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入院が決まったら用意するもの

ほんと、生きているといろんなことが起こりますよね。

いま、まさに、多くの人がそれを感じていると思いますが、ご時世とは関係ない事情で入院が決まる人もそう。

わたしが…
入院…?
にゅういん…ってなに…?(白目)

これだけで頭が真っ白になってしまうんです。
これ、あなただけじゃなく、みんなそうだから大丈夫。

当然、準備だって万全ではありません。
むしろ、抜けや忘れ物があるのはデフォルト。

院内に売店がある医療機関もありますが、24時間営業のコンビニではありません。そして、通常のスーパーにあるような価格よりも割高なのが正直なところ。

ティッシュ 1箱 100円という世界です。

(これが安い!という人は、どうぞ院内の売店をご利用くださいませ)


そこで、現役看護師の視点から入院に必要なものリストを作ってみました。

ご時世に乗っかってる感が否めませんが、こういう機会でもないと、みなさん読まないでしょ。

今や、亡くなる人全体の9割が病院で亡くなっているというのに、その入院に必要なものがわからないってマズくない?

みんな旅行の準備はできるのに入院に必要なものがわからないの、おかしくない…?


ということで今回は、全身麻酔を含む手術を前提として2週間前後の入院を想定しています。対象は成人〜高齢者まで。

お子さんや妊婦さん、交通事故で救命センター直行案件の方はあんまり参考にならないかもしれませんが、目次だけでもぜひ。

医療機関によっては、持ち込み禁止なところもあるので、詳細は担当の看護師やクラーク、ヘルパーにお尋ねください。



健康保険証

日本人なら何かしらに加入しているはずの保険。
その保険を証明するための保険証はマストです。

絶対に持ってきてください。

万が一、どの健康保険にも加入していない場合には、医療費3割負担(高齢者は収入に応じて1割〜3割負担)が適応されず10割負担(全部自腹)になります。

喜んで10割払う人なんていないと思うので、医療費や入院費が心配な方は病院の窓口やMSW(メディカルソーシャルワーカー)にご相談ください。


介護保険証とケアマネージャーの連絡先

介護保険を利用している人はこれもマスト。

もともと難病や障害がある人はそれを証明するもの一式も、ぜひ。

次の日にサービス利用を控えていたのに、入院して自宅にいないとなるとえらい騒ぎになります。

最悪の場合、入院していることがわからないと警察沙汰になることもあるので、ケアマネージャーの連絡先も欲しいところ。

退院の日程や他の施設への転院を決める際にも、重要な役割を担うケアマネージャー。携帯電話の連絡先一覧に登録するか保険証の裏に記載しておくのをオススメします。

失くすのが心配な患者さんたちは、こういうのに入れてる人が多いです。



割れない素材のコップ

陶器やガラスのコップだと、手がすべったり私たち医療従事者がぶつかったりして割れてしまうことがあります。本当にすみません。

そのため、プラスチックでできたコップがおすすめです。
落としてもぶつけても割れないなんて素晴らしい…!

ウォーターサーバーがあって紙コップもある、という医療機関だってあるでしょうが、ご時世的にアウトになりつつあるので、自分のものを持っておくのが安心だと思います。

コップを洗ったりできないわ!って人にはペットボトルにつけられるアイテムもオススメ。ワンタッチで開け閉めできて寝ながらでも飲める仕様。普通に便利。



歯磨きと歯磨き粉

人のものは使えないシリーズ選手権優勝選手、それが歯ブラシセット。

さすがに、病院が貸してくれるよね…?

と思われがちですが、病院はホテルじゃありません。
歯磨き&歯磨き粉は各自で用意するのが基本。

一応ありますが、割高でよわよわです。

高齢者の場合、入れ歯やそのケアグッズも基本的に各自で用意していただきます。自分が使いまわされたら嫌なものは自分で用意すると思っていただければ…!

