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血中酸素とアサイゲルマニウム

浅井一彦博士の酸素代替仮説

アサイゲルマニウムは世界で最初の経口的に人体摂取可能な水溶性の有機ゲルマニウム化合物です。パイオニアとして創製されてから今年で56年。
既に、ぼくの記事の中ではアサイゲルマニウムについての簡単な歴史や、名前などの変遷を記してきました。そして、生体への作用はどのようなものがあるのかについても、幾つか記事を書かせていただいています。そんな中で、アサイゲルマニウムならではのオンリーワンな面白い作用が”身体の中に酸素を豊富にする”という働きだと思っています。ある意味、ぼくの博士論文「有機ゲルマニウム化合物Ge-132の生理作用に関する研究」はこの研究によって成り立っているともいえます。
この研究、アサイゲルマニウムを口から摂ると、うんちが黄色くなる理由を考えていったらでてきたものなのですが、調べていっている中で気付いたのが浅井博士の書籍『ゲルマニウムと私』の中に記される”酸素代替説”との繋がりでした。

岩手大学より博士号を授与された研究論文

酸素代替説とは、当該書籍の133ページから記される「酸素の代替を果たす医学の夢」の項に述べられています。アサイゲルマニウムを経口で摂取すると「体内の酸素を豊富にする、言いかえると、この化合物が、酸素の代わりを生体内でつとめ、そのことから病気の治癒と予防効果があらわれてくると解釈したからである。」という記述があります。
この文、前半は言い切っているのですが、後半は解釈したからである…という博士の推測が混じっていることが分かります。これは確定した事実ではなく、博士が観察した摂取者の身体的な変化や、いくつかの動物実験の成果、そして当時の科学的知見とを総合して予想した仮説なのです。
さて、この項の最後に博士は「私はこの生化学的推論は間違っていないと確信すると同時に、ここに医学の夢であった「酸素にとって代わるもの」を発見したとも、自負するしだいである。」と締めくくっています。
これがアサイゲルマニウムによる酸素代替仮説です。詳細は書籍をお読みください(笑)

アサイゲルマニウムとうんち・・・

さて、ぼくの研究紹介に戻りたいと思います。アサイゲルマニウムを飲んで身体に作用しているのをどのように知ることができるか。もちろん、体調に変化を感じる人もいるし、”氣”の充実を実感するという人もいます。なんらかの気になっていた健康状態を表す指標となる数値の変化が起きて感づく方も多いでしょう。
しかし、ぼくの提案は、目で見てわかる変化、摂取した翌日や翌々日の便の変化、特に色変化です。
ぼく自身、入社した20代後半の頃にアサイゲルマニウムを知っていて浅井ゲルマニウム研究所に入ったわけでもなく、なんだか知らない”癌や難病の治療薬をめざす免疫活性化物質”だと聞かされて怪しんだものです。ほんまかいな・・・?という感じ(笑)しかし、その考えに変化が生じたのは、まだ自分の目で最終製品形態も見たことがない、自分で摂取したこともない時で、初めてのアサイゲルマニウムによる動物実験を行った際でした。粉末の餌に、ほんのちょっとだけ加えたアサイゲルマニウムの研究試薬(といってもこれをカプセルに充填しただけのものが最終製品でした)で、その餌を食べさせたラットのうんちの色は全部変化してしまったからです。
その時は、未だ知らなかったのですが、ぼくがこの会社に入ることになったのはアサイゲルマニウムを口から飲んだ人のうんちが黄色くなるからだったのです・・・(汗)このあたりのことは別の記事に記しますので、いつかお読みいただければ幸いです。

