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2023年 読んでよかった本を紹介する

どうも、ナースあさみです。

今年読んだ本が230冊くらいかな。
その中から印象に残っているものを紹介していきます。

ほんと雑食というか、興味のありそうなものはなんでも読むタイプの人間なので統一感はありません。あしからず。

わたしと本の関係性については、過去のnoteをどうぞ

では、いってみましょう。


時生

東野圭吾さんの小説。
シリーズものではなく、これ単独で読み切れるものです。

伏線回収と感動ポイントの置き方がほんと秀逸。
どう構成したら、こんな物語が書けるの?となります。

電車の中で読むと泣いちゃうので、家で読むのがおすすめ。


ワシントンハイツ :GHQが東京に刻んだ戦後

2023年、ナースあさみ的に読んでよかった本ナンバーワンなのが、こちら。

第二次敗戦〜占領下の7年の記録を、市民の目線と生活から再構成した著作になります。

以下、Amazonにあった紹介文です。

国の仕組みから生活スタイル、ファッション、文化、
そして思想に至るまでをも改革していった占領を、市民の目線から捉え直す。
日本エッセイスト・クラブ賞受賞。

終戦からほどなく、東京の真ん中に827戸を擁する米軍家族住宅エリアが出現した。その名も「ワシントンハイツ」。「日本の中のアメリカ」の華やかで近代的な生活は、焼け野原の日本人にアメリカ的豊かさへの憧れを強烈に植え付けた。
占領期、米軍とその家族たちは日本人とどう接し、何を残していったのか? GHQは焦土と化した日本をどうデザインし、我々の生活に何を埋め込んでいったのか? 現代日本の「原点」ともいうべき占領期を、日米双方の新資料と貴重な証言から洗いなおした傑作ノンフィクション。

これ、一介のジャーナリストレベルでは書けないような、膨大な資料と考察が魅力の一冊です。好きじゃないと書けんって、こんなの。実際、資料もアメリカの、しかも日本人に公開するにはなかなか心理的ハードルが高いものもあったはずなのに、著者の熱量でこじあけていったんだろうなと思わされるものが多かったです。

わたしはこの本の中でも、日本国憲法に女性の権利をはじめて盛り込んだ、ベアテ・ゴードンさんの話が好き。

最初、アメリカ人であるベアテさんが、日本女性の権利を主張したところ男性の各閣僚が難色を示したそうですが(これは戦後70年以上経つ今の日本でも容易に想像がつきますね)、彼女の翻訳と通訳なしには会議が、そして日本国憲法の草案が完成しないとふんだメンバーたちが彼女の熱意に負けて、女性の基本的人権が憲法にのることになりました。

このあたりの話、詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。

日本の、とりわけ女性の人権意識が低いのは、自ら勝ち取ってきた歴史がないからなんだろうなと考えさせられるエピソードでした。

与えられるものを待ってるだけじゃダメですよね。
自ら、掴みにいかないと。


一戔五厘の旗

暮しの手帖を作った花森安治の文章集

ジャーナリズムとエッセイのあいだのような文章が多くて、わたしは大好きです。家系ラーメン全乗せが毎回やってくる感じ。元気じゃない人は読まないほうがいいです。

一戔五厘が何を指すのか

その意味を知ると、なぜ花森安治と大橋鎭子が生活に根差した雑誌を刊行しようとしたのか、そのマインドを汲み取れるかと思います。


戦争といのちと聖路加国際病院ものがたり

日野原先生の視点から、戦中〜戦後〜地下鉄サリン事件あたりまでの話といのちの話が書かれています。

割と平易な言葉で、そして行間も広めなので、比較的ライトにこういう話を摂取できるタイプの本だと思います。

日野原先生の稀有な人生経験というか、こういう経験をするために生まれてきたのではないか…?と思わずにはいられないことばかり。東京大空襲で多くの患者を救えなかった時の無念の気持ちが、地下鉄サリン事件の対応で活きるなんて、誰が想像したでしょう。

