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見たくないものは、なにも見えていないということに関する雑記

今回も医療寄りで重めなnoteです。

医療関係者からしたら普通の出来事でも
一般の人からみたら普通じゃなかったり
縁起でもないことだったりするので

元気な人だけ読み進めてくださいね。

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前にこのnoteに書いていた患者さんが
今朝、亡くなった。

一番予想外なおばあちゃんで、享年は93歳だった。

様子がおかしくなってから心臓が止まるまで
本当にあっという間で
先生も家族ももちろん、私たちナースも
ええええ…と走りながら対応していた。


そういえば

データが良かったから来月くらいまでいけると思ったんだけどな。
でも、今日はなぜか4時に目が覚めて、シャワー浴びて新聞読もうとしたら
ちょうど電話があって、飛んできたよ。こういうことだったんだね。

と、先生が話しててちょっとホッとした。

私だって、スピリチュアル信者ではないけれど
患者さんと関わっていると
科学や論理ではどうしても説明できないことがたくさん起こる。

これはもう、そういうものだとして受け止めることにしている。
そっちの方が気持ち良いから。


話を戻そう。

93歳の娘は60代後半。
娘も立派なおばあちゃんに突入してるんだけど

えっと…こういう時って
どこに連絡したらいいんですかね?
あと、今後の流れ?告別式とかどうしたらいいんですか?
あと、これ(患者さん)…どうやって家に運んだらいいの…?

こういうことを真顔で看護師に聞いてくる。

死ぬかもしれない、なんて直接的な表現はしていないにしろ、93歳でいつどうなってもおかしくない、と先生から散々説明されていて、このレベルだ。

親が亡くなること、その準備や情報収集を何もしてなこなかった、というか、向き合いたくなかったんだなというのが、この一言に詰まってる気がした。

昔から、くさい物にふたをする文化が本当に嫌いだ。

その末路はこういうところに如実に出る。
特に、死は逃げ場がない。
本人がもう何も対処できないから
周りの人たちがふたを開けていくしかないのだ。

蓋をしたツケは自分に、身内に返ってくるってことを
なんでみんな忘れてしまうんだろう。


補足して言っておくけれど、私たち医療者は生きてる人間専門であって、亡くなった後の患者さんの流れについては、正直、よくわかっていない。


そのはずなんだけど、これも宿命なのか、母が仏具店に勤めているので
それはもう、そういう話ばかりするような家庭で育ったから、そこら辺のナースの中ではダントツで知識があると自負している。

・信仰している宗教の有無
・代々お世話になっている檀家さんや葬儀屋さん
・ご遺体を寝かせられるスペースがあるか
・自宅の中の段差や導線の確認

など、葬儀屋さんが欲しいであろう情報を先に入手し、メモして渡しておくとすごく喜ばれる。


昔は、親や親戚からなんとなく継承されてきた冠婚葬祭に関する情報や知恵が、家族システムの多様化やコミュニティの希薄化によってこういうところにまで影響を及ぼすのね…

と、思いながらエンゼルケア(死後処置)をした。

ちゃんと天使になってるといいな。



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