うんちの色(糞便色素)と胆汁色素

さて、この記事をお読みの皆さん、「皆さんのうんちの色は何色ですか?」うんちの色は日々変化し、日内でも複数回の排便がある方は都度違うのだろうと思います。いえいえ、安定して黒い色をしています!という便秘がちの方は注意が必要です。ご存じの方も多いかもしれませんが、うんちの色というのは健康状態と密接な関係があり、古来より健康のバロメーターとして重宝されてきました。
ぼくが博士論文を書いている頃、一冊の本が発売になりました。『ウンココロ~しあわせウンコ生活のススメ』寄藤文平・藤田紘一郎著、実業之日本社ですが、この本は結構内容はしっかりしていながら、面白おかしく絵本にしています。ここでも色について記されていました。最近では(あるいみ昔からですが)子供にうんち人気ですからうんち本はたくさん出されていて、Google検索などしようものなら大量にヒットします。恐らく、それらの中にも色の話題が記されているものも多いと思います。
まず、赤ちゃんのうんち、喋れない状態でも、親が見て体調の変化を知ることができる大きなマーカーでしょう。一生涯、多くの人が毎日身体から排出し、体調に合わせて色々な情報を届けてくれる訳です。回数・硬さ・形・色・ニオイなどから知ることのできる情報は沢山あります。
ぼくが伝えたいのは、色についての情報が何の意味を持つのか・・・です。先程の『ウンココロ』の中にも記されていますが、うんちの色というのは良い色あいとされているのが黄色です。黄金色に輝く明るい色のバナナうんち!
そして、以降は一般的な茶色、だんだん便秘気味の人などは焦げ茶や黒っぽい便になっていきます。稀に、赤い血便や、緑の緑便、白い白便などがありますが、いずれも何らかの病的な状態、健康を損ねた時の状態を反映していて、注意が必要になります。
この”便の色合”は何によって決まるのか、ラットの便が黄色く変化するのは何故なのか?ぼくの疑問はそこにありました。当時はインターネットが殆どない時代だったため生化学や生理学の書籍や辞典で調べ、糞便色素というものがあり、ステルコビリンと呼ばれていることを知りました。
このステルコビリンの排出について、アサイゲルマニウムの食餌性の摂取がどのように変化を与えるのか、という周辺の研究を論文にしたのが、2010年に掲載になったぼくのアサイゲルマニウムに関する最初の投稿論文です。Nakamura et al., Journal of Health Science, 56(1) 72–80 (2010)

http://jhs.pharm.or.jp/data/56(1)/56_72.pdf

ここで示されているのは最も多い色素成分はアサイゲルマニウムを摂取していない対照群も、摂取したGe-132群も構成する色素は変わらず、最も多かったのがステルコビリンであることが判りました。ヒトの糞便(ぼく自身のものです)の場合(Fig.2のレーン6と7)は摂取前は少なかったのに、摂取翌日ではステルコビリンが増えていたことが確認されました。ラットの実験では、盲腸内容物中の抽出色素にはTable2に示しているようにGe-132(アサイゲルマニウム)摂取群の方が14.4→24.6μg/g盲腸内容物で増加していて、たしかに黄色くなっていたことが解りました。
糞便色素ステルコビリンの代謝前の前駆物質である胆汁色素ビリルビンがアサイゲルマニウムを摂取したラットの胆汁液を採取して濃度分析したところ、水に溶けやすく二箇所が抱合化されたビリルビン・ジ・グルクロニド(BDG)が増えていたことも明らかになりました。
結局、アサイゲルマニウムを食べるとビリルビンの排出が促進されて、ビリルビンは腸に胆汁色素として捨てられ、そこで糞便色素に変換されているということが確認されたのです。
ちなみに、ビリルビンという胆汁色素は抗酸化物質として体内で働いていることが知られていて、アサイゲルマニウム摂取群の胆汁では抗酸化活性(ラジカル消去能)が色の増加と見合う形で上がっていることが確認されています。
単純に言えば、アサイゲルマニウムを食べるてうんちの色が黄色くなることは、胆汁中に抗酸化性の高い胆汁色素ビリルビンの排出を増やし、腸の中でビリルビンが代謝されて出来る糞便色素ステルコビリンの糞便中への排出を高めているのだということが示されたということになります。

