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転職

30代の頃勤めていた会社は小さくて刺激的でやりがいがあった。

最初の一年間は派遣でツールを作っていて、周囲からはほとんど無視されていた。私はこんなレベルの人間じゃないのにどうして?って思ったけれど、どうにかやっていた。

ほどなくOracleから鳴り物入りで30代後半ぐらいの部長が転職してきた。こいつがどうにもこうにも無能君で、私はそいつが嫌で嫌で嫌で嫌でもう辞めようと決めた頃、人事にも影響力ある営業部長が大きな組織再編を行い、一人一人と個別面談を実施した。私は自分のレジュメを営業部長に見せ、「私はこういう経歴でやってきた。それなのに、ほとんど何も仕事をしていない。つまらないから辞める。」と言ったら、慌てて引き留められ、破格の年収で社員登用されることになった。まさに上司次第で仕事は天国と地獄。無能で無害な人の下なら退屈だけどとても安全。無能で有害な上司が最悪で、有能な人が有害になることはおても稀なもので、有能な上司は人に対する扱いも有能

偶然有能な(実は有害だった)営業部長に気に入られたことで、私は40名の部下を持つ課長になり、次々と業務改善を行い、プロジェクトマネジメント手法を使って生産性を60%改善したり情報システム部を立ち上げて会社に大きく貢献した。

その頃、会社は上場準備のために小さな無名のコンサル会社と契約していて元半導体企業にいたという老齢の爺様が仕切って、やはり改革を進めようとしていた。少しずれるけど、私はこのコンサルタントっていう人種がとても嫌いで、一切信用していない。理由はただ単に自分とキャラがかぶるってことじゃないかなと思ってる

で、その無名のコンサル会社にかなり恰幅の良い、建築現場の親方みたいなオヤジがいて、こいつが厄介な存在だった。とにかく人のことをコントロールしようとする。気に入られたらしく、自分の思い通りに使おうとあの手この手で働きかけてくるのだ。しまいには入社して、私の上司の地位に納まった。どんな執念だよ。キモイ。それまでの自由な生活はなくなり、私はその親方のコントロールからどうやって逃げるかだけに集中する毎日だった。当然成果はどんどん下がる。ある日事件が起きて私は親方に怒鳴った。なんて言ったのかもう覚えていないけれど、言いたいことを全部吐いてスッキリしたのを覚えている。

辞めたのは自分の意思ではなくて、件の実は有害営業部長がクーデターを起こし、その一味とみなされ、巻き添えで退職勧奨を受けた。仕切っていた爺様から銀座で高級寿司をごちそうになりながら言われたことは「あなたはスタートダッシュはかなりいいんだけれど、その後ググっと能力が下がってしまうんだよね」と、おい、それ、お前が連れて来たあのブルトーザーみたいな親方から受けたストレスのせいだぞ。とはその頃は気づいていなかった。

会社は好きだったけど、そこにいた有害な少数の人に負けたよなもん。

好きだった会社を辞めて、某有名一流銀行に入りこめたものの、保守的で高慢な一流の行員さんたちと合わず、1年経たずに辞めて今の会社のグループ会社へ。

そこの勤務も楽しかった。あるツールの導入事件が起こるまでは。あれもやっぱり40代の美人女性上司がヒステリックに私をコントロールしようとしていたことが原因でもめた。彼女の強すぎる責任感とプレッシャーに巻き込まれ、私は自分の意思とは違うクソみたいなツールの導入を進める責任を負わされ、しかも肝心なところで美人上司に梯子を外された。

今考えれば、あの組織は辞めて良かったよ。ひどく保守的で権威主義的な集団だった。問題の女性上司からは信頼されて、相性も良かったのに、いかんせん彼女の病的態度は長く一緒にやれるものじゃなかった。他の部下へのパワハラもすごかったし、部長報告前のピリピリした感じは毎週みんな嫌いだった。

今の部長も、残念ながらその美人上司と同様、本部長報告前にピリピリしてチーム内の特定の人に対して八つ当たりをするタイプ。こういうの私たちにはどうすることもできないし、そんなになるまでピリピリさせるような組織と上司本人の問題なので、こちら側でできるのは、関わらないようにするか、ダメなら辞めるかしかない。でも上司と関わらないってどうやるんだ?

今の職場も保守的で文化が合わない。自分の意見を一切言わない同僚たち、指示待ち、思考停止の人たちの中で、自分もその習慣に染まってしまうのではないかと怖くなる。たぶん自分に合う環境に行った方がいい。そこに合わない人がいても、それでもまだやりがいがあって、自分がのびのび働ける会社に。

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