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物語としての体験記は、どうしてもドラマチックになる

感情豊かな人が羨ましい。

もちろん、私だって笑ったり驚いたりするんだけれど、どうもリアクションが薄いらしい。



冷静すぎる新人時代

忘れもしない、新人ナースの頃。
はじめて患者さんが急変した時も、先輩から

・もっと慌てなさい
・どうして困った顔しないの?
・ほんと、顔に出ないわね

と、言われた記憶がある。

こっちとしては、めいっぱい慌てていたつもりなのだが、同期をみるとマンガみたいに膝が震えていたりして、あぁ…普通の人はああなるんだ、と思った。

結局、その患者さんは数十分後に亡くなった。その後、エンゼルケア(死後処置)をしている時も、表情が一切変わらない私に向かい

あなた…本当はベテランなんじゃないの?

と、上司に言われたほどだ。

それくらい、私の感情は表に出にくい。くわえて、感情の振れ幅も人と比べたら小さいんだと思う。なぜだか。


こういう素質に加えて、看護師という仕事がさらに拍車をかける。

看護だけじゃなく、接客・小売など対人の仕事は感情労働である。相手からの感情をいったんは受け止めること。これが、仕事なのだ。

だから、自分の感情もある程度コントロールしないとこっちが疲弊してしまう。医者に怒鳴られたり、患者から殴られても、これは仕事、相手は患者なんだ…!と思わないと、正直やってられない。

どんな仕事もそうだけど、やりがいを感じる時だけがすべてではない。仕事の中には、こういう場面だって含まれる。

むしろ、こういう場面こそチャンスだったりするので、面白かったりするのだけど、今回ここは論点じゃないので言及しない。

つまり、仕事の中でのこういう積み重ねが、周りからみた私と本当の私をどんどん引き離していく。



3000RTに及ぶ、流産の物語

先日、TwitterのTLでこんな記事が流れてきた。

あんまり患者さんの体験記を読むほうではないのだけれど、友人がことごとくシェアしているので試しに読んでみた。

ネタバレになってしまうので、詳細は割愛するが、流産を経験した女性のリアルタイムでの描写が丁寧に書かれていた。

つらい気持ちをアウトプットすることが救いになる、これには大変共感した。


けれども

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