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ニュースアプリをハックせよ! アプリ開発ハッカソン(2days)レポート

朝日新聞社 メディア研究開発センター

今回のテックブログは、「自由な発想で、全く新しいニュースアプリを開発する!」をテーマにしたオンラインイベントの模様をお届けします。
参加した学生の皆さんが2日間全力で開発したアプリには、「技術力おばけ」「没入感すごい」などなど、参加者からも驚きの声が続出。そのアイデアの数々をご覧ください!

ニュースアプリ開発ハッカソンとは?

朝日新聞社では9月11、12日の2日間、「ニュースアプリをハックせよ!」と題したアプリ開発のハッカソンを開催しました。朝日新聞社で活躍するエンジニアたちがメンターとなってサポートしながら、学びながら楽しく開発に取り組むオンラインイベントです。朝日新聞が蓄積してきた記事や写真も利用できる環境を用意して、「ニュースアプリ」の開発に挑んでもらいました。

全国から集まった学生さんの様子をリポートします。

課題に取り組む

まずは2日間で取り組んでもらう課題の説明を行うと、早速、それぞれ使用する言語ごとに、班に分かれて作業してもらいました。まずは環境設定からスタート。
今回使う言語は、Swift, Kotlin, Flutter, React Native, Unityです。どの班にもメンターの社員たちがいます。アドバイスをもらいながら、課題に取り組んでもらいました。

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ハッカソンの実施は2日間ですが、実質作業に充てられる時間は10時間弱です。時間が限られている中、まずは「どんなアプリを作りたいのか」を考えてもらって、発表に向けてどこまで仕上げられるのか、進捗を見ながら取り組んでもらいました。

この日、集まってくれた学生さんたちの学科や専門はまちまちです。情報系が専門の人もいれば、まったく別の学科に通っていてプログラミングは独学、という人もいます。使ったことのない言語に挑戦してくれた人や、プログラミングを学び始めて4か月、という人もいました。

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flutterで参加した片岡さんは、もともと文系でしたが、プログラミングに興味を持ち、高校3年生の時に理系に転向しました。ロボカップの2Dサッカーシミュレーションリーグに出場したことも。今回のハッカソンでは、電車で通勤通学をする若い世代をターゲットに、彼らがついつい開いてしまうニュースアプリを考えているそうです。記事をロードする際にあえて1秒の待ち時間を作って好みのジャンル以外の記事タイトルを表示させ、「自分の好きなこと以外の記事」に興味を持ってもらう仕掛けです。興味の対象を広げてもらうことで、「ついつい開いてしまう」ようにするのが狙いです。

Unity班に参加した江頭さんは、大学院で放射線技師の勉強をしています。普段使っている言語はpythonなので、Unityを使うのは初めて。コードをどうやって使うか、というところから悩んだそうです。こちらの班では、参加者同士が教えあって協力する場面もたくさんありました。

さて、基本的には、それぞれで実装作業をすすめてもらう時間が多く無言になりがちなハッカソンですが、ランチの時間には社員も混ぜてもらって過ごしました。 

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ちなみに今回、北は北海道から、南は九州まで、全国から参加者が集まってくれました。それぞれの地元ネタで盛り上がっていた班も。住んでいるところと関係なく参加しやすいというのは、オンラインの強みですね。みんなのお昼ご飯事情がなかなか見えないのが寂しいところでしたが、自宅からの参加ということで、なかなかユニークな食卓が見えてきて面白かったです。大きな計量カップをコップ代わりにしているツワモノもいました。

しかし、1日目と比べて2日目になると、夕方には全体発表会と表彰式が待っているため、ランチの時間も社員に質問をしながら作業を続ける人も目立ちました。

発表会

2日間、大変集中しながら作業をすすめてくれたため、発表会には素晴らしいアプリが出そろいました。コンセプトやターゲット設定など、社員には目からうろこのアイデアも多く、どのアプリもとても面白いものでした。
その中でも、特にアイデアや技術力の光る作品に賞を贈りました。各賞の受賞作品と、受賞者のコメントを紹介していきたいと思います。

最優秀賞 渡辺起市さん

朝日新聞創刊の1879年からある記事データを利用するアプリ「朝日ヒストリア!」を提案してくれました。

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現在見ている記事と、類似した過去の記事データを表示することができる機能が目を引きます。また、「過去の似たような記事がみられる」だけでなく、類似記事を利用してこれから起こることの予測ができる機能や、記者が過去の記事について、現代の視点から批評を行う機能の提案も盛り込まれました。

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審査した社員からは「UI/UX、完成度、技術力、アイデアなど様々な観点全てにおいて高次元。限られた時間の中で、FlutterのWidgetを再利用して時間を短縮しつつも、高品質なUIを実現していた」と高評価でした。ほかにも、朝日ならではのリソースを利用している点や、競合分析もしている点にも評価が集まりました。参加者からも「技術力おばけ」など、絶賛の声が集まった作品です。

渡辺さんは半年前にはじめて独学でプログラミングを学び始めました。きっかけは、友人への誕生日にラインのチャットボットを作って贈るためだったそうです。「手先は不器用でもコーディングはできる」と思って、物づくりの面白さに惹かれてプログラミングを学んでいます。友達と遊べる絵しりとり」サービスなども作っているそうです。

【受賞者:渡辺さんコメント】
僕自身が欲しいと思ったアプリを作りました。事前に朝日新聞デジタルのアプリをDL、他ニュースのアプリも使ってみて、Yahoo!ニュースやNewsPicksなど「新興」ニュースにはないサービスは何だろうと考え、朝日新聞が蓄積してきた記事を利用しようと思いました。当時を知るには、当時の記事に触れればその時代の熱量を感じられるのではと。2日間、楽しく開発できました。僕お喋りなんで、同じ班の人、反応してくれてありがとう!

