歌には記憶が残っている

オタク語りなのか、みんなにも体験あるのか。
桜の季節。
どうしても思い出してしまう曲が2曲あります。
1曲目はKAORI「やさしい星座」、2曲目はSnow*「願い星」です。
恋愛ゲーム、またはそのアニメ化作品に関係したものですが、桜とは関係のない歌です。

KAORI「やさしい星座」は、
恋愛ゲーム『Memories Off Duet』の1stEDになっています。
PSP版『Memories Off』では番外編『Pure』のEDです。
ぼくはPSP版でプレイしたので、後者のイメージが強いですね。

Snow*「願い星」は、
アニメ『キミキス pure rouge』のEDです。
実はアニメ本編は見ておらず、CMで耳にしたのが気に入ってプレイリストに入れていました。

2曲とも恋愛をテーマにした作品の曲なだけあり、恋愛、特に相手を大切にしたい気持ちやおさえられない気持ちを描いた歌です。今書いてて気づいたのですが、「pure」とつく作品の歌でもあるんですね。自分の中のpureなところに刺さって記憶に残っているので納得といった感じです。そして2曲とも、「結ばれてハッピー」な歌ではありません。自分の「祈り」の歌です。

この2曲が焼き付いた背景としては、高校の時にはじめて真っ当な恋愛をして付き合い始めた彼女と電車に乗っていた、というものがあります。違う高校に通い、帰りの時間の一区間だけ、一緒に電車に乗っていたのでした。そしてある春の日、ちょうど彼女を待っていた時間に流していたプレイリストがこの2曲でした。

その一区間は、桜の時期だけ、満開のすぐそばを徐行運転してくれていました。ぼくは彼女と「綺麗だね」なんて言って車窓からぼんやりと眺めていたものですが、頭の中ではずっと、聞いていた2曲が流れていました。
「こんなにも景色が色づいて見えるのは、君に会えたからかな」なんてピュアな想いを抱いたのも覚えています。特に「やさしい星座」は、ゲームのシナリオと自身が重なり、涙ぐみかけてしまいました。格好悪いな、と思って必死にこらえましたが、我慢しない方が、後の二人の関係はよかったかもしれないなと振り返ります。

恋愛を重ねるたび、この日の桜と2曲を思い出さずにはいられません。
あの頃のまっすぐさやピュアな心をいつでも振り替えられるような、あるいは立ち戻れるかもしれないような、自分の中で「原点」になっている気がします。世界には色がついていて、こんなにも鮮やかだったんだと気づけたのは、この体験があってこそでした。
元々シナリオや小説を書き始めたきっかけのひとつも『Memories Off』でしたし、それが自身に重なったことも大きかったんでしょう。様々な創作や恋愛を重ねてなお、心の中には桜並木と電車、この2曲がセットになっています。

『Memories Off』は恋愛ゲームではありますが、別れを描いた作品でもあります。どこか終わりの気配、あるいは終わった後、の空気が漂っています。
桜もそうで、あんなにも綺麗なのに、終わりの予感をぼくは感じてしまいます。永遠なんてないんだ、それでも生きていくんだ、という前向きさをもらっているような気がします。

桜の季節。
とても美しく、思い出の日は遠く、けれど想いはすぐ近くに、いつでもリピートできます。リピートすることでピュアだった頃の自分を思い出して歩いていこうとしているのかもしれません。

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