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10月29日の日記(車で半径15分くらいの世界)

副題:人は自分のためにのみ生きるにあらず。

小雨の降る朝、車で10分の取引先に商品を配達するところから始まったこの日。E商店は伊勢神宮の門前町にあるから、早い時間に行かないと混雑して車の身動きが取れなくなる。だからと言って、早すぎるとお店が開いていない。絶妙に人がまだ少ない平日の観光地。9時少し前に配達を終え、家に帰ってきた私は、今日の食事会のメンツをチェックする。一人暮らし高齢者が孤独に苛まれないよう、月に一度食事会を開催しているのだ。

これが結構みんな楽しみみたいで、いそいそとやってくる。人数は10名~15名程度。集まって弁当を食べるだけなのだが、本当に楽しそう。うちの裏に畑のあるYさんは、足が悪く、来るのが大変だろうから雨の中迎えに行く。畑仕事大好きっ子のYさんだが、年を取って裏の畑にあまり来なくなり、最近では実のなった冬瓜も畑の中に打ち捨てられたままだ。高齢者と言っても70歳以上だから元気な人も多い。この日は、歌を歌ったり、手遊びをしたあと、渋柿の渋の抜き方をみんなが教えてくれた。焼酎を使うらしい。会は1時間半程度で終了。Yさんを送っていったら、帰りに巨大な冬瓜をくれた。なんだかんだで自力で収穫していたみたい。年寄り強いな…。

家に戻り、今度は実家の母のところへ。最近父と諍いがあり、なんかすさんでいるっぽい。1時間くらい話を聞けば、なんか気が晴れるかも知れない。母は車で10分程度のところに住んでいる。古本市で手に入れた1961年の時刻表を持って行き、若いころに行った北海道旅行の話や最近熱中している中国ドラマの話を聞く。友人は多いけれど、趣味の話ができる人はあまりいない模様。人と言うのは話せば何かしらすっきりするものだ。

家に戻り、工房に来ていたタケシくんと一緒に、今度は新商品の包装に使う紙を見に行く。国道沿い、家から店に行く途中に、その店はある。おなじみの紙専門店。いつもこちらの相談に乗ってくれる。お店のtwitterにはたまにあげてるけど、個性的なキャプションを付けたメモ帳をついつい真剣に読んでしまう。

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家から店へは車で15分ほど。タケシくんを送り届けてから店へ。火曜日で定休日だけど、発送作業がある。3時から1時間メールの返信や梱包作業をする。スタッフのS子ちゃんも工房からやってきて、一緒にやる。その後、三味線のお稽古へ。

店から先生の稽古場までは車で5分。お稽古は1時間。曲は「老松」という長唄だ。実のところ、昔はお稽古の最中に眠くなることがよくあった。三味線を弾きながら寝るなんて器用なんだけど、それ以上に「先生に失礼」。だけど、ちょうど眠くなる時間帯にお稽古がある。最近は、三味線の面白さが勝ってきたせいか、お稽古中に寝ることはなくなった。まあ、それが当たり前で正しいお稽古の姿勢なんだが。

お稽古が終わってから、知り合いの不動産屋へ。私は不動産業もやっている。前日一緒に内見した物件についての相談だ。その物件は築100年以上の古い物件なんだけど、うまく活用方法がないか相談していたところ。この日は、よい話ができ、収穫もあった。よしよし。いい感じ。

そして6時。7時からはまた別の集まりがあるので、それまでに夕食をと言うことで、近所のうどん屋で肉うどん。うどんの「大阪屋」はこんな値段で本当にいいの?という値段。肉うどんで600円なんだもん。肉も牛肉だよ。良心的過ぎて心配なので、ちょいちょい行くようにしている。注文した途端、タケシくんから

「火鉢を出して、今日から試運転を始めた。はんぺん焼いたから食いに来るか?」

とのメール。うどん屋のあと、タケシくんのアトリエに寄って、超うまい「はし六」のはんぺんを1/2食べる。火鉢で炙ってあるから、ぷくっとふくれて、表面はパリパリに乾いている。本当においしい。「はし六」ホントにおすすめです。

さて、この日の最後は町の若手の人たちが集まる「防災の勉強会」。木造家屋が立ち並ぶ町にも関わらず、今まで大して火事、地震、水害などについて真剣に考えてこなかったことを問題提起して、集まってもらった。この日集まったのは近隣の6名で、今後やっていくことを大まかに決める。町内のハザードマップなどもチェック。9時に散会。

家に帰ったら、息子から電話。新しく作る店の通販サイトに関する相談。そのあと風呂、10時半には布団に入り「毒性元素」という本の続きを読みつつ寝落ち。半農半Xって大変だなー。...って、この日ひとつも「農」やってねえ!

これだけ違う分野のことをいくつもやっていると、脳みその創作分野がまったく作用しない。これは困る。予定をこなすだけというのは本当にいけない。けれど、一日の情報量を脳が整理するためにはひたすら寝なくてはならないし、自営業というのはいくらでも仕事がある。やったらやっただけの見返りもあるから、ついついやってしまう。第一、私みたいなのは老後を蓄えないといけない。

けど、あんまり年を取ってから小説書いたって、フレッシュさがない。小説のネタになるようなことはたくさんあるのに。これ、いざ書くとなってから思い出せる?いやー、どうだろう。けれど、何かしら書かなくてはということで、とりあえず書いた日記、というか散文。まいっか、今日はこれで。

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