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バビロン レビュー

現在公開されている映画「バビロン」を見に行きました。思ったことを書いていこうと思います。

これはサイレント映画からトーキーへ移行するハリウッド黄金期に映画業界で夢を叶えようとする男女の栄枯盛衰を描いた物語。

時代が変わる中で、1人の成功というのはそう長く続かない。だが、長い歴史の中で作品として残り続けることができる。100年後にだって、スクリーンがあれば蘇る。そういう長く続くものこそが、映画の本当の価値なんじゃないか。俺はそういうものを作りたいんだ。
主人公のセリフに重ねるように、デイミアン・チャゼル監督が語りかけてくるような気がした。

ここまでが直感的に感じたこと。
だが、それとは別に違う見方がでてきた。

この作品では映画の価値を伝えると同時に、
映像の価値としても訴えてかけてるのではないかと思ってきたのである。

つまり、デジタル(動画)へのアンチテーゼである。

今は一億総クリエイター時代で誰もが気軽に創作できる時代。
YouTubeやTikTokで簡単に動画が作れて、反応もすぐにくる。iPhoneを使えば映画だって撮れる。
しかし、それらはCDやビデオにしない限り、
データ上にしかない。もし天下のGoogleさんの不具合でデータが消えれば、存在しないも同然。
デジタルは残らないのである。

映像が生まれて消えていくこの時代に、
「消えていく映像に価値はあるの?」と暗に言ってるような気がするのは私だけでしょうか。
これは裏を返せば、物として映像を残すことが大事だと言っていると思う。子どもの動画や友達の動画でさえも。


実際に監督は「セッション」「ラ・ラ・ランド」から本作まで、徹底してフィルム撮影にこだわっている。

「ララランドのインタビュー」
"正直に言うと、私は大半の物語はフィルムで撮った方が良いと思います。フィルムは依然として優れたメディアだと思います。デジタルは大きな進歩を遂げていて今後も進歩するでしょうが、フィルムが存在し、それが芸術的に何らかの意味を持っている限り、私はフィルムで撮影したいのです。"
「バビロンのインタビュー」
"チャゼル監督は「ジェットコースターのように壮大で過激な映像が大画面に映し出される。フィルムだから美しいんだ」と力説している。


そして、この映画が公開されたタイミングにも引っかかる。
バビロンは規模が大きくなるのもあるが、15年前から構想を練っていたそう。それをわざわざなのか今のタイミングで公開した。デジタルが発展してきた今だからこそしたのかもしれない。


このようなこだわりやタイミングから、
本映画は、風のように現れて消えていくデジタルへのアンチテーゼだと受け取ることもできるのではないだろうか。

#バビロン #映画#映画レビュー

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