ベストエンジニアリング賞 池側正人さん 

技術力の光った「ベストエンジニアリング賞」は池側さんが受賞されました。池側さんのアプリは「声」で操作する記事アプリです。

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 情報は見たいけど、スマホをいじるのはしんどい。動きたくないけど、見るコンテンツは自分で選びたい。そんな人たちをターゲットに「声」で操作し、記事を提案する機能のアプリを発表してくれました。

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審査した社員からは「音声のAPIを利用して文字を解釈、それを記事一覧からマッチングした記事に遷移させるというアプリを、限られた時間の中で外部APIなども利用しながら実装に落とし込むことができた表現力」を評価されました。また、作品の完成度に加えてプレゼンのあまりの上手さに「引き込まれる…」という声も。

池側さんは大学院でシステム情報を学んでいます。学部生のときにはサークルで「ミセナビ」というウェブサービスを作っていました。楽しみながら、精力的に活動している様子がわかります。

【受賞者:池側さんコメント】
研究室の仲間が音声関係の研究をしているのを見たり、自分でもスマホの音声入力をよく使っていて「早くて便利」と思ったりしたので挑戦しました。音声入力の技術がもっと発展していってくれたらいいです。今回は、外部ライブラリを利用しようといろいろ調べました。今後はサービスを作る方面に進みたいと思う一方、だれでも使えるようなライブラリを自分で作れるようになるのもいいな、とも感じています。

テックイノベーション賞 野地みずきさん

もっともイノベーションが起きそうな未来を予言していた作品に贈る「テックイノベーション賞」は野地さんが受賞されました。
毎日スマホを見ているだろうZ世代に向けて、ゲーム感覚で使えるニュースアプリを発表してくれました。なんと、3Dです。

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美術館のような空間を探検し、飾られている写真をクリックすると記事が現れます。

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採点した社員からは、「3Dのアプリで、Unityの強みをふんだんに取り込んだ」「展覧会のように記事を見てまわるユニークなユーザー体験ができる」点が評価されました。実際のスマホゲームの利用頻度のデータをもとに発案を行っていたことへも評価の声があがりました。その他、「没入感すごい」という驚きの声や、「広告出せそう」という実用的な感想も。

野地さんは今春、大学生限定プログラミングコミュニティのGeekSalonに参加しました。3か月でオリジナルゲームアプリを作成し、リリースするというコースです。今回のニュースアプリの制作には、このとき学んだ技術が生きたそうです。野地さんが作ったゲームアプリはこちら

【受賞者:野地さんコメント】
発表まで時間がなく形にできるか心配でしたが、周りに助けていただいて無事に走り抜けることができました。いろんな人の作品を見て、自分の使える言語をもっと増やしたくなりました。
今後、スマホでまとめて本を写すと、本の特徴を読み取って何冊あるかカウントできるアプリを作ってみたいです。母が学校の司書で、手作業で数えていると聞き思いつきました。仕事が楽になるアプリを作りたいです。

MIP賞 中尾俊介さん

この2日間を通して最も成長をみせてくれた人に贈るMost Improved Playerは、中尾さんが受賞されました。記事を読んだときの感想を、だれかと共有できる「コメント機能」の追加を提案してくれました。

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採点した社員からは、「Kotlinだけでなく、アンドロイド開発自体が完全に初めてだったところから、アプリを完成させたことが素晴らしい」「技術を通して、こういうものを作りたいという意思を共有することができている」点が評価されました。他、「Z世代のニーズと合致している」などのコメントもありました。

中尾さんは大学ではC言語を利用しているため、今回のハッカソンで利用するどの言語も触ったことがなく、「一番左に記載されていたので」とランダムにKotlinを選択したそうです。そこから完成まで持っていったのは本当にすごいですね。

【受賞者:中尾さんコメント】
全くの初心者で、受賞できると思いませんでした。社員さんが優しくて、面白い人ばかり。嫌な顔一つせずにつきっきりで教えていただきました。
たとえば、映画を友達と一緒に見たら、感想を言い合って楽しむと思います。それと同じように、新聞を読んだ後も感想を共有しあう場を作りたいとこのアプリを考えました。評価に恥じぬよう、これからも勉強して立派なプログラマーを目指します!

最後に

今回、受賞されなかった方も、素晴らしい作品ばかりでした。このハッカソンを通して「開発って楽しい!」と思ってもらえれば、とても意味のある会になったのかなと思います。
学生さんから「作業で無言になっていたときも、社員さん同士がいい雰囲気で会話しているのをみて、普段からこういう楽しい環境なんだろうなと垣間見えてよかった」という感想をいただきました。そんな空気もお届けできたのなら、とても嬉しいです。

参加者のみなさま、2日間お疲れさまでした!

(朝デジ事業センター・松井夕梨花)

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朝日新聞社 メディア研究開発センター
朝日新聞社の研究開発チーム(通称「M研」)です。このブログでは、社内の技術者たちが、日々のお仕事や研究開発しているテーマ、実験的な「やってみた」記録などを、時に真面目に、時にゆるっと発信していきます。