JK真夏のおしゃれ
この話は前に書いたかどうか覚えてない、高校生の時に付き合っていたキヨタカくんが家に遊びに来た時の話だ。
キヨタカくんはフェンシング部だった。部活が終わってから家に来る、と電話があった。私は慌てた。というのも、着る服がなかったから。夏休み。家では相当だらしない格好だ。だからと言って、自分の家で「よそゆき」を着ているのはもっと変だ。適度にリラックスした、適度におしゃれな服...。
そんなものあるわけねえ!
私は悩んだ。何度も引き出しを開けたけれど、何度開けてもそこには「だらしない服」と「よそゆきの服」しかない。家の中を歩き回ったが廊下に服が落ちているわけでもない。居間に行ったら、取り込んだばかりの洗濯物がある。その中に、マドラス柄のパンツがあった。うちの家族は私を含んだ三人姉妹。そして母。そう、そのマドラス柄のパンツは父のものだった。普段から擦り切れたような柄パンばかりだったが、これは新しそうだった。
「ええやん、これ」
黄緑とイエロー、少しブルーも入って、なんかおしゃれだ。
そう思った私はその柄パンをはいて鏡の前に立った。スヌーピーのTシャツともよく合うし、部屋着っぽい。「MC Sister」で村上里佳子がこんなの履いてたし。
うん、これだ。
家にやってきたキヨタカくんと部屋で話をしたり、漫画を読んだりしていたが、ふとキヨタカくんが言った。
「なあ、それってパンツやろ?」
「ええ!!」
私は焦った。なぜバレたのだろう。
「違うよ!ちがうちがう!」
一生懸命手を振って否定する。
「いや、ぜったいパンツやん」
「違うよ~!普通のショートパ・ン・ツ!もう!何言うとるん~」
キヨタカくんがそれ以上何も言わなかった。多分、私が必死の形相だったからだろうか。だが、キヨタカくんが帰ってから見てみると、その柄パンの中央には、ちゃんと「チン○ン」出し入れのための小さいボタン付きの窓があった。これが彼の目に入ったのだろう。そもそも女物のショートパンツにこんな窓は付いていない。
キヨタカくんはうちにいる男が父だけなのを知っているから、私が履いているのが「お父さんの柄パン」だと分かったはずだ。彼女がお父さんのパンツをはいているとは、一体どんな気持ちだったのか。彼も私のように、このネタをどこかで話してくれているなら、高校生だった私も浮かばれるだろう。おしゃれとは難しいな、と思った高2の夏。
サポートありがとうございます!旅の資金にします。地元のお菓子を買って電車の中で食べている写真をTwitterにあげていたら、それがいただいたサポートで買ったものです!重ねてありがとうございます。