赤血球色素→胆汁色素→糞便色素の代謝

さて、もう一つぼくの論文を紹介させてください。ぼくの研究論文の中で最も読まれている文献です。これも博士論文を書いた時に投稿したもので、アサイゲルマニウムについては内容には全く触れられておらず、唯一出てくるのは所属がAsai Germanium Research Institute Co., Ltd.(株式会社浅井ゲルマニウム研究所の英語表記)であるということだけです(笑)
細かいことは抜きにして、前段に記したようにビリルビンの代謝を詳細に検討した結果、ビリルビンからステルコビリンに代謝される間にウロビリノーゲンというものを経由することが既知なのですが、このウロビリノーゲンが非常に高活性な抗酸化物質なのではないかということを発見した研究報告になります。
生体内物質にはいくつか抗酸化物質があります。その一つとして、ウロビリノーゲンが低分子生体内抗酸化物質であることを世界で初めて示した研究になります。世界で初めてなので、ウロビリノーゲンのWikipediaでの説明でこの論文と学会での発表内容が参考文献としてあげられています。

ですから、アサイゲルマニウムを摂取した時に腸管の中に流れ込んでくるビリルビンは抗酸化物質で、その代謝物であるウロビリノーゲンも抗酸化物質であり、最終的に糞便が黄色く変色するのに影響しているステルコビリンが増える過程で2つの抗酸化物質を経て、腸の中の活性酸素を消去しているわけです。
アサイゲルマニウムを研究していたら、身体の中にある物質が実は抗酸化物質だということを見つけてしまった。という話です。

酸素を増やす浅井先生の仮説とは異なりますが、悪さをするタイプの(活性)酸素を不活性化する物質を増やして身体を防御してくれることになります。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jos/55/4/55_4_191/_article

さて、この論文のFig.1の胆汁色素の代謝図の中で、一番最初の物質がヘムであることを記しました。このヘムは皆さんご存知のヘモグロビンの赤い色素部分です。ヘモグロビンというのは、赤色色素のヘムとタンパク質であるグロビンが結合した分子で、赤血球色素として赤血球の中で酸素や二酸化炭素(稀に一酸化炭素)を吸着して体中の細胞に酸素を供給するための極めて重要な役割を果たしています。生理学の本を読めばわかりますが、赤血球が壊されて内部から出てきて不要となったヘム(鉄を活性中心に持つ環状ポルフィリン化合物)が肝臓や脾臓で酵素によって環状が切られてビリルビンに代謝され、胆汁の成分として小腸に捨てられていくことになるのです。
そうすると、ここまでに説明してきた糞便色素ステルコビリンを遡っていくと赤血球色素ヘムの分解が増えていることを意味することになります。
つまり、アサイゲルマニウムを食べてうんちが黄色くなるのは赤血球色素が壊されて、(ビリベルジンになって更に代謝を受け)ビリルビンになり、このビリルビンが小腸に捨てられてからウロビリノーゲンに代謝され、過酸化脂質などを安定化してステルコビリンになって捨てられている量が増えているのだということが仮説として推察されたのでした。
この一連の仮説に伴い、アサイゲルマニウムの摂取が赤血球の分解と新生における代謝という赤血球代謝サイクルを促進するのではないかという考えに至ったのです。
こちらは、食品化学新聞社が発刊しているFOOD Style21誌に2013年に有機ゲルマニウムについてぼくが著した5回連続で掲載された総説の中で、最終回に紹介しました。

FOOD Style21 Vol.17, No.5 (2013) 中村宜司「有機ゲルマニウムの新たな健康機能」より


アサイゲルマニウムの赤血球代謝促進仮説の確認・証明と酸素増大

アサイゲルマニウムは、この様に赤血球に関わるだろうと仮説を立て、色々と仮説に従って実験をしましたが、うんちの色の変化は非常に劇的なものがありますが、仮説の一つ一つの要素を確認するのはなかなか骨が折れる作業です。結局、ぼくがコツコツやっている内に後輩に研究をバトンタッチすることになりました。「中村さんの研究は穴だらけですねぇ!(笑)」との発言で後輩の武田さんに撃沈されたのは忘れられません(爆笑)ぼくは「そうなんだよね。おれって実験向いてないからさぁ、悪いけど穴埋めをやってってくれるかな?」というやりとりで、ぼくの研究の尻拭いを武田研究員が引き継いでくれたので、安心しました。結局、彼はこのテーマで東北大学大学院農学研究科の社会人博士課程に入り、研究を続けて学位を授与されました。

https://tohoku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=130555&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1

