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『フロンティアハンター ~エルザの運命の輪~』レビュー

本レビューは、あくまで 2022.12.15 に早期アクセス(Early Access)でリリースされた時点でのものとなる。早期アクセス期間は約1年間を予定しており、現時点で全体の30%程度が実装されている状態とのことだ。


Frontier Hunter: Erza`s Wheel of Fortune (フロンティアハンター ~エルザの運命の輪~)』は、いわゆる "剣と魔法" に "架空の近代科学" を加えたような世界観を舞台とした、2.5Dの探索型アクションRPGだ。

シリーズ2作目に当たり、前作『Tower Hunter: Erza's Trial (タワーハンター ~エルザの試練~)』では謎の塔の調査を行っていたが、それから2年後の本作では新天地の開拓という目的に移っている。

主人公は前作からの続投で帝国政府軍に所属する少佐 "エルザ" だが、今作では性能の違う2人の操作キャラクターが追加されている。ゲーム性そのものに大きな変更はないが、多くの面で前作よりブラッシュアップされている印象だ。

開発:IceSitruuna
販売:IceSitruuna
配信日:2022年12月15日 / 日本語サポート有
Steamにも同レビューを公開中: Link

ゲームシステム

本作の目的は、天然の要害の先に広がる新天地の調査・開拓を行うことだ。

ゲーム開始時はチュートリアルを兼ねているため、飛空艇ストーム号の船内に限定されているが、プロローグを終えると新天地に降り立ち、キャンプを拠点として探索エリアは一気に広がることとなる。

探索すべきエリアは広大だがシームレスなわけではなく、一定の広さの箱庭が上下左右にいくつもつながっている構造だ。ローディングはあるがほぼ一瞬なので、エリアチェンジを意識するようなことはない。

目的地に至るまでのルートはプレイヤー次第。探索中にキーアイテムを入手したり、二段ジャンプといった移動系スキルを習得すれば探索エリアはより広がる。ワープ装置を見つければファストトラベルも解放されるので、探索型の基本を抑えているという印象だ。

本作のセーブ方式はセーブポイントでの手動のみだ。探索中に死亡すると最後にセーブした状態にまで戻されてしまうため、無理せず少しずつ進んでいくと、もしもの時に失うものが少ない。

またストーリー上のイベントとして、タワーディフェンス的なミニゲームが発生することがあった。この際、プレイヤーは固定砲台を使って迫ってくるモンスターを倒すのだが、突然のゲーム性の変化に驚くが、こうした試みは素直に面白い。

戦闘とアクション

操作キャラクターは主人公 "エルザ" に加えて、ストーリー進行に伴って、さらに2人のキャラクター "シアラ" と "ニーア" にリアルタイムに切り替えることができる。操作性は共通だが、使用武器が異なることで戦闘時の性能やモーションの差別化が図られている。

各キャラクターはHP/MPを共有しているわけではないため、文字通り3キャラクターを併用することができる。

アクションは通常攻撃(2種類の武器を併用可)・ダッシュ(踏み込み/回避)・ジャンプ・しゃがみ・スライディングといった組み合わせ。さらに空中から斜め下方への蹴りや、落下攻撃も可能。

そこに攻撃スキルとアーティファクトが加わる。

攻撃スキルはスキルブックを発見することで習得でき、MP消費のコマンド入力式。例えば「↓ → 攻撃ボタン」などだ。コマンドを覚えてしまえば、テクニカルにはなるがバリエーションのある攻撃が楽しめる。

アーティファクトは「攻撃魔法」に当たるもので、2種類まで装備して放つことができる。詠唱などは存在せず、地上/空中を問わず発動できて扱いやすいが、スキル同様にMPを消費するため使い分けが悩ましい。

なお、本作は探索中のモンスターにはさほど苦戦しないが、ボス戦は段違いに歯ごたえがある調整となっている。アクションを使いこなし、ボスのモーションをしっかり見極めるなどのテクニックも必要だが、それ以上に装備品による強化も重要だ。

地上で通常攻撃を実行する際に、強制的に足が止まってしまう挙動がある。またダッシュは敵の攻撃はすり抜けられるが、敵自身はすり抜けられないようなので回避アクションとして扱いにくいシーンがある。

それ以外のアクション全般は軽快でモーションキャンセルもできるので、こうしたある種の "ぎこちなさ" が解消されれば、ゲーム全体を通してのプレイフィールがより良く感じられるはずだ。

装備品とアイテム

装備品は武器・防具・アクセサリ・アーティファクトでカテゴリ分けされていて、ショップで購入または製作することで入手できる。何より装備更新によるパラメータ上昇の影響が相当大きいため、装備はなるべくこまめに更新していきたい。

その他、回復アイテムなどの消耗品はインベントリを開いて使用する形だ。ショートカット機能はないものの、インベントリを開いている間は時間が停止するため戦闘中でもリスクを抱えずに使用できる。

日本語サポート

音声・UI/テキストが日本語対応。音声はカットシーンや一部の会話が日本語ボイスで収録されており、翻訳は雨涵(ユーハン)氏 (@zhou_xiyana)、ボイスの校正・監修をずんこ氏 (@Zunko_lalala) が担当されている。

ストーリー性があり、キャラクター同士の会話も豊富。特にボイスがあることでより没入感を得られるはずだ。

早期アクセス期間ということもあり、一部本来の意図通りに日本語翻訳が適用・表示されていない部分があるが、適宜修正を加えていくとのことだった。

気になるポイント

本作はシリーズ続編として2作目であり、キャラクターの関係性や物語の背景などは1作目をプレイしていないと理解できない部分が多い。

ゲーム内メニューに「図書館」という図鑑的なものが用意されてはいるものの、あくまで紹介程度に留まるため、本作からのプレイヤーにとっては、一般的なシリーズものにあるような「前作のあらすじ」が用意されていた方が掴みが良いのではないだろうか。

総評

探索型アクションRPGとして考えられる要素をできるだけ入れようとしている印象で、思いつきで取ってつけたようなものではなく、それぞれしっかりと作り込もうとしている意図が感じられる。

まだ早期アクセス段階ということも有り、バランスが取り切れていないと感じる部分もあるが、多くの要素はうまく機能している。本作はあくまで "RPG" がベースであり、地道に探索しつつキャラクターを強化していくゲーム性だと理解すれば現状でも充分に楽しめるだろう。

しっかりとストーリーを作ろうという熱意も魅力的に感じるが、一方でそれは前作ありきの部分もあり、先述の通り「前作のあらすじ」などがあると、より多くのプレイヤーが楽しめる作品になるはずだ。

総じて、正式リリースに向けてのブラッシュアップが楽しみな作品と言えるだろう。




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