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2020年12月の記事一覧

【書店員さん絶賛!】敗戦、バブル崩壊、コロナ禍――。その共通点を描き出す社会派ミステリ『そして、海の泡になる』著者・葉真中顕さんインタビュー

2020年11月7日に発売となった葉真中顕さんの新刊『そして、海の泡になる』は、発売前にプルーフ判を読んだ書店員さんから「真摯な問いかけに溢れる力作」「現代社会の闇に触れつつも、ミステリーを楽しめるとても贅沢な内容で推さない理由が見つからない」「『真の幸福とは何か』を問いかける作品」と絶賛の声が寄せられていました。 ※書店員さんたちの声はこちら↓↓↓ https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=22325 発売後に

施設で暮らしたり虐待を受けたりしていない人たちは、遠い「あっち側の世界」だった

 結生さんは、生まれてまもなく実父のDVで乳児院に預けられ、その後、一時期は実母と義父のもとで暮らしますが、両親から暴力と性暴力を受け、再び児童養護施設に入り、育ちました。思春期には荒れて、援助交際や薬物依存で女子少年院に送られたこともあります。  新聞記者だった小坂綾子さんが「18歳の風景」という連載企画の取材のために、結生さんにインタビューを申し込んだことをきっかけに生まれた、書籍『あっち側の彼女、こっち側の私』。  結生さんと小坂さん、年齢も歩んできた人生もまったく

予約の取れない“お片付けのプロ”が「無理して捨てると不幸になる」と語る深い理由

 今年も年末のお掃除シーズンがやってきた。だけど、どうにも腰が重くて動けない……そんなあなたに朗報だ。多忙な方やシニアに向けて数々の革命的な提案をしてきた古堅純子が解く、一生散らからない“片づけの新常識”とは。『なぜかワクワクする片づけの新常識』より抜粋して紹介する。 *  *  *  片づけのポイントは「モノは捨てなくていい」です。  今までの片づけはそのほとんどが、モノとの向き合い方についてのノウハウでした。いかにして、モノを減らすか、手放すか、整理するか、収納するか

いよいよこのわかりやすさ至上主義、きつくないですか? <武田砂鉄×上出遼平対談>

『わかりやすさの罪』の武田砂鉄と、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出遼平による初の対談。最終回となる今回は、「このままわかりやすさが進んだらどうなる?」という問いを前に、武田と上出があれこれと思考をめぐらせる。 第4回<「テラスハウス」は叩かれ「モニタリング」はウケる…テレビ業界的なものに操られる視聴者たち>よりつづく *  *  * 上出:ぼくは山に登るんですが、自然ってまったく予測がつかなくて、それこそわかりにくさが凝縮されているんです。山の楽しさって、必

「テラスハウス」は叩かれ「モニタリング」はウケる…テレビ業界的なものに操られる視聴者たち <武田砂鉄×上出遼平対談>

『わかりやすさの罪』の武田砂鉄と、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出遼平による初の対談。第4回は、テレビに鋭く厳しい視線を向ける武田と、バラエティーの作り手である上出が、「テレビの中のリアルとは何か」について話し合う。全5回でお届けする。 第3回<なぜ辺境の地で“飯”なのか?テレ東の異端児「ハイパーハードボイルドグルメリポート」上出遼平の思い>よりつづく *  *  * 上出:(番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」の)ロケの第一弾を放送したあと、会社の

なぜ辺境の地で“飯”なのか?テレ東の異端児「ハイパーハードボイルドグルメリポート」上出遼平の思い <武田砂鉄×上出遼平対談>

『わかりやすさの罪』の武田砂鉄と、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出遼平による初の対談。第3回では、書籍化にあたり40万字を書き上げた上出のヤバい熱量に、ノンフィクションを読みまくってきた武田が迫る。全5回でお届けする。 第2回<「コミュ力ある人」はむしろ悪人?武田砂鉄が自分を「こんなにピュアな人間はいない」と思う理由>よりつづく *  *  * 武田:学生のころから「悪」について興味があったそうですね。なぜ興味があったんですか。世の中に対する不信感でも?

「コミュ力ある人」はむしろ悪人ではないだろうか<武田砂鉄×上出遼平対談>

『わかりやすさの罪』の武田砂鉄と、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出遼平による初の対談。第2回の今回は、書かれたものや撮られたものを隅々まで見渡して批評する武田と、「ヤバイやつらのヤバイ飯」を現地へ行って取材する上出の共通点について。全5回でお届けする。 第1回<リベリアで出会った娼婦は200円で客を取り、150円のご飯を食べる…悲惨か幸福かを決めるものとは?>よりつづく *  *  * 武田:人の本棚を見るのが好きなんですが、上出さんのツイッターにアップされ

リベリアで出会った娼婦は200円で客を取り、150円のご飯を食べる…悲惨か幸福かを決めるものとは? <武田砂鉄×上出遼平対談>

『わかりやすさの罪』の武田砂鉄と、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の上出遼平による初の対談。「テレビ的なもの」を疑いながら、わかりやすさに抗う物書きに、テレビの境界ぎりぎりを攻めるテレビマンはどう挑むのか。全5回でお届けする。 *  *  * 上出:ぼくは、武田さんの『わかりやすさの罪』を読んで、絶対に戦っちゃいけない相手に真っ向勝負を挑んでいる感じがしたんですよ。つまり「わかりやすさ」というものに対して。 武田:戦っちゃいけない相手、ですか。 上出:ぼくは、わ