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旅のレポートvol.2|フランス南西地方のドメーヌにて

フランス南西地方のドメーヌに滞在し、ヴァンダンジュ(ぶどう収穫)に参加させていただく機会がありました。

世界にはこんな暮らしもあるのだなと、またひとつ、心に残る大切な旅となりました。

滞在先は、トゥールーズ駅から電車で40分、そこから車で20分ほど行ったところにある自然派ワインのドメーヌ。隣の家まで歩いて15分、食料品店のある小さな街までは25分という立地。畑が広がる景色の中にぽつんとあります。

敷地に入っていくところ

仲良くしていただいてる元同僚の方が、今はそこで働かれているご縁があり、私はぶどうの収穫時期に合わせて約3週間、滞在させてもらうこととなりました。

ぶどうの収穫は一般的に約1ヶ月続きます。その間は人手が必要になるので、いろんなところから人が集まり、近所のドメーヌとも協力しあい、とにかく総力戦なのだそうです。

8月末、到着してすぐのうちはまだ収穫が始まっていなかったので、畑にできたトマトや豆、フルーツを収穫して、ケチャップやジャムを作る手伝いをしたり、収穫作業に使う機械や道具を掃除したり。

畑にアーティチョーク(時期ズレ)
自家製ケチャップ



とっても大きくていかつい、でも人懐こっくてかわいいわんちゃんが7匹もいて、何回か一緒に散歩に行ったのですが、山道みたいなところを抜けて、途中にある水壺に犬と一緒にみんな服を脱いで入っていき(わたしは待ってるねーと眺めてた)、帰りに畑でぶどうをつまんで食べ、なんとも野性的で贅沢なルートでした。

声と口笛で成り立つフリースタイル散歩

ぶどうの収穫は、朝出発して3時間程度、戻ってきてお昼を食べて午後にまた3時間程度。

9月に入ると雨の日が続いたこともあってか冷え込み始めました。朝や雨のときは寒いのでしっかりめの長袖の上着を着ていくも、日が高くなると半袖でないと暑くなり、天気も気温も大変変わりやすく、着るものの調節が地味に難しいです。

作るワインのイメージによってぶどうの収穫のポイントが少しずつ違っていたり、品種をかけあわせて作るワインは、ぶどう畑自体が決められた品種の割合で構成されていて、あとから合わせるのではなく収穫した時点ですでに掛け合わせたことになっていたり。もちろんこれらはそのドメーヌでのやり方なのですが、関わっているのはほんの一部でも、実際に見て学ぶことがたくさんで。

特に初めのうちは取っていいのか取らない方がいいのかわからないものもあって、オーナーに聞くと、これはいいやつだよ、次から分からなかったら食べたらわかるからと、取っていいものと避けるもの、状態の違うぶどうを食べさせてもらって教えてもらいました。

収穫の様子
収穫の様子

収穫がない日には、瓶にエチケットを貼って箱詰めする作業や、苗木の手入れ(大切な行程なので見学とちょっとしたお手伝い)、収穫前のぶどうに日が当たるように葉を取り除く作業など。
雨で収穫できない日が続いたとき、オーナーがみんな収穫を楽しみに来るからと心配してくださったそうなのですが、個人的にはいろんなことを経験できて、とってもありがたかったです。

収穫が本格的に始まると、私が着いた時には6人だった滞在メンバーが一番多い時には13人になり、オーナーのご家族もいらっしゃり、寝泊まりはせず収穫作業やごはんに来る仲間もいて、一農家での滞在でありながら、そこにいるだけで多くの出逢いがあることが新鮮で面白い体験でした。
年代も様々な大人数での暮らしも賑やかで良く、最初の少人数での静かでのんびりとした生活も好きでした。

ズッキーニのガレット
ほかにもはじめての料理やお菓子をいただきました


連れて行ってもらった地元のマルシェやレストラン、ビール屋さんで大富豪したこと、最終日にわざわざフムスを作ってくれて、名前のアルファベットのクッキーを焼いてくれたこと、みんながよくしてくれたたくさんの想い出がいま宝ものとしてある感じです。

そしてなにより、毎日、毎時がとにかくワインとともにあって、どれだけ贅沢な暮らしだったのだろうと思い返します。
日常の飲み物としてワインがあるという、そう味わうことのない感覚。

あの感覚を人生でまた経験したいと、いつかまた訪ねる機会が来ることを楽しみにします。

眺めの良すぎる洗濯物干し場
収穫してたらやってきた気球



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