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誰にでも簡単にできるお仕事は本当に誰にでもできるのか

求人情報を漁っていると、時折見かける魅惑のフレーズ、それが「誰にでもできるカンタンなお仕事です」である。

なにせ、「誰にでも」 なのである。


ということは、「私にも」できるカンタンなお仕事ということであろう。

ちなみに、私はただの「私」ではない。
「手先が物凄い不器用で、コミュ障で、すぐどもる。その他いろいろヤバい私」である。

そんな私でもできるとは…
どんな仕事なのか内容が気になるところだ。
と、いうわけで、実際に働いてみた時の話を書いておこうと思う。

募集を出していた派遣会社に連絡を取り、面接を受けて 職場見学に行くことになった。
化学薬品的なものを作っている会社で、きれいな工場であった。。
パジャマのような作業服を着た作業者たちが黙々と働いていた。

私にもそのパジャマのような服が貸与され、見た目だけは一人前に従業員の仲間入りである。

仕事内容としては、
化学薬品を容器に詰めたり、外箱を折ったりシールを貼ったりダンボール箱に詰めたり等々だそうで
確かに簡単そうで楽しそうで 私にもできそうな作業であった。

その日は、入ったばかりということで 慣れるためにも
特に簡単なシール貼りをやることになりました。
はっきり言って楽勝だと思った。

シール貼りなんて幼い頃に憧れていた職業である。
大好きなシールが思う存分貼れて、しかもお給料がもらえるという夢のような話なのである。

私のテンションは最高潮に上がった。

そして、15分後には一気にドン底まで下がった。
まるでジェットコースターだ。

何があったかというと
まず、最初のうちはまあまあよかった。
しかし調子に乗っていたらシールにエアーが入ったのだ。
そしてそれを貼り直そうとして失敗したんである。

さらには、微妙に曲がっているとの指摘も入ったのである。

何をかくそう、私は昔から「まっすぐ」がよくわからない。
定規で線を引いても 何故か斜めになるし、
まっすぐ並んでいるつもりでも「まっすぐ並んで」と言われることがあった。

正社員の人が気を遣って「よくあることだから大丈夫」と、笑顔で言ってくれて
ドライヤーでシールを温めてきれいに剥がし、貼り直してくれた。申し訳なさMAXである。

帰り、100均に寄ってラベルシールを買って帰って
空き箱に貼る練習をした。
家だとリラックスしているからか、案外上手くいくものである。

次の日は、コンベアーで流れてくる製品にシールを貼るという
ちょっとしたゲームみたいな作業だった。

例によって最初はまずまずよかった。
しかし、納期の事情でコンベア速度が上がった。
しかも思いの外いきなり速い。
製品にくっついて私自身もコンベアに合わせて流れたりしたので 隣の人に心配された。

シールを貼りきれなかった未完成製品が増え、
作業スペースを圧迫して ますますまともにシールを貼れない悪循環に陥った。

そして下流の作業者から「シール曲がってるよ!」と指摘がはいる。

生きた心地がしなかった。

いやはやシール貼りがこんなに難易度の高い仕事だなんて思ってもみなかった。

結局、その職場では1年くらい働いたがシール貼りが上達することはなかった。
やはり人には向き不向きがあるのだろう。

しかし、工場にシール貼りは切っても切れない作業のようで
今の職場でもシール貼り作業がある。
そして最近気づいたことがある。

それは、シールや貼る側の素材にもよるが

貼り直す時に爪でシール角をめくると、
ほぼ致命傷となる確率が激高いことである。

それよりはマシな貼り直しのコツとしては、
カッターなどでそーっと角を持ち上げ、隙間にシール台紙を角からスクレイパーのように滑りこませる。
シールを一旦台紙にさらい戻すようなイメージだ。

貼り方はいまだに治具を使用してもまっすぐ曲がるレベルだが、直し方はちょこっとだけ上達した。
いいんだか悪いんだか。
まあ、ほんの少しだけは気楽になったかもしれない。

結局、誰にでもできるカンタンなお仕事というのは決してカンタンなんかじゃなかったし
簡単そうに見える作業でも、実はかなり高度な技術が求められることがわかった。

もし、当たり前のようにシールを素早くまっすぐ貼ってる人がいたら、その人のことは尊敬した方がいいです。
天才だと思います!




























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