歯ブラシの他に、口腔ケアグッズ、入れ歯関連のグッズも載せておきます。



箱ティッシュ

・鼻をかむ
・こぼしたおかずをふく
・テーブルの上の水滴をふく
・涙をふく

などなどいろいろ便利なティッシュ。

そのため、持ち歩きのポケットティッシュの量では全然足りません。あっても困るものじゃないので用意しておくとベター。


ひとまず、ここまで揃えば数日はなんとかなるレベル。
つづいて、あるともっと入院生活が快適になるものを挙げていきます。


フェイスタオル、バスタオル

病院で用意しているところもありますが、自分用にあると便利です。

顔や身体を拭くのはもちろん、枕の高さを調節したり、布団と自分のあいだにかけて保温したり、丸めてかかとの下に置いたり。

病院によっては院内レンタル(有料)のものを使いなさい!というところもあるので、ここは注意を。

洗濯やクリーニングをばっちりしているわけなんですが…

おじいちゃんが鼻をかんでいたり、認知症のおばあちゃんが誤ってトイレットペーパーの代わりに使ってることもあります。だって、共有で使うものですもの。

これを聞いてドン引きした人は、自分用のものを用意しておくと良いでしょう。


有線のイヤホン

各ベッドにテレビがついてることが多いですが、隣に苦しんでる患者さんがいることもあるので、音の出るものはイヤホンで聞くのがマナー。

院内の売店などでも販売していますが1つ100円ほどで、質もいいものではありません。しかも片耳だけ、なんてものもあります。

テレビだけではなく、ラジオやPCにも使えますし、あると便利。



それから!
補聴器のある人は、その替えの電池やしまうケースもあるとうれしい。

小さいものなので、すぐどっか行っちゃうんですよね。

あんな小さなものに、テプラでシール貼るわけにもいかないので、タッパーでもジュエリーケースでもいいからあるとありがたいです…!
(本来なら乾燥機能付きのケースがあるとベター)


それから

他の患者さんの咳やいびきがうるさくて眠れない!
隣の人が遅くまで読書してて眩しい!!

なんてこともあるので、こんなのもあると便利。



1000円札

基本的に、あんまり多くの現金は盗難などの理由から持ってきて欲しくないんですが、1000円札は別。

テレビを見るためのテレビカード
おやつ
公衆電話からの電話
自販機でジュース

こういう時のために1000円札は必須。
他の種類のお札を受け付けない機械や売店も、いまだ多くあります。

万札を数枚用意しておくなら、1000円札を10枚用意していた方がよっぽどマシ。

お財布にしまっておくと分厚くなってしまうので、ベテラン患者さんはジップロックの袋にいれて、貴重品ボックスにしまっています。


前開きのパジャマ

入院すると、点滴や処置のために着替えをする機会が増えます。

スェットタイプのような頭からかぶるタイプのものだと、その都度全部脱いでもらわないといけないので、患者さん側としても結構な手間になるんですよね。

そのため年齢関係なく、前開きボタンのパジャマがあると便利です。
これだと、点滴や身体に固定しているチューブを無理に引っ張ることなく着替えができます。


高齢患者さんだと、ボタンを止めるのが難しかったり、肩があがらなかったり、胸やお腹のしめつけに敏感だったりするので、プラスアイテムとしてこんな肌着もおすすめ。

マジックテープなので着脱が簡単ですし、ボタンを呑み込んでしまうこともありません。
良き。

足元にはこれも。



携帯電話の充電器

これもよく患者さんから聞かれるんですが

病院はホテルじゃありません(2回目)

そのため、自分で用意しておきましょう。

患者さんから病院の電話を使って家族へ電話したい!とお願いされることもありますが、医師からの話や緊急時以外で病院からご家族へ電話することはありません。

つまりは、そういうことです。
こんなとき、あなたの意識はありません、たぶん。

普通のコンセントなら、充電してもOKなところがほとんどです。
赤いコンセントタップは非常電源になるので、使わないようにお願いします。


スリッパ・上履き

院内の室内履き、実はめっちゃ大事。

歩きやすく脱ぎやすいことはもちろん、安全性を一番に考えてもらいたいアイテムのひとつ。

そう考えると、スリッパって危ないんです。
かかと部分がないので、ちゃんと歩けない時はつっかかって転んでしまいます。

クロックスを持参される方もいるんですが、廊下が濡れていると滑って転んでしまうこともあります。あれはマジで危険。

病気を治しにきたのに転んで骨折なんて笑えませんが、実際に起こってる事実でもあります(え


じゃぁ、どうしたらいいの?


答えは、上履きです。

足がむくんでしまってもゴムがあるのでのびますし、かかとを踏んで歩いてもすぐに脱げてしまうこともありません。

汚しても洗えるし、もう便利すぎる。

小学生じゃないんだからというセリフは置いといて、騙されたと思って用意してみて

そこそこ便利だったなと思って頂けるはずです。


印鑑

当たり前の話ですが、入院すると検査や治療を受けることになります。

ただ、この検査や治療って、ご時世的に同意を得た証拠がないといけないんです。

つまり、承諾書を書いてもらわなければなりません。いろんなリスクがあるけど、同意を貰ってやってますよ、の証明です。

そこにあるのが捺印。

なければ拇印でも良いのですが、ハンコがあると書類作成がスピーディーになります。

個人的にはサインだけでもいい気がするんですが…こういうのが遅い業界なので、なかなか…(遠い目)

朱肉は病棟や外来にあることが多いので、借りればOKです。


時計

携帯電話やスマホがあっても、あった方がいいです。
意外と大部屋にはないですしね。

たとえ、あなたが高齢者じゃなくても、ずっと横になって天井を見てると、今が何時かわからなくなるんです。時間の感覚が失せるというのかな。

検査や処置の時間の把握のためにもあると便利です。


ここからはアドバンス編。

患者のベテランなんて嫌だと思いますが、実際にベテランさんがいるのも事実。

そして、彼らの持ってくるアイテムって、めちゃくちゃ理にかなってるんですよね。

良かったら参考にしてみてください。


大きめのS字フック

ベッド柵にビニル袋を引っ掛けたり、箱ティッシュに穴を開けて引っ掛けたり、床頭台にぶら下げていつでも必要なものが取れるようにしたり

結構使えるアイテムなんです…!

