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『FORSPOKEN』レビュー
『FORSPOKEN (フォースポークン)』は、自然あふれる広大なオープンワールドを舞台としたアクションRPGだ。
主人公はニューヨークに住む、間もなく21歳の誕生日を迎える女性フレイ。身寄りもなく荒んだ生活をしていたが、あるとき廃屋で見つけた輝くブレスレットと共に異世界アーシアへと飛ばされてしまう。
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そのブレスレットは意思を持ち、魔法の力を与えてくれた。フレイは彼をカフと名付け、元の世界へと帰る手段を求めて踏み出していくのだった。
開発:Luminous Productions
販売:Square Enix
配信日:2023年1月25日 / 日本語サポート有
Steamにも同レビューを公開中:Link
ゲームシステム
本作の基本の流れは、広大なフィールドを移動して目的地へと向かい、リニアに展開するひとつのメインストーリーを追いかけていくというものだ。
世界はシームレスにつながっていて、山岳や高原、湖沼地帯などその様相も異なっているが、最初からすべて行けるわけでなく、ストーリー進行に合わせて探索できる地域が広がっていく。
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攻撃や移動は魔法を活用していくことになるが、本作の売りである「魔法パルクール」はとにかく移動に特化したもので、あらゆる地形をものともせず自在に駆け抜けていく感覚は爽快の一言だろう。
ただし、扱える魔法は最初は土属性だけだ。ストーリーを進めることで属性は増えていくのだが、初期属性だけではやや単調に思えてしまうので、まずは最初のボスを倒して火属性を使えるようになると印象も変わるだろう。
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またアーシアには人を魔物に変える瘴気が渦巻いているため、生存者が避難する街はシパールという一ヶ所だけだ。ストーリー上の重要なエリアではあるが、冒険の拠点というわけではない。
補充や強化といった要素は各地にある無人の宿で行うことができるので、いちいち拠点に戻らなければいけないといったストレスがないのは素直に評価したいところだ。
オープンワールド
いわゆる「オープンワールド」という言葉の定義は曖昧で、その認識はプレイヤーにより様々だ。代表的なものは広大な箱庭の中に散らばったコンテンツを、メインストーリーを含めてプレイヤーが好きな順番で触れていけるノンリニアなものだろう。
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では『FORSPOKEN』はどうかと言うと、広大でシームレスなマップに多数のコンテンツがあり、メインストーリーとそれを補完するサイドパス (サブクエスト) が用意されている。
ただストーリーは一本道で分岐はなく、またサイドパスはシパールのみで発生し、ほとんどはそこだけで完結するという物足りなさがある。各地に多数存在するコンテンツも、ストーリー性は持たされていない。
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それはつまり中身のないゲームなのかと言うとそうではなく、本作のコンセプトはあくまで「魔法パルクール」によってアーシアを駆け巡り、多種多様な魔法を駆使してアクティビティを楽しんでほしいというものだ。
ここで「オープンワールド」という言葉に対する、プレイヤーの期待や認識とのミスマッチが起きてしまう。同じことは「ローグライク」や「ソウルライク」などでも起きていることだ。(本作はAAAのメジャータイトルなので母数の大きさで目立っているだけ)
こうしたすれ違いを防ぐには、これはこういうゲームですよというパブリッシャーの充分なプロモーションが必要で、それと同じだけプレイヤーも認識の柔軟さも持ってもらいたい、というのが筆者の思いだ。
こうしたすれ違いはメジャータイトルの方が起きやすい。プレイヤーとの距離が遠く、情報のアウトプットが厳しく管理されているからだ。その点ではインディーゲームの方に分があるだろう。
本作の問題点
先に触れたとおり、本作はあくまで「魔法パルクール」によってアーシアを駆け巡り、多種多様な魔法を駆使してアクティビティを楽しんでほしいという目的の一点だけに集中して作られたものだ。
しかしそれが十分に楽しめるようになるのは、すべての属性魔法のカテゴリが揃って、なんの制約もなしに各地を飛び回れるようになる「メインストーリーのクリア後 (Chapter13~)」からなのだ。
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フレイのひねくれた性格に難色を示すレビューも見かけるが、実はそれすらもChapter13以降は解消される。これはフレイの精神の成長の物語でもあるからだ。
言わば長編小説シリーズの第1巻を描いたようなもので、メインストーリーは準備期間と言ってもいい。一直線に進めても十数時間はかかるだろう。つまり・・・準備に時間がかかりすぎる。
Chapter13以降の世界はお世辞抜きに本当に楽しい。だが多くのプレイヤーが重要視するのは第一印象なのだ。
筆者のおすすめは難易度イージーと細かいアクセシビリティをフルサポートに設定して、まずメインストーリーをクリアしてしまい、全属性の魔法カテゴリを解除することだ。各地のアクティビティを楽しむのはChapter13からでいい。
気になるポイント
会話イベントが発生することがあるが、その際にキャラクターが立ち止まってしまい、会話が終わるまで動くことができないという仕様になっている。
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また会話はフルボイスなのだが、会話と会話の合間に不必要な "間" があり、いずれもゲーム全体としてのテンポを損なってしまっているという印象を受けた。
会話の間についてはおそらくフルボイスでの多言語対応による弊害なのだと思うが (最も長い言語の尺に合わせられている)、会話イベント中に動くことができないというのは理由がないので解消してほしいところだ。
総評
本作における「多種多様な魔法を駆使したアクティビティ」と「魔法パルクールによる移動」という要素は、AAAタイトルらしい高いクオリティで完成されていてプレイする楽しさがある。
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だが一方で、そこに至るためにはメインストーリークリア後まで進めるという時間が必要で、またそもそもプレイヤー毎に思い描く「オープンワールド」像とのミスマッチもあり、第一印象だけで評価が決まってしまいがちだ。
本作が目指す目的をあらかじめ理解してから・・・とまでは言わないが、願わくば自分自身でプレイをしてから評価を下してもらえると嬉しい。
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