見出し画像

民泊のホントのところ

民泊を始めてちょうど1年。色んな国から色んなゲストが来てくれています。6月15日より、民泊新法が施行されるため、今はそれに向けて書類を整えているところです。

さて、色々と問題も指摘されている民泊ですが、私はおおまかに3つの種類の施設があると思っています。

1、現在、ゲストハウスや旅館として合法的に経営をしているところが外国からの集客を目指している場合。
2、敷地内、あるいは実家など、人が住んでいない家、つまり空き家を利用している場合。古民家である場合やオーナーも同じ家にいる場合もある。異文化との交流を楽しみにしている場合が多い。
3、収益目的でアパートやマンション利用している。ゲストとは対面せずともいいようなシステムになっている。中国人が経営して中国人客を入れている場合も多い。

民泊というのは、ハッキリ言って商売になりません。重要文化財級の豪邸で、普通では泊まれないような場所に特別入れる、という場合でも、割安感がなければ利用されません。アパートの一室の場合、ひとり一泊2,000円~3,000円程度です。それで、部屋や浴室、キッチンなどを毎回掃除しなくてはなりませんから、かったるい商売です。

それを、極限までシステマチックにして、掃除は専門業者に頼んで、稼働率を上げて、収容人員目いっぱい入ってもらって、それでやっと利益が出るようにしているのが、3のパターン。薄利多売で、京都、大阪、東京など、都会の観光地にある場合が多いです。中国人がマンションやアパートに中国人の訪日客を入れていたりします。一棟まるごとだったりするとまだいいのかも知れませんが、他に入居者もいる場合は、トラブルになります。今、民泊で問題になっているのが、ほとんどこのタイプです。

オーナーが近所に住んでおらず、遠隔で管理会社に任せているので、地域との協調性に欠けます。利益優先という観点から、ゲストとの交流は時間のロスと捉えており、非常に機械的です。それを利用するゲストも「安けりゃいい」「泊まれればいい」という感じなので、日本の生活や習慣、歴史などと言ったことに思いを馳せることなく、利用をします。

民泊最大プラットフォームのAirbnbは、ゲスト、ホストの両方から仲介手数料を取りますが、ゲストからは多めに取ります。すなわち、3500円で宿泊費を設定した場合、ホストに入るお金が3400円、ゲストが払う金額が3920円。という感じです。1のような宿泊業者は独自で宿泊予約を受け付けている場合が多いため、Airbnbのゲストが髙い手数料を払うことを心苦しく思う場合も多いようです。ですので、最近は施設は掲載しているけど、予約が出来ない。という状態にわざとしているところも多いようです。

私のところは2のパターンです。店の前にある空き家の古民家を改築して、泊まれるようにしています。一組限定、最大4名が利用できますが、2名での利用がほとんどです。チェックインは必ず対面式でします。その方がこちらも利用者も安心できます。英語は別に堪能でもなんでもありませんが大丈夫です。なにしろ、英語が母国語の人のほうが少ないのです。台湾、香港、マカオ、フランス、オランダ、デンマーク、ノルウェー。もちろん、みんな英語上手ですが、大丈夫です。慣れます。

こちらが、外国に行かなくても、向こうからきてくれるし、時にはゲストとホストを越えた交流が生まれるのも、この仕事の楽しいところです。特に、たけPくんがアーティストなんで、もうそれだけで結構向こうの人と接点ができるんですね。なぜなら、ネットに掲載している時点で「小津安二郎の映画に出てくるような家」とか「ツーリストじゃなくて旅人のための家」とか、そんな風に紹介しているため、あらかじめ、そういったフィルターを好む人が来てくれるわけです。

他にも、実家の離れを民泊施設にしている場合や、持っているマンションの部屋を民泊に使う場合もあります。いずれにしても、儲からないので、楽しまないと損です。

色んな国から来てくれるとは言いつつ、最も多いのが台湾からのゲストです。ここでも言ってるかもだけそ、とてもチャーミングです。お土産持ってきてくれたり、日本語を勉強してたり、部屋もキレイに使ってくれるし、もうホント最高です。もちろん、他の国もゲストもみんなとても楽しんでくれてます。

ただ、残念なのが、食事をするところ。うちはなぜかフレンチとかイタリアン、居酒屋ばかりが多くて、普通の日本の定食が食べられるようなお店がない。遅くにチェックインしてから食べに行くところがないんです。特に、東洋人はお酒を飲みながら食べる習慣があまりないため、毎回本当に困ります。ということで、今の私のミッションは使えるお店の発掘と誘致です。

今、もう一件施設を作っていて、それが夏までに完成する予定なので、楽しみがまたひとつ増えます。noteご覧のみなさんも機会がありましたら是非~。

これは、台湾のゲストが置いていってくれたメッセージ。台湾からの定番お土産、パイナップルケーキ、オーストラリアからのゲストがくれたユーズドの衣類。めっちゃトレッキングする人たちで、わざとこういう古い衣類を持ってきて、行った先々で置いていったり、捨てたりして荷物を減らすんだと思う。まあ、サイズもちょうどいいんでもらいました。最後は、アメリカから長期滞在した、大学教授のオースチンくん。たけPくんと気があって楽しんでました。海女さんの研究で来日してました。彼の写真はこちらにあります。

色んな民泊があることが、もっと知られるといいなぁ、と思います。

今回の民泊新法では「簡易宿泊所で許可を取り、掲載する施設」、「民泊で届け出る施設」の2種類が残るでしょう。どちらも選択しない場合は、合法でなくなり、Airbnbなどで掲載されなくなります。届け出も面倒だし、地域によっては厳しい条例がある場合もあります。ですので、6月15以降、かなりの割合の施設が消滅すると思います。Airbnbでは届け出のない施設しか掲載しないので、闇でやったところで、集客できません。

うちも消防法の面で厳しいところがあるので、果たしてどうなるか、ですが、なんとか頑張って登録したいと思います。

サポートありがとうございます!旅の資金にします。地元のお菓子を買って電車の中で食べている写真をTwitterにあげていたら、それがいただいたサポートで買ったものです!重ねてありがとうございます。