尊きものそれは少年

ボーイズ・ラブ(BL)も、腐女子という言葉もなかった時代、学校でそれは「ゆきじの世界」と言われていました。

小5のある日「ぴったしカンカン」というテレビ番組に朝丘雪路という女優さんが出ていて、それを見ていた友達の道代ちゃんが次の日の朝下駄箱でわたしのことを「ゆきじ」と呼び、その日から皆が私をゆきじと呼ぶようになったのでした。「ゆきじの世界」とは今でいうとBLの世界です。私はクラスで唯一のBL愛好者であったため、光栄なことに私の名が冠されていました。

当時の私のクラスには美少年風の男子が数名おり、中3ですからなんだかんだとつるんでふざけ合ったり取っ組みあったりしているわけですが、それを見た誰かが「なあなあ、あれってゆきじの世界?」と私に聞いてきます。そこで私は「ゆきじの世界とも言えるし、そうでないとも言える」とかなんとかエラそうなことをいうわけですね。ほら、中3なんで。

それまで私の愛読書といえばマンガ「風と木の詩」や今や幻の雑誌「ALLAN」でしたが、それでは物足りず、「男色」「耽美」「美少年」と言った言葉を探し出しては本を漁りまくり、三交やジャスコの本屋、三宅書店や古川書店などで買い求めましたがサドの「ソドム150日」を読んだときは(フランスってえげつない国やな…)と思い、「仮面の告白」を読んだときは(…意味がわからない…)と思い、誕生日プレゼントでもらった「さぶ」を読んだときには(コレジャナイ…ゼッタイ二コレジャナイ…)と思いつつも最後の文通欄を熟読。まあほら、中3なんで。

男性の方はBLって言うと「男同士がハアハア言うこと」で腐女子はそのハアハア言っている男を見るのが好きな女、と思うかもしれません。言葉としてはそれで合っているのかな?私はわかりません。その言葉が出てきた時を知らないので。もし言葉がそのとおりだとすると、私が好きなのはBLではありません。また、腐女子でもないと思います。男同士のハアハアが好きなんではないのです。そういうのじゃないんです。いろんな性癖の方がいらっしゃるのを承知でいいますが、

そんなの見て興奮するわけないやろーーーーー。

そういう「性」の部分じゃないんです。まあ、まったくないと言えば嘘になりますが、今回はそういう話じゃありません。性を超越した存在と言えばなんでしょう。そう、天使です。天使と言えば男と相場がきまっておりますが、天使をより天使たるものにするのがアレですよ。

賛美歌

でございますね。さあ、やっと私の言いたいところにやどり付きました。少し前に「ムーンライト」という映画を見たのですが、サントラがなかなかよくて、Spotifyで聞いておりましたところ、モーツァルトの歌が入っていたんですね。私それ知らなくて、でもサントラは曲が短くて1分ちょいで終わってしまうんです。でね、それソプラノじゃなくてアルトなんですよ。私はピンと来ましたね。これ、少年バージョンかカウンターテナーバージョンがあるはずだって。

調べたらありました。カウンターテナーはなかったけど、少年はある。女性の声も安定していていいのだけれど、ボーイソプラノのあの少し危うい感じ(声変わりする前の一瞬のきらめきという意味で)と透き通った声がねー、やっぱいいのですよ。尊い!それでねえ、私は買いましたよCD。CAI THOMASくんのね、肝心のモーツァルトの歌も入ってるし、お決まりのオンブラ・マイ・フ(ヘンデルの曲で映画「カストラート」でも歌われていた。カウンターテナーの人はよく歌う)も入ってるよ。何が言いたかったって言うと、そのCDを買った話をしたかっただけで、BLとか関係ないんだけど、でも、竹宮恵子先生好きならわかってもらえると思いますが「変奏曲」や「ウィーン幻想」とかね、あの路線でいろいろ思いを勝手に膨らませているんです。いいよね、それくらい。

でも、猫のサラさんの同人誌は買いました、えへ。


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