日野原先生の本は、他にもいろいろあるので、ぜひ。


ヒトラーの娘たち――ホロコーストに加担したドイツ女性

戦争の話の中で女性たちにスポットがあたることは少ないと思いますが、そこをついた一冊。

極限の環境の中では、そういう空気感の中では、女性であっても残虐な行為に平気な顔でのぞめる話が書かれています。

特に、教師や弁護士など社会的地位の高かった女性たちがホロコーストに加担していること、そして戦後は「女性だから」という理由で裁判の対象にすらならなかったという話が興味深かったです。女性だから人を殺さないなんてこと、ないですよね。

極限状態の中では、性別なんて関係ないんだなと思ってしまいました。

ヒトラー関連だとこっちも良かったです。
(これ、めっちゃ売れてるよね)


ケーキの切れない非行少年たち

よく聞いてはいるけど、読んでなかったので読了。

非行のもっと奥にある境界知能の子どもたちにスポットをあてた書籍です。非行とは言うものの、なにが非行なのかわからなければ、更生のしようもありませんよね。

昭和だと、知恵遅れとか言われていたような人たちをさすのかもしれません。発達障害という言葉も、最近根付いてきたような印象があるくらいなので、境界知能という言葉そのものの認知にこの本が一役かったのではないでしょうか。

そうでなくてもボーダーの人たちや、ボーダーを下回っていそうな人たちに、わたしも仕事で出会うことがあるので、いろいろ答え合わせができてよかったです。そりゃ、社会で生きていくのは困難だろうな、と。そして、あなたは人より知能が低いんだよと言われて、受け止められる本人や家族は、どれくらいいるんでしょうか。

ただ、これは診断名と一緒ですが、ラベルがついたからといって解決するわけじゃないんですよね。生きづらさややりにくさは、残ったまま。

非行に走らないほうがいい、とすぐに考えてしまいますが、本人にとってみたら少年院や刑務所、閉鎖病棟のほうが居心地がいいという人もきっといて、ぐぬぬと考え続けていることのひとつとなってます。


フランス人は生きる喜びを知っている 人生に貪欲なパリジャンに囲まれてみつけた小さな幸せ

フランス公認ガイド Ryokoさんの初の書籍

社会学的な論点というより、もっと生活者の視点でパリに暮らすフランス人について語られています。

個人的には、1週間のレシピのコーナーが良かったです。

わたしの好きな動画をいくつかおいておきます。
ラジオ感覚で聞くのが最高なのよ。


アンネ・フランクに会いに行く

アンネの日記は、日本でも大人気なのでその存在を知っている&読んだことがある、という人も多いと思いますが、そのアンネの足取りをレポートしたものがこちら。史実に基づいているので、歴史のうねりとアンネの心情、どちらも楽しめます。

わたしもこれを読んではじめて知ったことが、いくつかありました。

アンネが亡くなったのは、アウシュヴィッツの強制収容所ではないこと
アンネが亡くなった理由は、ガス室ではないこと

わたしを含め、なんとなくアンネはアウシュヴィッツでガス室で亡くなったと思っている人は、これを読んでみると目から鱗が落ちるはず。

なにより、いろんなタイミングがほんの少しずれていれば、助かったかもしれない可能性があって、それがまた悲運だと思わずにいられませんでした。


神谷美恵子『生きがいについて』 2018年5月 (100分 de 名著)

名著を著者とともに紹介してくれるこのシリーズが大好きなんですが、その中でも今年はこちらを。

生きがいについて、原著も持って読んでいるんですが、こう……文章ひとつひとつが銀杏みたいで。栄養素ありまくりで消化と吸収に時間がかかるんですよね、わたしの場合は。

そのため、先にこちらを読みました。

フランス語をはじめ他言語に精通していた彼女が、あの時代に結核を患い、そして医師を目指し、ハンセン病患者と関わるまでがざっくりと理解できます。

ハンセン病患者についての歴史は、ネットでも本でもいろいろあるので、気になる人は読んでみるといいかもしれません。

個人的には、国際的に隔離不要となってからも70年以上それを認めてこなかった国、そして残存する制度によって苦しめられた元患者たちの苦悩は、日本国内ならず世界中の人に知られてほしいです。

