凍りの世界【詩】
ギザギザに傷ついた三日月が
凍りついた電信柱に刺さっている
よるじゅう凍えていた
寒い寒い夜
どこかで狐が遠吠えしている
あれは氷きつねだ
あの種類じゃないとこの寒さは生き延びられない
わずかに生き残った僕らは
火種を少しずつ燃やしながら身を寄せ合い
互いの身がいつ凍りつくともしれない恐怖に怯えながら
それでも覚悟はできていた
街には美しい彫像がたくさん
あれらはすべてかつて生きていた人々だ
私達は、明日は我が身ながらそれらを美しいなあと眺める
まちの広場のそれは、まるでスケートをしているかのようで、楽しげにすら見える
私達はただ冬を過ごす
いつまで続くかわからない冬を