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まさかのスパゲッティも冷凍可能! 自分で作る「冷凍ミールキット」はお昼ごはんの神レシピだった

 今年も夏休みの季節がやってきた。出勤前にお昼の心配をするのも、在宅勤務中に作るのも、毎日となると「そんな時間はない!」となるのが目に見えている。

 さらに今年は、光熱費と食材価格高騰のダブルパンチまで加わり、家計も厳しいという方も多いだろう。何とかしてこの状況を打破したいと思っていたら、「最強のツール」を教えてくれた人がいた。料理研究家の牛尾理恵さんだ。

 牛尾さんの「最強のツール」は自分で作る「冷凍ミールキット」。ミールキットは、下処理済み、カット済みの材料や調味料が必要な分だけセットになっていて、焼いたり炒めたりするだけで食べられる優れもの。「ハンバーグ」「サバのみそ煮」「野菜炒め」といった一品料理から、丼物、麺、鍋料理などまで、ラインアップも幅広い。いまや食材宅配サービスやスーパー各社がこぞって提供中。共働き家庭はもちろん、忙しい人や料理が苦手な人にとって強い味方になっている。

 そのミールキットを、自宅で作って冷凍してしまおうというのが牛尾さんの提案だ。結局は自分で料理?と思うかもしれないが、仕上げの加熱は電子レンジにお任せだし、一定量をまとめて半調理しておけば、日々の料理時間はグッと短くなる。安いときにまとめ買いした食材を無駄なく食べきることもできる。

 今回、牛尾さんが教えてくれたのは、2022年7月に刊行された『無駄にしない!おいしく食べ切る!冷凍保存&解凍テク』(朝日新聞出版)でも紹介した、ランチに最適な麺料理のレシピ。1袋がそのまま1食になって、食べる前にすることは「レンチンだけ」という手軽さだ。いずれも、東京海洋大学特任教授の鈴木徹さんが、長年の研究で得た「冷凍の極意」をもとに監修している。早速、その神レシピを教わろう。

『無駄にしない!おいしく食べ切る!冷凍保存&解凍テク』(朝日新聞出版)
『無駄にしない!おいしく食べ切る!冷凍保存&解凍テク』(朝日新聞出版)

ボンゴレスパゲッティ&さば缶ナポリタン

 スパゲッティを冷凍?と意外に思う人もいるかもしれない。でも、いくつかのコツを覚えれば、具材とともに丸ごと冷凍して食べたいときに食べられる、ミールキット向きの食材。重要なのは、「表示の時間より3分短くゆでること」「ゆであがったらザルにあけて冷水にさらし、冷めたところでオリーブオイルを絡めておくこと」の二つだ。

 食べるときの「レンチン」が、解凍作業であり加熱調理でもあるので、具材には火を通しておく必要なし。基本的には、

(1)人数分のスパゲッティをゆでる
(2)具材をカットする
(3)スパゲッティと具材、調味料を1人分ずつ保存袋に入れる
(4)空気を抜いて密閉し、冷凍する

 という4ステップで調理が完了する。保存期間は2週間。あとは食べたいときにレンチンするだけでいい。

冷凍した「ボンゴレスパゲッティ」はこんな感じ。空気を抜くのがポイント

 ただ、この「レンチン」の際にもう一つ、重要なコツがある。冷凍したものを保存袋から耐熱皿に移し、ふんわりラップをかけて電子レンジに入れたら、一気にではなく「二度に分けて」温める。スパゲッティの場合、1人分を3分ほど加熱したら一度取り出して全体を混ぜ、再びラップをかけてさらに3分ほど加熱する。牛尾さんによれば、こうすることで「加熱」と「味」の両方のムラをなくすことができるという。

「ボンゴレスパゲッティ」はあさりとにんにくの香りが絶妙!保存袋からお皿に移し、凍ったままレンチン

 ボンゴレスパゲッティ4人分の材料は、

ボンゴレスパゲッティ
【材料(4人分)】

 スパゲッティ 320グラム
 スパゲッティのゆで汁 1カップ
 オリーブオイル 大さじ2
 砂抜き済みの殻付きあさり 300グラム
 にんにく 2かけ
 イタリアンパセリ 10グラム
 バター 20グラム
 赤唐辛子(小口切り) ふたつまみ
 こしょう 適量

 上記の「コツ」の通り、スパゲッティを表示時間より3分短くゆでたら、冷水で冷まして水けを切り、オリーブオイルを絡めておく。よく洗った殻付きあさり、薄切りにしたにんにく、粗めのみじん切りにしたイタリアンパセリのほか、すべての材料を4等分にして1人分ずつ保存袋に入れ、空気を抜いて密閉すれば調理は終了。冷凍庫に入れて保存しておく。

