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【会議時間に衝撃】業務時間の内訳を見える化したら、思わぬ副産物が得られた話【可視化はロマン】

はじめに

はじめまして。デジタル・イノベーション(DI)本部の市野です。普段は、朝日新聞デジタルのWEBフロント開発&内製化プロジェクトを担当しています。

みなさん、つい会議に時間をとられて作業が進まない、なんてことありませんか? 自分がどのような仕事をしたか、何にどれぐらい時間を費やしているのか把握できればいいですが、記録をつけるのも面倒ですよね。

ですが業務の改善を図るためには、やはりまず現状を把握する必要があります。そんなわけで、できるだけ労力をかけずに仕事を可視化するシステムを作ってみたのでご紹介します。

「この仕事には20%使って」本当にできてる?

「Aプロジェクトには全体の20%ほど時間を使っていいよ」みたいな言葉を聞いたことはありませんか? そうです、複数のプロジェクトに兼務がついた際によく耳にするあれです。

「全体の20%だからXX時間作業すればいいや」と思いつつ、実際にその作業時間に調節することは簡単ではありません。急なお仕事、なんてこともあります。

そこで各プロジェクトに使う時間の実績、加えて上で述べた会議・打ち合わせに消費している時間の計測、可視化をこの「仕事見える化プロジェクト」のミッションとしました。

つくってみたシステム

上記ミッションを解決するために、以下の構成にしました。

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肝となるBIツールにはGoogleデータポータルを採用。例えばAWSでもQuicksightといった類似サービスはありますが、見た目のカスタマイズ性が好みな前者にしました。

裏側のDBにはSpreadSheetを使いました。シートを開けばすぐに中身を確認できることに加えて、後述するGAS(Google Apps Script)やデータポータルとの連携も簡単です。このDB部分に管理したいスケジュールデータを集中させ、データが更新されていけば、連携しているデータポータルも随時最新のデータで可視化されます。

必要に応じてGASを中心にSlack等へ通知する仕組みも用意しました。

データ連携

GASを中心に各サービスからデータを連携しています。

SpreadSheetへのデータの取り出しや挿入のために、GASでAPI機能を実装しました。このGASは昔に比べ非常に開発体験が良くなっています。今ではClaspといったGoogle公式のCLIツールでローカル開発ができることに加えて、若干癖はあるもののTypeScriptまで対応しています。少し前にエディタもリニューアルされ、ますます使いやすくなっています。

もともとExchangeサーバとGoogleカレンダーではプロジェクトや作業状況などの情報を抱えていたため、ほとんど手を加えずにデータを取得しています。Exchangeサーバからデータを取得する際には、Pythonでこれ用のスクリプトを別途実装しました。Exchange用のライブラリがあるので意外と簡単に実装できます。

スケジュールデータの内容

実際に各サービスから取得されたデータがこちら。プロジェクトごとに「作業」「会議・打ち合わせ」などのジャンルに分け、開始時間・終了時間が記録されています。

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各サービスで管理していた要素を統合し、これらを可視化します。新しい要素を作りたい際はSpreadSheet内の関数を使って追加するのも手軽で便利です。GASやデータポータル側で作成することもできます。

数千行を超えてくると読み込みに時間がかかります。今後、シートやファイルを分けると行った工夫が必要になりそうです。

成果物

実際に作成したデータポータルのダッシュボードがこちら。

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ミッションとしていた、各プロジェクトやイベントの種類別に消費した時間がひと目でわかります。当時は全体の3割近い時間を会議に使っていました。必要に応じて、日付範囲や対象データを編集しながら可視化できるので便利です。

思わぬメリット

今回、仕事の見える化をミッションとしてきましたが思わぬ副産物がありました。上でも少し記述していますが一部業務の自動化です。見える化のためにタスクをDBに管理することで、それを使った自動処理が可能になりました。例えば、Slackを使った定期連絡です。週ごとの作業をまとめた報告や勤怠の報告といった連絡を自動化することができました。

まとめ

ミッションとしていた業務の可視化、それに加えて一部業務の自動化ができました。

具体的に全体の約3割が打ち合わせに消費されている事実が数値で可視化されるとインパクトがあります。打ち合わせ改善の検討するうえで重要なデータが得られました。

また、今回の副産物としてありがたかったのは、定期タスクの自動化です。作業負荷の軽減に繋がりました。当初の目的ではないですが、個人的には一部作業を消せたことが一番よかったと感じています。

作って満足ではなく意外と恩恵もありましたし、そもそも可視化は楽しいので今後とも取り組んでいきたいです。

可視化はロマン。

(DI本部・市野晴之)