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ホワイトスクリーン、シルバースクリーン

『半世界』の阪本監督と仕事をした木村大作キャメラマンはシルバースクリーンの問題を述べています。「俺はそれで、今、シルバースクリーンでやるのを拒否しているからね」。監督・撮影監督のキュアロンも同じだろう。しかもモノクロではなおさら。

木村大作インタビュー vol.2 https://hotshot-japan.com/feature/09-hakkoudasan4k-jp01/

いわゆるミニシアターでは3D上映はほぼしないのでほぼ全部がホワイトスクリーン。監督の意図した絵を再現するのはアップリンクの劇場です。『半世界』『ROMA』はぜひアップリンクで本来の映像をご覧ください。

シルバースクリーンが反射率が高くて明るいならいいかというと違います。まず視野角が狭い客席センターではいいけど端の席から見ると暗い、テレビはそうですね。正面から外れると見られません。

更に根本的な問題は白が白く見えない、なぜならシルバースクリーンは灰色だからです。絵が映っていない光を投影してもグレーのスクリーンが見えるだけです。ということは木村大作さんがいうところの情緒、要するに色や明るさの階調がホワイトスクリーンに比べる明るいところから暗部まで狭い。

この問題はモノクロ映画ではなおさら重要です。
残念ですがTHXやULTILAのスクリーンはシルバースクリーンです。
なのでキュアロン監督の『ROMA』はぜひホワイトスクリーンのアップリンクでご覧ください。『ROMA』の素材は2K、5.1です。

映画館のスクリーンはサウンドスクリーンと言って、スクリーン裏に設置してあるスピーカーの音を客席に聞かせるため小さい穴がたくさん空いています。その穴から特に高音が聞こえてきます。

シネコンもミニシアターもp映画館は穴が空いているスクリーンです。穴の面積はスクリーン全部の5-7%と言われています。映画を観ている観客は、実は黒い穴を見ているのです。一度スクリーン真近に行って見てみてください。

で、アップリンクのスクリーンは渋谷、吉祥寺ともスクリーンの裏にスピーカーは設置しているのですが、スクリーンには穴が空いていません。以下がスクリーンの解説です。

[穴あけタイプのサウンドスクリーンに比べ、高音域にも優れた音響透過特性を持つファブリックタイプのサウンドスクリーン、オーエスWS103「サウンドマット」を導入]

黒い穴が空いていないホワイトスクリーンですので、プロジェクターのからの映像を全部反射するのでイメージのロスがなく明るいと言えます。
他の映画館と同じ映画を比べるとその違いはわかると思います。

なぜ他の映画館は穴空きのサウンドスクリーンかというとファブリックタイプはホームシアター用に開発され、大きなスクリーンに対応していないからです。渋谷はホームシアター用の既製品、吉祥寺は特注しました。


一番のサポートは映画館で映画を観てくださることです。 アップリンク渋谷・吉祥寺をよろしく。