子宮全摘⑨退院日〜休養旅行
11/3(金)
退院。退院したその足で休養旅行に出かける。
病院→バス→電車→鶴橋からひのとり(近鉄特急)に乗って名古屋へ向かう。
その間考えたことをつらつら書いていく。
ひのとりはすごい、何がすごいって、リクライニングするとシートも前にスライドするのでフィット感がすごい。それでいて前のシートにテーブルがひっついていなくてついたてみたいになってるので、後ろに配慮しなくていい。
ひのとりは津まで止まらない。その次は近鉄名古屋。乗換なし。京都まで出て新幹線に乗るよりはずっと楽だし、安い。
ひとりでこんな旅に出るのは20年ぐらいぶり。20歳のとき以来か。あのときは、もう私は自分でどこにでも行けるんだなと実感したことを、よく覚えている。
あの頃は特急より快速に乗っていたし、新幹線より高速バスだった。お金がないから。だから一人で特急に乗ったときは、すごく贅沢している気分になった。
11月になったというのに快晴、気温が高く、車内は弱冷房でちょうどいい。高い空。秋だなあ。誰も何も気にせず電車に乗れることはすばらしいなあ。次はいつになるんだろう。
遠くにニュータウンが見える。ニュータウンに家を買うってどんな気持ちだろう。等しく高さが並んだ家たち。家が欲しい(1か所に永住したい)と思ったことのない私にはまるでわからない。
山間の集落に住む人はどんな気持ちだろう。実家がそこにあるから住んでいるだけかな。見える範囲ではスーパーもコンビニもなくて、車移動が当然で、ガソリン代は月にいくらかかるんだろう。
喫煙所は二人分、各車両からみんな来るので、おとなしく並んで入る。電子タバコの人だとうれしい。紙タバコだと逃げ場のないにおい。
三階建てのビルの上に赤い小さな鳥居がある。その直線状にやや大きなお稲荷さんがある。ビルが建つ前はお稲荷さんがあったのかな。
イチョウの真っ黄色。紅葉はあまりなく、杉ばかり。突然窓際に現れる黄色はセイタカアワダチソウ。
川は流れが見えなくて、池のように凪いでいる。でも近くに行ったらどちらかに向かって流れているはず。一瞬だとわからないことってあるよね。
ああ思い出した、最後の一人旅は9年前。兄が亡くなって、埼玉のアパートで遺品整理とアパートの解約をした。父とは現地で合流した。私は一人で行きたいし帰りたかった。帰りの新幹線で、涙があふれた。次から次へと涙があふれ、ハンカチがなく、ティッシュを使い果たした。それでもなお涙は止まらないので、隣の人に配慮しながら服で拭った。あれが最後だ。あれも秋だった。
収穫の終わった田んぼでわらを焼いている。快晴の空に際立つ煙。
津に近づくにつれて建物が増えていく。自衛隊の基地も見える。津を過ぎてからはどんどん建物が増えていく。いくつもの橋を渡る。
おみやげを買って(迷いに迷ってコメダの小倉トーストサブレにした)、入院中ガッサガサになった顔のために化粧水買って、きしめん食べて(温しかなかった…)豊橋行き普通で安城へ。結構混んでいる。
きしめん食べたら胃腸が動いて、ひやひやする。ビール飲んだらガスたまるから痛くなるかもなあ。きしめんうまいなあ。
三河安城までの車窓からの景色を見て、唐突に、私はまだ何にでもなれる!と思った。
一人で電車乗って遠くに行くのは苦じゃない、今はできないけど、またなれる。
子ども産まなかったら、その幸せに気付けなくて、ないものねだりしていただろう。
今日は移動が多いので、きっと夜は傷口が痛むだろう。痛みを逃す体勢が難しいのよな。早めにロキソニンを飲んで寝るとしよう。
三河安城に到着。降りるのは初めての駅。東横インにチェックイン。
東横インは安定の快適さ。これから3泊。
そのあと熱海で4泊。こんな期間一人で過ごすのは一体いつぶり。いつも誰かといた気がする。今回も熱海などで会う友達はいるけど、夜を過ごすのが一人なんて不思議。自由。
夕飯は何を食べようか、あまり店はないけど、まずは爪切りを買いに近くのダイソーへ行こう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?