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【マンガでわかる!】マイホーム買うなら「建売住宅」「注文住宅」「中古戸建」「新築マンション」「中古マンション」どれがいいの

「迷いに迷って、結局諦めた床暖房。引っ越して数年は、冬が来るたびに『何で付けなかったんだろう』と後悔しきりでした。前の家の床の暖かさが思い出されて」

 十数年前、中古マンションを購入した50代の女性はそう話す。人が100人いれば、理想の住まいも100通り。世の中にはこんなにたくさんの情報があふれているのに、例えば「床暖房、付ける?付けない?」というシンプルな問いに、そう簡単には答えが見つからないのが、家選びの困ったところとなっている。

 そこで、新築マンション、建売住宅など、ジャンルを横断して購入経験者や専門家からリアルな情報を聞きだし、『わかるマンガ マイホームを買いたい! 満足・後悔・お金…リアル体験談聞いてきました!』(2022年8月刊)という本にまとめたのが、イラストレーター・マンガ家の倉田けいさん。

漫画:倉田けい/監修:泉美智子、須藤臣『わかるマンガ マイホームを買いたい!』(朝日新聞出版)
漫画:倉田けい/監修:泉美智子、須藤臣『わかるマンガ マイホームを買いたい!』(朝日新聞出版)

「家オタク」を名乗る倉田イラストレーター・マンガ家の倉田けいさんさん自身も最近、約5年の念入りな準備期間を経て、「注文住宅」を手に入れたばかりだ。その倉田さんが住宅購入の“先輩”たちに聞いてきた、ジャンル別のマイホームを買うポイントを教えてもらった。

マンガ:倉田けい

 それでは更に詳しく話を聞いていきましょう。まずは戸建て住宅の部、「建売戸建」から。

※詳しくは下記のマンガで!

 倉田さんも手に入れた「注文住宅」は、家も土地も自由に選ぶもので、倉田さんがマンガで描いているように、まさに「メリット:自由に選べること/デメリット:自由に選べること」となる。かたや「建売住宅」は、不動産会社などが建物を建て、土地とセットで販売する住宅のことをいう。

「すでにできている家を実際に見て、予算内で選べるというのは、建売住宅を購入した“先輩”であるMさんに取材して教えていただいた体験談のなかでも、大変納得できたメリットでした。私自身は注文住宅を選んで、あれこれ希望を詰め込むうちオプションの費用が思った以上にかさんでしまったので、購入時点で不確定要素が少ないというのがとくにいいなと思いますよね」(倉田さん)

 先輩Mさんの場合、内見した建売住宅はなんと数十件。最終的に、

(1)駅近だが土地は狭めで、建物はローコスト。価格比率は土地3:建物1
(2)駅徒歩15分で、建物は中堅ハウスメーカー。価格比率は土地2:建物2
(3)駅徒歩20分前後だが、広々した土地。大手ハウスメーカー。価格比率は土地1.5:建物2.5

 という3パターンの候補に絞られたという。

「利便性」「土地の広さ」「建物のグレード」などでどれを取るかというむずかしい選択になったが、自営業で在宅ワーカーのMさんの場合は駅からの距離よりも、のちのちのメンテナンス代にも関わってくる建物のグレードを重視。最終的に(3)を選んだ。

 こうした選択は人によって違う「さまざまな価値観のぶつかり合い」と、倉田さんは言う。

「人によっては正解の場合もあるし、不正解の場合もあると思います。ただ、私がいいと思う物件は、ほかにもいいと思っている人がきっといるはず。いいなと思ったらすぐに購入申し込みができる瞬発力も大事なようです。そんな物件に巡り合ったときのために、我が家では利便性が一番なのか、家のグレードが一番なのかなど、普段から家族で価値観のすりあわせをしておくことが、住宅選びでは大事だとつくづく感じました」

 続いて「中古戸建」だ。倉田さんが取材した中古住宅購入経験者の“先輩”Oさんが感じた中古住宅のメリットは、まず望んだ土地に住める可能性が高くなること。新たに戸建て物件が出にくいエリアを希望していたため、「家はいつか建て替えられるけれど、土地は買い替えがむずかしい」と考えて、希望の場所に築20年の中古物件を、ほぼリフォームなしで購入したという。

 倉田さんも言う。

「入居してから少しずつ不便なところをリフォームしたり、DIYしたりして、常に進化する『サグラダ・ファミリア』のような住宅づくりを楽しんでいるところがいいですよね。私自身は新築で入居しましたが、ここをこうしたらもっと便利かなとか、こうしてみようかなと思うところはあって、それを考えるとすごくワクワクします。新築でもそうなので、リフォームやDIY前提で入居して住みながら考える生活って楽しいだろうなと思います」

 2022年の税制改正で住宅ローン控除の改正によって、「築年数要件」が事実上撤廃に。1982年以降に建築された住宅なら、住宅ローン控除が受けやすくなるなど、中古住宅購入にはさらなる追い風も吹いている。

 次は「新築マンション」。人気のジャンルだけに購入に際しては、世の中にさまざまな情報があふれているが、今回“先輩”Nさんに取材して倉田さんが印象深かったのは意外にもココ。「管理組合」の話だった。

「Nさんは入居後まもなくマンションの管理組合の理事長さんになりました。理事会では、例えば敷地内のシンボルツリーのことが議題にのぼり、手入れが大変だから撤去しようという住人もいれば、イルミネーションで飾ってマンションの資産価値を高めたいという住人もいるとか。どちらの言い分も間違っていないし、いわゆる正解がないんですよね。それをみんなで決めていくのって大変だなと思う一方、みんなの共有財産について一緒に考えて、知恵を出し合える仲間がいるということでもありますよね。それが心強いし、素敵だなと。管理組合って大事なものだとあらためて感じました」(倉田さん)

 最後は「中古マンション」だ。

※詳しくは下記のマンガで!

 話を聞いた“先輩”は、フルリノベーションした中古マンションを選んだTさん。中古住宅と同じで、駅直結など希望する場所にはすでにマンションが建設しつくされていて、新築物件はなかなか出にくい。そこで 自分の望む場所にある中古マンションを自分たちのスタイルに合わせてリノベーションしたという。

「家を建てる人によくあるのですが、Tさんもタイルのチョイスに迷う『タイル沼』にハマったおひとり。またそれ以上にペットの猫ちゃんへの愛も深い。フルリノベーションした部屋を見せてもらって、そんなこだわりを形にしたコンセプト住宅は、戸建てや新築マンションだけでなく、中古リノベーションでもできることがよくわかりました」

 こうして倉田さんがさまざまなジャンルの住宅を購入した“先輩”たちに話を聞いて見えてきたものを、最後に聞いた。

「自分の幸せって何だろう……そんなことをあらためて考えて、家族で共有することが、マイホーム選びには大事なのではないかなと思います。本当に自分と向き合うためには、自分で考えるだけではむずかしいということを自分の家づくりや取材を通して、実感しました。家族の話や“先輩”たちの話を聞いて、さまざまな経験や価値観に触れ、自分なりのベストな選択を見つけていけたらいいですよね」

(文:ライター・福光恵/漫画:倉田けい/編集:生活・文化編集部)


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