多摩全生園は、池袋から1時間くらいで行けるので、大人の遠足としてもオススメ。


休暇のマネジメント 28連休を実現するための仕組みと働き方

メンバーシップを一緒に運営している髙崎さんの著書

有給休暇を5日間はとりましょうと謳われ始めた日本ですが、フランスでは5週間「義務として」有給を取らなければならない、そんなところからこの話は始まります。

大阪の万博やオリンピック誘致しかりですが、まずそれありき!で話を進めていけば、日本でも有給を数週間取るのを義務づけることなんて、簡単にできそうなんですがね。

他にも、消費者意識の高い日本と労働者意識の高いフランスなど、いろんな対比を考えるきっかけがたくさん散りばめられていてよかったです。


パリ・旅の雑学ノート―カフェ/舗道/メトロ

フランスつながりでこちらも。

文化や慣習を知るには、街の人を見るのが一番。
それを文章であらわしてくれてます。

旅のガイドではなく、雑学ノートというのがミソ。今だとnoteで書かれているようなエッセイ感のある文章が魅力的でした。


「正しさ」の商人 情報災害を広める風評加害者は誰か

スマホ時代になり誰もが情報を拡散できるようになったこと、そこにAIが加わり、ますます「本当の情報」とはなんなのか、人として振る舞うべき正しさとはなにか、を突きつけられている気がします。

東日本大震災の話が出てきますが、これを読みながら当時、ここまでAIが発達していなくてよかったなと思ってしまいました。きっと、迫り来る津波の画像や映像が簡単に生成されてしまうでしょうから。

学問やメディアの人間じゃなくても、その情報の出所を探ろうとすること、AIで生成されたものでしょ?と一旦疑ってみること、自分の欲求を満たすためだけに情報を拡散しないことなど、市井の人が身につけておくべき情報リテラシーがあるように感じました。

情報はお金にも権力にもなりますが、時に人を殺めます。
私自身も肝に銘じなくては、と改めて感じました。


新版-エルメスの道

コミックエッセイのようなスタイルなので、比較的読みやすいはず。

馬具を扱っていたエルメスが世界的なブランドになるまでが描かれています。銀座のエルメス、ステキですよね〜

エルメスのスカーフ、都内の1Kの家賃くらいの値段がするんですが、これを読むとそれでも安いなと思います。手間と技術がすごい。


ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る

日本だと小児精神科医という言葉が聞き慣れないかもしれませんが、この本の主題はそこではありません。

誹謗中傷とまではいかなくても、ネット上で嫌な思いややりとりをしたこと、誰しもあると思うのですが、それは学問的にこういうことだよと説明してくれてる本になります。

はは〜ん、そういう名前がついていたのねとか、結構前からある手法なのねと知識を増やせてよかったです。

個人的には、医学部在学中に米国医師国家試験に合格ってヤバない?ってところと、著者が早々に日本でのキャリアに見切りをつけ渡米したことに拍手を送りたいと思います。

こういう才能が、環境のせいで潰れることがなくて本当によかった。


アルコールとうつ・自殺――「死のトライアングル」を防ぐために

特に男性に読んでもらいたいなと思う本。

日本の自殺率の高さは正解でもトップクラスですが、その多くが働き盛りと青少年です。高齢者は、あんまり自殺しません。放っておいてもそのうち死ぬし、積極的に死ぬための体力や気力がないからです。

個人的に興味深かったのは、日本酒のおいしいところは自殺率が高いということ。日照時間や天候よりも、身近に高濃度のおいしいアルコールがあることのほうがリスクなのかもしれません。

女性は、出産や育児で仕事を離れることが当たり前ですが、男性も病気になったり心を病んだりしますし、それこそなにかの依存症になって専門的なプログラムを受ける必要があるとかで、仕事を離れるケースは普通にありますよね。

それで不当にキャリアを断たれたり、お給料が減額されたり、二度と社会的にまともな仕事につけない、なんてことがない世の中にしていきたいです。

出産や育児を経ても、そういうことは起こらないじゃないですか。ね?


ひとまず、2023年はこんな感じで終わります。
思い出した本があれば、追記していきますね。


みなさま、よいお年を〜

貴重な時間を使い、最後まで記事を読んでくださりどうもありがとうございます。頂いたサポートは書籍の購入や食材など勉強代として使わせていただきます。もっとnoteを楽しんでいきます!!