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朝活ナースとちいさいおっさんのはなし

8月も折り返しに入り、夏本番を迎えている。

夏にぴったりの、少し怖い(?)おはなしをしたいと思う。


風邪による高熱にうなされ、意識が朦朧としたことがある人は少なくはないだろう。

朝活ナースもそのうちの一人である。

小さい頃は頻繁に扁桃炎による高熱が出て、幼稚園を休んでいたらしい。

遠い昔の記憶なのであまり覚えていない。しかし、鮮明に覚えているシーンが一つある。


幼い朝活ナースはいつものように高熱で寝込んでいた。

幼稚園の頃から自分の部屋が与えられていたが、母親は心配だったのだろう、風邪の時はいつもリビングに布団を敷き、そこで寝かされていた。

おでこに冷えピタを貼り、布団にくるまっていた。

ふとテレビ台の下に目をやった。するとDVDプレーヤーの横に何かが見えた。


それは白いひげを蓄えた10cmほどの小さなおじさんだった。


おじさんは朝活ナースと目が合うやいなやDVDプレーヤーの後ろに隠れた。

幼い朝活ナースは慌てて母を呼び、起こったことを話した。

母とともにおそるおそるDVDプレーヤーの後ろを確認したがおじさんはもういなかった。

そのあとはもうそのおじさんが現れることはなかった。

そして朝活ナースの記憶からも次第に消えていった。


月日は過ぎ、高校生になったある冬、朝活ナースはインフルエンザにかかった。

40度近い熱が出て、ぐったりとして自室で布団にくるまっていた。

朦朧とする意識の中、朝活ナースは半開きになった部屋のクローゼットの方を見ていた。

するとクローゼットの中から何か出てきた。


それは140cmほどの小さめのおじさんだった。


その瞬間、幼稚園の頃みたおじさんの姿が記憶の奥底から鮮明に蘇ってきた。


しかし140cmはさすがに大きすぎる。

朝活ナースは恐怖を覚え、目をつぶり叫んだ。


「おかあさーん!!!!!」


目を開けるとおじさんはいなかった。

私の叫び声を聞いた母があわててやってきた。

起こったことを話すと母は馬鹿にすることなく、案外真面目に取り合ってくれ、お清めの塩をクローゼットに撒いてくれた。


それ以後、おじさんは現れていない。


現在朝活ナースは看護師として病院で働いている。

夜の病院などいかにも幽霊が出そうなシチュエーションだが、今のところ病院で幽霊を見たことはない、、、。


風邪の時、しかもかなりのレア度で現れるあのおじさんは何者だったのだろうか。

出現のたびにサイズも大きくなっており、朝活ナースとともに成長していると言っても過言ではない。


次会う頃には2mはゆうに超える超巨大おじさんになっているのではないだろうか。

、、、想像しただけで身震いがする。


昨年から流行している新型コロナウイルスの猛威は、現在も留まることを知らない。

今日も朝活ナースはしっかり手洗い、うがい、アルコール消毒を行う。


巨大おじさんに会わないためにも、、、



おしまい

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