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【noteはじめました】朝日新聞社の研究開発チーム「ICTRAD」です

突然ですが、「新聞社の社員」と聞いて、どんな人を思い浮かべますか?

記者のイメージが強すぎる新聞社ですが、実は「職種のデパート」と呼ばれるほどたくさんの部署や職種があります。新聞の販売や広告、イベント・展覧会の企画に不動産、デジタルや教育事業……正直社員でも把握しきれないほど。

しかし恐らくどの部署の社員も、友だちや親戚に「え、新聞社で働いてるの? 記者?」と聞かれたことがあるのではないかと思います。それは技術部門で働くエンジニアたちも同じです。

どうも、朝日新聞社情報技術本部『ICTRAD』の野口と申します。

「ICTRAD」とは、技術を使って新しいニュースの価値を生み出し、記者を始め社員の働き方をサポートすることを目的に設立された研究開発チーム。「アイシートラッド」と読みます。「ICT」+「R&D」で「ICTRAD」です。

現在、兼務含む10名のメンバーが日々研究開発に勤しんでおります。しかも、20代の若手エンジニアが約半数で、平均年齢も30歳くらいです。

このnoteは、そんなICTRADのメンバーが、研究や小ネタを紹介していくテックブログです。

しかし「新聞社が研究開発?」と思われるかもしれません。ごく自然な反応です。うちの母もそんな感じでした。なので、これまでどんなことをしてきたのか、簡単にご説明させてください。

【1】人工知能を活用した記事の自動生成

新聞社でも徐々にですが人工知能が活躍できる範囲が広がっています。朝日新聞では2人(?)のAI記者が記事を書いています。

①AI選評記者「おーとりぃ」
高校野球のスコアブックをもとに、勝敗を分けたポイントを読み解く選評記事を自動生成します。2018年8月デビュー。スタンフォード大で1年修行したエンジニアが中心となって開発しました。

②AI経済記者「みつけーた」
プレスリリースをもとに、商品紹介記事を自動生成したり、商品のトレンド分析をしたりします。2020年3月デビュー。「みつけーたのトレンド先読み」では、みつけーたの分析をもとにリアル記者が取材しています。

【2】ニュースを使ったサービス開発

いろんな人にもっとニュースに触れてもらいたい! 報道機関の永遠の課題に、私たちはICTRADらしいアプローチを考えています。例えば、日々のニュースをもとにクイズを自動生成する「Qrich」。

ここにも人工知能が活用されていて、重要なキーワードを自動で判定してクイズにしています。ちなみにクイズを用いた動画も自動生成して、Twitterアカウントでつぶやくこともあります。

【3】取材支援

記者が記事を書くまでにはさまざまなプロセスを踏みますが、伝統と慣習で必要以上に人の手をかけているものも多いです。例えば、多くの記者が苦労しているのがテープ起こし。取材のやりとりを記録した音声を、文字にするのが大変なんですが、ICTRADでは音声認識を使って自動化するシステムを開発中。もちろん、データや取材先のプライバシーを守ることも、新聞社には必須の観点。こうした視点もシステムに盛り込まれています。

【4】インフォグラフの作成支援

新聞には欠かせないグラフや地図。これまですべてデザイナーが手作業で作成していたのですが、記者が新聞のフォーマットで手軽に作れるようなツールを開発しました。

これによって、デザイナーはより複雑で高度なインフォグラフィックの制作に注力することができるのです…!

【5】データジャーナリズム支援

コンテンツそのものの制作にも参加しています! 例えば、2019年には参院議員の国会発言や政治資金を「見える化」したデータベース「ポリティペディア」の制作にも参加しました。

議員が何について語り、どんな風に政治資金を集めているのか、データを蓄積・分析し、ひとりひとり調べられるようにしています。ぜひあなたの選挙区の議員を調べてみてください。

この企画にかかわらず、テクノロジーを使ってデータドリブンの報道を支援しています!

ほかにもあるよ

人工知能、自然言語処理、音声認識……ICTRADのエンジニアが活躍するフィールドはさまざまです。日々の研究開発の様子を、このnoteでご紹介していければと思っています。

「新聞社が研究開発?」って思ったあなた。ほんのちょっとだけでも、イメージを持っていただけたでしょうか。「こんな仕事もあるんだ」と思っていただけるとうれしいです。

Twitterやってます

(ICTRAD・野口みな子)

【お知らせ】技術・データ×取材をテーマにした連載「#ゆるテック」もwithnewsで続けています。