久しぶりに書いて。


すりガラスから見える電車の光が部屋を照らす。うちがわの暗くかたいところが少しだけやわらぐ。人の営み。ふれた先は輪郭か内情か。冷蔵庫の鳴き声がぢりぢりと静かな部屋に響く。ガタガタという音と一緒に通り過ぎていく電車が運ぶのは本当に人だけだろうか。うつくしいねと言ってくれたのは誰だったか。忘れられないものを抱えきれずに落としてきたのは己だろうか。薄情だと言われても許されたいと思ってしまうことをゆるして。

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