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【しいたけ.相談室】100年も生きてどうするの/いて座・54歳男性からの相談

「しいたけ占い」で人気の占い師しいたけ.さんが、老若男女のお悩み相談、人生相談に、すっと心が軽くなるアドバイスをお届けするAERAの人気連載が、書籍『みんなのしいたけ.相談室』になりました!
 本に収録された、職場の人間関係から将来への不安、転職、家族や恋愛……などなど、さまざまなお悩みの中から選りすぐりのものをお届けする本連載。第3回は「100年も生きてどうするの」というお悩みをお届けします。

【今回の相談】

「人生100年時代」がうっとうしいです。明るい老後が見えません。昔だったら死んでいる年齢。死にたいわけでもないけど100年も生きたくありません。田舎の里山とかに住みたいなとも思いますが、今の仕事をするには職場に通う必要があり、踏ん切りがつきません。
(男性/会社員/54歳/いて座)

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【しいたけ.さんの答え】

■成長し続けなければというストレス。
どうでもいい話をできる場所が必要です

 はい、正直言って、僕も同感です。人生100年時代って、昭和の時代に実現していたら夢のある話だったと思う。一軒家買って、大家族作って。その気合と根性ってどこから来たんだろう。いま、自分がおじいちゃんになったときに、でかい一軒家を建てて、家族全員が集まっているところなんか想像しても、喜びよりも先に負担のことを考えてしまいますよね。

 昔と比べていま100年生きることが、幸せとだけ思えない理由の一つは、いい悪いは別として、宗教的な価値観が昔と比べて薄くなったからだと思います。これは別に、宗教に入りましょうという話じゃないんです。村の中枢に寺とかがある世界だったら、なんていうのかな、役割分担があった。若手は肉体労働がメインで、だんだん順番に年を取っていくと寺にも通って。生活ももっと余裕があった。

 今後、寺に代わる可能性があるものって、喫茶店なんじゃないかと思っています。そこらへんの喫茶店に行って、足が痛いって言ってる知らないおばあちゃんの話を聞いてもいいと思うんですよね。自分もたまに愚痴をはいたりして。

 100年時代をどう生きていくかという不安と心配は、つまり成長し続けなければいけないというストレスです。成長して立派な話をしなければっていうプレッシャーが、どの人にもある。そうじゃなくて、どうでもいい話を、誰も聞いてなくてもいいからできる場所。それがない世界って、すごいストレスというか。

 いて座は「開拓者」です。地域で初めて女性社長になったとか、努力して若い人たちに道を切り開くとか、そういうのを命がけでやってくれる人。

 でも情報があふれる今の社会って、ネットに全部載っていて、開拓することがなくなっています。自分の身をもって経験すること以外で知っちゃうことが多い。そこに虚しさがあると思うんですね。いて座の人って、使命感がないと生活に対して張りがなくなってくるんです。虚しさと戦っても絶対勝てません。

 いて座は自分が死ぬ前の日まで主役を張れるタイプでもあるから、「この人すごい」って思われる場所では、すごいパフォーマンスを発揮します。だから思い切ってゼロから畑を耕したりとか、どうでしょう。「この野菜食べてみな」って人に食べさせて、「こんなおいしいものがあるの」って驚かれたりして。そういう瞬間があると、「あーこのために生きてる」って思えるんじゃないでしょうか。