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第15日目

昨日は近鉄時刻表を買った。乗るのが近鉄線だからだが、わざわざ時刻表を買ったのには少し訳がある。

朝熊→五十鈴川→宇治山田→伊勢市

この朝熊駅から乗車し、宇治山田駅か伊勢市駅で降りる。どっちの駅から降りても職場までは歩いて8分。帰りもこの両方のどっちかの駅から乗って、朝熊で降りる。

けれど、この途中の五十鈴川駅が問題だ。

ここは伊勢神宮内宮の最寄り駅となっている。最寄り駅というのは嘘ではないが本当でもない。だいたい、最寄り駅というのは歩いてせいぜい15分くらいまでだろう。五十鈴川駅から伊勢神宮の内宮まで、徒歩で30分だ。それを最寄り駅と言っちゃっていいのか、というのは伊勢市民の間でももはやネタとも言うべきものなのだけど、近鉄としては「内宮」を謳ったほうが商売になる。

それこそ、昔は社内アナウンスでも「五十鈴川内宮前でございます」とか言ってた。さすがに「前」と言ったらあかんやろ。今ではアナウンスこそないけど、駅の表示版には控えめに(内宮前)と添えられている。いや、だから「前」じゃないって。ホントに。

さて、私の利用する駅のすぐ横にこの一大観光地駅があるせいで、この駅止まりの電車が多い。私の住む街まであともう一駅…。なのに、ここが終点になってしまう。そのため、あともう一駅なのに、ここで15分~20分くらい次の普通電車を待たなくてはならない。ちなみに歩くと50分かかる。あともう一駅なのに…。

また、この駅で他の電車の接続待ちをすることも多い。伊勢市駅から電車に乗っても、この駅で5分くらい待たされることがある。あともう一駅なのに。同様に、朝熊から乗っても、この五十鈴川駅で接続待ちをすることがある。今乗ったばかりなのに、2分くらい乗って、それからまた5分くらい待たされる。

湯水のように電車が流れ込んでくる都会とはわけが違う。まあ、これでも便はいいほうだ。次の電車まであと3時間。みたいなところはザラにある。鉄道のないところもある。だから私の環境は大変恵まれていると言っていいくらいだ。文句を言っている場合ではない。

駅の時刻表というものは「この駅で◯分待ち」ということが書かれていない。しかし、冊子の時刻表をみればちゃんと五十鈴川の駅の

・到着時間
・出発時間

の両方がかかれているため、どの電車待ちで、それくらいの待ち時間ががわかる。これは地味に便利だ。乗るべき電車を選ぶときの指標にもなる。「時刻表なんて売ってるけど、買う人なんているの?」それが一般的な意見だろう。実際、私もそうだった。電車の接続なんて、ネット検索すれば一発じゃないの。

そう、それは確かにそう。けれど、そうじゃない。そうじゃないんだ。ネットで接続の検索はかなりしにくい。その列車の前後が見えないし、全貌も分からない。通過する駅も分からない。ピンポイントで出てくるだけの情報をつなぐだけのスキルがあればいいけど、仮にこの電車が何らかの理由で止まってしまったり、遅れてしまったらどうなるのか。そこから再び検索していると膨大な時間がかかる。バッテリーも消費する。はっきり言ってお手上げだろう。

もし、ナビが使えなくなっても、地図さえあれば大丈夫。同様に、乗り換え案内がなくても、時刻表さえあれば安心である。時刻表があれば、旅に行った気分にもなれる。例えばどこか目的地を設定して、そこへの行き方を考えていると、いろんな方法、ルートがあることにも気づく。普段からこういうシミュレーションをするのは悪くない。

時刻表のいいところは他にもある。まだ息子が小学校にあがる前だったと思うが、せがまれて時刻表を買ったことがあった。私が買ったのか、あるいはおばあちゃんが買ったのかは覚えていない。とにかく息子は電車好きだった。時刻表は左に駅の名前が漢字で書いてあって、右にはひらがなで書いてある。息子は駅の名前読みたさのあまり、駅の漢字はこれで覚えてしまった。保育園年長の時点で「橿原神宮前」と「榛原」が書けた。

あと、時刻表は表の概念も知ることができる。左に駅名。上には時刻。この駅を何分に出ると次の駅には何分に着く。つまりその差が移動にかかる時間で、これで簡単な足し算や引き算ができた。時計の読み方もそれで覚えた。路線図は日本全国に渡っているから、これで日本のおおまかな地理を覚えた。時刻表があれば、だいたいのことが学べる。まあ、たまたま電車に興味があったからだけど、子どもには好きなことを好きなだけさせたほうがいい、それが学びの基礎になると思う。好きの熱量ってほんとにすごい。

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車なしの生活になって

第15日目
交通費 430円
出会った人 とくになし
おやつ なし
できごと 武司に頼まれていたぎゅうとらの「ビンゴ」、ようやくできた。
歩いた時間 15分

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