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世界の文字:ヨーロッパ~中央アジア

西洋言語の文字のルーツは、フェニキア文字。
現在のレバノンにあたる海洋民族フェニキア人が考案した文字は、古来より海上ネットワークでつながる諸外国で広く採用された。

フェニキア文字は、エジプトの象形文字とは違い、単体では意味を持たない記号と発音を対応させて、20あまりの種類の記号の組み合わせでどんな言葉も表記できるという、画期的な表音文字だった。

フェニキア文字をアレンジしてつくられたギリシャ文字は、知の基盤を築いて後世に継がれることとなった。

一番目の文字がアルファ、二番目の文字がベータであることから、後に「アルファベット」と呼ばれるようになる。

現在のヨーロッパはEUとして一括りにされがちだが、ギリシャは他と一線を画した歴史と文化がある。

イタリア半島のラテン人は、ギリシャ文字をアレンジしてラテン文字をつくった。
ラテン人は古代ローマの礎を築き、かれらの言葉は後の大帝国の公用語となった。

ラテン語は廃れたが、現在のイタリア語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語などがラテン語系のグループとなっている。
学術用語としてのラテン語はまだ残っており、現代の世界でラテン文字は最も広く使用されている。
日本ではローマ字という呼称の方が一般的。

ローマ帝国が東西に分裂すると、西方のラテン系やゲルマン系にはラテン文字が普及し、東方のスラブ系にはキリル文字が広まった。

北欧の言語はゲルマン系(フィンランドを除く)でラテン文字を使用しているが、ノルウェーやデンマークでは一部特殊な文字が見られる。

キリル文字もギリシャ文字からアレンジされたもので、発祥はブルガリア。

ギリシャのキリスト教正教会を文化基盤とするスラブ圏は東方へ勢力をのばし、後に世界最大の国となるロシアもキリル文字を採用した。

広すぎるロシア。
ロシアはキリスト教だけでなく、イスラム教圏もあればチベット仏教圏もある。

仏教にキリル文字は意外な組み合わせ。

レストランのメニュー、さっぱりわからん。

スマホをかざせば解読、チートな時代。

第二次大戦後、アメリカと世界を二分したソ連。
その衛星国となった東欧や周辺国はキリル文字を採用したが、ソ連崩壊後にラテン文字に変えた国も多い。

今もロシアとの結びつきが強い国は、キリル文字を使い続けていたりする。

欧米に寄るか、ロシアに寄るか。
文字の分布は時代の勢力図そのものかもしれない。

もともとアラビア文字を使用していたイスラム教のトルコは、ヨーロッパになりたくてラテン文字に変更。

同じくトルコ系民族のトルクメニスタンは、ソ連時代はキリル文字を使用していたが、独立後はラテン文字に変更。

同じくトルコ系民族のアゼルバイジャンは、アラビア文字→ラテン文字→キリル文字→再びラテン文字、という変遷を遂げている。

現在のアゼルバイジャンはキリル文字は廃止されているが、こんな看板も。

カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスなど旧ソ連のイスラム圏は今もキリル文字。

謎の独自文字を持つジョージア。

やはりギリシャ文字をモデルにしているらしい。

ジョージアも旧ソ連だが、今はロシアと対立しており、ロシア的なものを排除する傾向がある。
今後もこの固有の文字を使い続けるだろう。

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