「有機ゲルマニウム化合物Ge-132による生体内抗酸化誘導効果の解明」武田知也博士研究員の博士論文の概要はこちらからダウンロードして読むことができます。

武田知也研究員の博士論文の図より

この写真にあるように通常の餌を食べているマウスは糞便が黒ずんでいますが、アサイゲルマニウムを与えた餌では翌日から色が黄色っぽくなっていくことが解っていただけるでしょう。この原因として、ぼくの仮説にもあった老化赤血球のマクロファージによる貪食・分解があるのですが、アサイゲルマニウムを与えたマウスのマクロファージは老化赤血球を見つけて食べる能力が高まることを武田さんが証明してくれました。

武田知也研究員の博士論文の図より

難しい説明をするより、右側の黒と白の二本に注目してください。マウスから採った赤血球を培養したマクロファージに食べさせる実験です。マクロファージは自然免疫にかかわる細胞で、体の中の異物を食べてくれたり、免疫を活性化してくれます。赤血球を貪食・分解していることも昔から知られています。
アサイゲルマニウム(THGP)を入れないマクロファージ(黒棒)とTHGPを添加処理したマクロファージ(白棒)の赤血球を食べて中に入り込んだ赤血球を数えてデータをだしています。白棒の方が黒棒よりも高いことが分かります。THGPで刺激されると、マクロファージは老化赤血球をよく食べるということです。

武田知也研究員の博士論文の図より

老化赤血球を食べて分解してくれることは確認できました。そこで、分解されて減ってしまった赤血球数を一定に保つための造血について確認しました。
アサイゲルマニウム餌を与えたマウスの骨髄中の赤血球になる細胞を数えた実験です。アサイゲルマニウム(Ge-132)を添加した餌を4日与えた時に一時的な上昇が見られました。このことは、アサイゲルマニウムの経口摂取は、分解して減ってしまう赤血球を補う様に赤血球になっていく細胞を骨髄中に増やし、ぼくの仮説にある赤血球の若返りに寄与できることが改めて確認したわけです。
かくして老化した赤血球は血液中から減少し、新しい若い活性の高い赤血球が増えることになるわけです。
赤血球というのは、辞書で調べればすぐにわかりますが、この記事でも出てきたヘモグロビンを非常に多く持ち、それが酸素を結合して体中に届けることに特化した細胞です。
つまり、アサイゲルマニウムにより若返った赤血球たちは酸素をよく結合し、末梢血管もスルスル通り抜けて、血中の酸素を豊富にするのだと説明がつくということです。
雨が降ると桶屋が儲かる・・・この因果関係は非常に長く複雑ですが、それよりは短く、ショートストーリーな小話だったのではないでしょうか。

いずれにしても、様々研究を重ねた結果、アサイゲルマニウムは老化細胞を見つけて処理する免疫細胞の働きを活発にしているから、身体に酸素を豊富にするのです!ということを再発見し、結局免疫を活性化しているってわけですね(笑)
しかし、改めて50年近く前にアサイゲルマニウムを飲んだ人たちの様子を観察し、身体の酸素を豊富にしている、というところを考え導き出したのは、素晴らしい観察眼だと、ぼくは感心するのです。
浅井一彦先生、有難うございました。

読者のみなさま、わかりやすく説明しきれなくて申し訳ありません。ぼくの能力はもはやここまで・・・ご質問にはできるだけ答えたいと思っています!
おわりまで読んでいただき、有難うございました。


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