「さば缶ナポリタン」はトマトが絡んでさっぱりした味わい。さばを粗めにほぐせば食べ応えも十分

 さば缶ナポリタンは、さば缶1つで4人分を作ることができるコスパのよさも魅力。4人分の材料は、

さば缶ナポリタン
【材料(4人分)】

 スパゲッティ 360グラム
 オリーブオイル 大さじ1
 玉ねぎ 1/2個
 ピーマン 3個
 トマト 1個(150グラム程度)
 さば水煮缶 1缶(190グラム程度)
 トマトケチャップ 大さじ8
 中濃ソース 小さじ4
 こしょう 少々

 こちらも、ゆでて冷ましてオリーブオイルを絡めたスパゲッティ、薄切りにした玉ねぎ、細切りにしたピーマン、1センチ角に切ったトマト、粗めにほぐしたさば缶のほか、すべての材料を4等分。ボンゴレスパゲッティ同様に保存袋に入れて冷凍しておけばいい。

こちらは「さば缶ナポリタン」。平らにならして冷凍し、凍ったら立てて保存

牛トマ焼きそば&焼きうどん

 焼きそば用の蒸し麺の場合も、スパゲッティと同様に、冷凍してもおいしく食べるためのコツがある。最初に、袋のまま電子レンジに入れて1分加熱。その後、1玉ずつ保存袋に入れ、ごま油を加えて軽くもみ込んでほぐしておくことだ。このひと手間で、麺がくっついたり、パサついたりするのを防ぐことができるほか、

「ごま油の香りが全体に広がり、旨味もアップするので、おすすめです」

 と牛尾さん。文字通り「一石三鳥」のひと手間だ。

「牛トマ焼きそば」の冷凍後。ごま油をもみ込むひと手間で味わいが変わる

 うどんの場合は、スパゲッティや焼きそば用蒸し麺と違って、ゆでるだけでOK。最初からゆでうどんを買ってくれば、「ゆでる」ことさえ必要ない。今回ご紹介する4種の麺レシピの中でも、手間の少なさは群を抜く。

 スパゲッティで学んだ、二度に分けて温める、というコツは和麺でも有効。焼きそば用蒸し麺、うどんでは、1人分を耐熱皿にのせ、ふんわりラップをかけてまずは5分ほど加熱。一度取り出したら全体をよく混ぜ、再びラップをかけて2分ほどの加熱で出来上がりだ。よく混ぜ合わせることで、麺

「牛トマ焼きそば」はオイスターソースの味が牛肉にしみこんで、旨味が口いっぱいに広がる

にしっかり味が絡む。ここだけは、手を抜かないこと。

 牛トマ焼きそば4人分の材料は、

牛トマ焼きそば
【材料(4人分)】

 焼きそば用蒸し麺 4玉
 牛切り落とし肉 250グラム
 トマト 2個(300グラム程度)
 長ねぎ 1本
 ごま油 小さじ4
 合わせ調味料
  オイスターソース 大さじ3
  しょうゆ 大さじ1
  砂糖 大さじ1/2
  塩 小さじ1/4
  こしょう 少々

 上にあるように、麺はまず、袋のまま1分レンチン。保存袋に1玉ずつ入れて、ごま油を加えてもみ込みながらほぐしておく。その後、すべての材料を4等分して袋に入れ、合わせ調味料も4等分して加えたら、空気を抜いて密閉し、冷凍庫へ。

「焼きうどん」をお皿に移して解凍すると、ごま油がふんわり香る。しっかり混ぜて仕上げる

 焼きうどんの4人分は、

焼きうどん
【材料(4人分)】

 ゆでうどん 4玉
 豚バラ薄切り肉 200グラム
 にら 1束(100グラム程度)
 しめじ 100グラム
 合わせ調味料
  しょうゆ 大さじ5
  酒 大さじ2
  砂糖 大さじ1
  ごま油 大さじ1

 ゆでうどんを使えば、食材を切って調味料を混ぜ合わせ、すべてを4等分して保存袋に入れるだけ。レンチンして、食べる直前にかつお節をトッピングすれば、いいアクセントになる。

ゆでたうどんに材料を混ぜるだけ!の「焼きうどん」はとにかく手軽さが◎

 東京海洋大学の鈴木特任教授が監修し、料理研究家の牛尾さんがレシピを手掛けた『無駄にしない!おいしく食べ切る!冷凍保存&解凍テク』(2022年7月刊、朝日新聞出版)にはほかにも、「サーモンとごろごろ野菜」「鶏肉と根菜のみそ味」など、解凍後の味付けでいくつかの一品料理にアレンジできる「冷凍ミールキット」を紹介しているほか、肉、魚介、豆、卵、乳製品、野菜、果物など、330種類の冷凍&解凍テクを網羅している。

(構成:生活・文化編集部 森香織/写真:松島均)