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新人お題シリーズ(6)学生と会社のミスマッチはなぜ起きるのか

新人からもらったお題にシリーズでお答えしています。第6弾目。
さてさて、ミスマッチ…。
この言葉への違和感がぬぐえず、ということはお題の意図がいまいちつかめないということ。なのでいろいろ質問させてもらいました。そして具体例としてもらったのが以下。

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例えば、小売業志望で接客に対して意識を高く持っている学生がいたとして、その学生が面接に行った会社は接客の質などには自信がなく、かといって接客に重きは置いていないなどとは答えらず不運にもその学生は入社してしまいミスマッチを感じる。みたいなことです

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入ってみたら完全にブラックな会社だった、みたいな事例はミスマッチ以前のお話しなので、一旦はこの「方向性の違い」に関してお題を進めたいと思います。また、学生ということではなくもう入社している状態で感じることだと思うので「新人と会社のミスマッチ」として語りますね。

◆ミスマッチに違和感を抱いた理由とは
あげてくれた具体例に関してまず最初に思ったのは、なぜこの「接客に対して意識を高く持っている新人」は、「会社は接客の質に自信がない」「接客に重きを置いていないと答えられないでいる会社」というところまでわかっているのに、その自分の高い接客への意識を、会社で生かそうと思わないのだろう?ということでした。
せっかくそこまでわかったなら、ぜひ、なぜ会社が「接客に重きを置いていないと言えない」と言うかその理由まで考えてみましょう。
・会社は本来接客を軽視してはいけないと思っている
・けれどもその質に自信が持てないでいる
・なので新人からそれを見抜かれたときに「接客なんて別にどうでもいい」とは言えないし、かといってできてはいないから、口ごもる。
こういうことですよね?
むっちゃ、チャンスじゃないですか。
面接ではきっとあなたは「接客への高い意識」をプレゼンテーションをしたのですよね。そして会社はそれを喜ばしいと思って採用した。ああ、この若者が将来、うちの会社の問題に対して正面からぶつかり、内部発酵を起こした上で、正しい方向に導いてくれるかもしれない。君を採用だ、お金を払うから是非ともがんばってくれ!そんなことを企業は考えたのではないでしょうか。

◆教えてもらう立場の前に働く立場
なのにこの新人が「現状会社ではできていない、質が悪い」ということでミスマッチを感じるのはなぜでしょう。
高い美意識のさらに上をいく「接客の神業」みたいなものを学ぶために入ってきたから?
以前書きましたが、会社は勉強する場所ではなく、自ら覚え、企業の売り上げのために働く場所です。教えてもらいたかったのに~というのはお金をもらって働く以上、基本的にはおかしな論理です。
また今持っている能力をもったいぶって使わない、なんてことをする必要はどこにもありません。それは働く姿勢としても間違っているもの。これはあなたの「意識の高い接客」を生かすチャンス。
まず自分がそれを実践し、周りへ影響させ会社に変化をもたらすことができたら、会社も嬉しいしあなたにとっても大きなキャリアになります。
教えてもらう立場ではなく、働く立場。
もちろん上記をやっている上で「この給与ミスマッチだわ~」っていうのはすごいよくわかります。会社全体に貢献して会社のブランドがうなぎ上りに上がってるのがあなたのおかげだとしたら、初任給レベルで働くのは金額のミスマッチ、ですよね。ぜひともエビデンスをもって上司に交渉しましょう。
結果を出しエビデンスも提出してるのに上げてもらない場合、重要度の考え方のミスマッチということになるでしょうか。余談ですが。

◆企業は完全じゃないから採用をする
何か新しいことを始めるため、欠員が出たため、会社の問題を是正するため、などに、企業は採用活動を進めます。もし入った会社が「なんじゃそりゃ」なことをしていた場合、上司に問題提起をすることも一つの方法です。もちろんそこには「話の進め方のスキル」が必要だし、相手には自分に見えていない事情があるはずだ、という相手へのリスペクトの前提も忘れてはいけません。
問題提起をしてみると、上司の説明から別の視点が浮き彫りにされ、今回の問題が別のメリットのためデメリットということが見えてくる場合もあるでしょう。そうしたらそこからまた考え、改善すべき方向を探り、また上司に提案する。その繰り返しの中で「自分が持つ強み」を「この会社でどう生かすか」が見えてきます。
もちろん全てが完璧に整っているように見える企業もあるでしょう。でもそれはまだ自分がその会社の問題を発見する能力がないだけかもしれません。問題に気づいたことは、それだけですばらしいことで、自分のすべきことが見えたということ。ミスマッチなんてもったいないことを言わずに、より良くするために動くチャンス、と思うけれど違うでしょうか。

◆かたや、企業からのミスマッチにも違和感が
そして企業からのミスマッチに関してですが、まあ採用した新人が「思ってた人と違う」っていうことは大いにあるでしょう。少ない面接の時間や書類からでは見えてこないことはたくさんあります。すごく積極的な印象を抱いた若者が、意外と臆病で発言力がなかった、とか、しっかりとした考えがあるように見えたけれど、意外と経験不足で視野がせまかった。とか。
けれど「ミスマッチ」という言葉はやはり企業側からの目線でも違和感なのです。
遅刻ばっかりするとか、働くための最低限が備わっていない場合は戦力外(論外)になりますが、通常は入ってきた新人がどこが弱いかが見えたらそれを指導するまでのこと。
会社の理念や方向に向かって働く社員として雇用したのだから、あなたがどう考えていようがそれに向けてプロとしてちゃんと仕事をしてください、ということになります。上司から命令を受けて「いや私はそういうことはしたくありません!」ってやらないとしたら命令へ背いたと言うことになって、そうするとそれはミスマッチとか以前に、譴責、減給、出勤停止などの対象行為ですよね。


会社と社員とは、そもそもマッチングをするような関係性にはないのだと思います。
先日再開したドラマ、半沢直樹でも最後半沢さんが言っていましたが「大事なのはどこで働くかじゃない。どう働くかだ」まさにこれなのかなと。
会社の問題が見えても、雇用契約があるならまずは自分がそこでどう働くかを考えるステップが必ず必要。会社の方もその人間を活用する方法を考えるステップが必要。
いろいろな事情から「ミスマッチ」っていう言葉が出てくることもあるでしょうが、あなたの働き方次第で会社は変わるし、会社もどう働かせるかで会社を動かす、という視点でいる。
人材という言葉がありますが、それほどに会社にとっては人が財産なのです。

理念や方向性がどうしても自分では受け入れ難かったり、自分が試してみたいことがその現場で試せないということがわかったら、もちろん転職することも必要なことだと思います。
けれどきっとその場合は「ミスマッチ」という言葉にはならない。
お互いにリスペクトを持って、相手を尊重しながら離れていくのが理想かな。

そういう意味で言うと「学生と会社のミスマッチはなぜ起きるのか」というのは、働くということをまだちゃんと理解できていない学生と、会社の視点が違うことにより起こるすれ違いということになるのかもしれませんね。

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