それから

S字フックを引っ掛けたプラスチック製の小物入れをベッド柵にかけてる人をよく見かけます。

中にはティッシュ、テレビのリモコン、メガネ、ペットボトルの水など、寝ながら取り出せるものばかり。ベッドサイドの玉手箱となっています。



コップのふた

さきほどコップの話をしましたが、そのまま何もかぶせずにずっと置いておくと、不衛生ですよね。

そんなとき、あると便利なのがふた。
ティッシュや紙で蓋をする人もいるんですが、それだと人が通った時の風圧で簡単に飛んでいってしまうんです…


肌触りのとてもいい毛布

冬に追加の要望が多いもの、毛布。

ただ残念ながら、毛布は原則病院には置いていません。

いろんな理由であらゆる体液を浴び、すぐに汚れるくせに洗濯できないからです。だって、洗っていないものを使いたくないですよね…?

布団を2枚かけることもありますが多くの患者さんが重い…と、負けそうになっています。



保温グッズ

病院って基本的に寒い。

感染予防などの理由がありますが、働いている人の感覚に合わせた空調管理をしているからじゃないかと、私なんかは思ってしまいます。

そうすると、患者さんから

湯たんぽ、あったりしませんか?
カイロの予備、ない?
電気毛布ください…

って聞かれるんですが、基本ないと思ってください。

実は、手術を行なっている病院ならば、電気毛布は必ず置いています。
手術が終わったあと、患者さんの冷え切った身体を温めるために必要だから。

そのため、寒さをしのぐために置いてあるわけじゃないんです。具合が悪くて寒気を感じる人、または、処置のために暖めないといけない人のためにあります。

したがって、寒がりの人・冷え性の人への供給はどうしても優先度が下がります。心配な人は自分で用意してもらった方が確実です。


おまけ

よくある質問がおむつと生理用品なので、ここだけ補足をしておきます。


おむつ

これは持ってきてもOKな病院とNGな病院があるので、看護師に聞くのが一番です。

持ってきてもOK=おむつは各自持参して下さい、ということ。
おむつの代金は患者さん・ご家族の負担となります。

そのため、おむつの持参がない中、うっかり患者さんが汚してしまい交換しようと思っても、私たち看護師は、基本ノーパンで対応するしかありません…

だって、予備がないんだもの。
隣の患者さんのを借りるわけにもいかない。

たまに病棟にストックがあることもありますが、それって、亡くなった患者さんのご家族が不要だからって置いていったもの、の場合が多いです。

ちょっとなぁ…と、思う方はご自分で用意を!


つづいて。

おむつを持ってきたらNGとは、病院指定のおむつを使ってね(買ってね)ということ。

仮に患者さんが汚してしまったてしても、量・種類ともに潤沢におむつの在庫があるため、わたしたちも遠慮なく使うことが出来ます。

こういう場合、おむつはアメニティとして医療費外で管理し、病衣やおしぼりなどと一緒にまとめて患者さん・ご家族側に直接請求がいくことが多いです。

医療費の請求とは別、ということですね。

すでに自宅でおむつを使用している人でも、原則、病院指定のおむつを使うようお願いされます。ほとんど義務です。

これ、利権の問題なのか、廃棄処分の問題なのか知りませんが、絶対です。

どうしても、自宅で使っていたものを使いたい人は、管理料の関係もあるので早めに看護師へ相談してみて下さい。


生理用品

これも原則、病院にはありません。

なので生理になってしまったら、病棟で余っている尿とりパットを渡されるか、看護師のプライベートポーチの中からこっそり分けるというパターンが多いかな。

院内の売店には必ず売ってるものなので、買いに行けるようになるまでどうか耐えてほしい…!


まとめ

以上、看護師の視点から入院に必要なもの、あると便利なものをまとめてみました。

繰り返しになりますが、産婦人科病棟や精神科病棟など病棟によって、また各医療機関によっても必要なもの、持ち込み禁止なものが異なります。

各医療機関のルールに従って下さいね。


入院になった経緯はさまざまだと思いますが、あなたと周りの人が安寧な入院生活をおくれることを願っています。


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