通知表は、授業にほぼ参加してないから「もう少し」オンパレード。
実は、とても社交的で面倒見が良くて、街を歩くと知り合いが沢山いる人。
決して悪口は言わず、友達を「すごく尊敬できるんだ」と素直に認める人。
弟が大好きで、弟の写真を自分のキッズケータイの待ち受けにする人。

塾の帰り道

でも成長と共に、自分が他の人と違う行動をすることに悩んで、苦しんでしまっていた。
塾の帰り道、二人で夜道をゆっくり歩いて話したら、気持ちが爆発した。
「普通になりたい」「変に見られたくない」「出来ないのが嫌だ」
「でも、授業を受けたいと思わないから受けたくないんだ」
「勉強はしたくないけど、行きたい学校はあるんだ」
「遊んでたいけど、いつか働かないといけないのはわかってる、でも遊びたいんだ」
だったら授業を受ければいいじゃん、とりあえず今はサピックス頑張れよ、と言いたくなる親心。
今日はぐっとこらえてこう言ってみた。
「私は、授業受けたらいいだけじゃんって思うけど、それが出来ないから悩んでるんだよね?」
すると、生意気な長男が急にポロポロと大粒の涙がこぼれた。
「そうだよ、あーちゃん(私)は出来るからわからないんだよ」
「俺は、やりたくても出来ないんだよ!」

弱い私

私も旦那も、学級委員タイプだった。だから、彼が出来なくても怒りはしないものの、「ちゃんとやったらできるはず」と思ってかなり合理的なアドバイスをしてきてしまっていた。
でもそれは、時に「勝者の言葉」に聞こえ、彼を苦しめていたのかもしれない。
こんなに一緒にいるのに、わからなすぎる自分は本当にバカだなあ。
でも長男は、そんな私に今日もアドバイスを求めてくれる。
「どうしたら協調できると思う?協調って大変?難しい?俺、大変かなあ?」
私は彼を変えたいわけではない。でも明日に向けて何か言ってあげたい。
何も言う言葉が見つからなくて、素直に自分の弱さを伝えた。
「君はきっと私よりも強いよ。わかる?だって私は君と違って、そこそ上手くこなせてきちゃったかもしれないから。私は、悩んでいる人がいても、良いアドバイスなんてできないかもしれない人間だと思う。」
「でも、君は辛い気持ちを感じれている分、同じような人の気持ちがわかる。今の気持を感じながら前に進むだけでも、いつか誰かを救えるかもしれないってすごいことだと思う。私がどれだけ人の気持ちに寄りそいたくても経験は後から買えないんだよ、私にはもう手に入らない。でも、君はペインと一緒に生きてるから、苦しみながら、こうやって前に進もうとしていることが強いから、大丈夫。勇者だね。」

主人公の宿命

長男が私をまっすぐに見て言った。
「そうなのかな。これって強いのかな?」と急に目がキラっとした。

うん、勇者に試練はつきものだから、私もずっとついてくからさ、パーティーで一緒に倒しにいこうよ!
というと急に笑顔になって、遅めの夕飯をガツガツと食べた。
「でもさ~、実際授業受けたくないし面倒なんだよ~」といつもの彼の調子に戻ってきたのでした。

試練のない主人公はいないし、その方がかっこいいよ~と伝えて、ちょっと夜更かしした長男はスヤスヤと安心して寝てくれました。
優しくしすぎたかな?と思ったから、明日も朝から朝勉をすることだけは、ちゃっかり約束してもらったけどね。

成長に寄りそえる幸せをありがとうね。


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