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愚痴と気鬱とリゾット

なんだかどうも調子がおかしい。
どうにもこうにもやる気が起きない。
やらなくてはならないこともあるのだが、いつものようにはかどらない。

なんだかなあ。

このひと月ぐらい、そんな調子で。
困ったものだ。
「更年期かしら・・・」とつぶやくと、
「え。それはとっくに終わったでしょ」と娘。
はい、すみません、更年期だなんて若ぶってしまいました(笑)。

「気」の巡りが悪いのだ。

中医学では、体の調子自体に問題がなくても「気=生命力」の巡りが悪いことを「気鬱」とか「気滞」という。
まあ、今風に言えば「ストレス」ですね。

コロナ禍で、少しずつじわじわと溜まっていたみたい。
ここ数年は講演やイベントなどの仕事に力を入れていたのに、ほとんどすべてがキャンセルになってしまった。
コロナ感染の収束を見込んで、改めていただいていたオファーも再キャンセル、再々キャンセルとなってしまうし。
3年目に入っていた「美彩薬膳教室」も再開の目処がつかないまま。

とはいえ、このコロナ禍では、筆舌に尽くしがたい被害や苦労に見舞われている方々はたくさんおられて。
闘病に苦しみ、亡くなられた方も大勢いるわけで。

「自分ごときが愚痴を言うのも憚られる」
「もっともっと大変な人はたくさんいるのだから、愚痴を言うなんて」

いままでなら居酒屋にでも集まって、適当に、こまめに、気ままに愚痴を吐き出して、自然とリフレッシュできていた。でも今はぐっと飲み込んで。
それがちょっとずつ澱のように溜まってきてるのかも。

「こんなときこそ、頑張らなくちゃ!愚痴をこぼしてなんかいられない!」

そんな風に思いがちだし、言いがちだけれど、
あまり追い込まないほうがいいかもねえ。
ふう・・・。

幸い、コロナ後を見据えて仕事のプランを一緒に考えてくれるスタッフにも恵まれている。あまりムキにならず、肩の力を抜いて。ゆるゆると、やり過ごすことにしよう。

多くの仕事をうしなった中で思い出すのが若い頃のこと。
まるで売れなかった頃のことだ。
21歳で大学を中退してこの仕事を始めたが、なかなか売れなかった。
どうすれば状況を打開できるのかわからなくて、ただあがいていた。
たまに頂く仕事を自分なりに精一杯やっても、それが次につながらない。
何に向かってどんな努力をしたらいいのか、頑張り方がわからなくて悩んだ記憶がある。

そうそう。
「麻木」という芸名も、そんな悪あがきの賜物なのである。
それまでは本名で仕事をしていたのだが、まるで売れる気配がなく、
そうこうしていたらある人から「姓名判断だと、字数がすごく悪い。この名前では売れない」と言われたのである。
「では、どうしたら(泣)」
「いい占い師を紹介してあげる!」

というわけで藁にもすがる思いで出向いたところで、その占い師さんから授けられたのが「麻木」という名前だったのです。
「木を3つも入れておいた!木が生い茂るように仕事も繁盛するようになるであろう!」というありがたいお言葉とともに、麻木と彫られた印鑑を買いました。その印鑑を100回押すと「麻木」の運勢のターンへ入る!とのことでした(笑)。

でもねえ、100回使うったってねえ。
とにかく押せばいいんだろとばかりに、白紙に100回押しまくったりしたものです。
可愛かったな、あの頃の私は。

あ。鑑定料も印鑑代も、とても良心的な値段、というかむしろ少し安いくらいでした。なので、だまされたりぼったくられたりしたわけではありません。それに、麻木って気に入りましたし。

その後も「麻木の木が生い茂るターン」に入るまでは何年もかかったが、20代の終わり頃にようやく軌道に乗り始め、今日までなんとかこの業界の末席に身を置いているのだからありがたいことだ。

あの若い日々。トンネルを抜ける日は本当に来るのかと、悩んだ日々。
でも今こうして生きているのだから、今のこのトンネルもいずれきっと・・・。

おお。
今日は立春か。スプリング、ハズ、カム。
陰の中にも必ず陽の芽がある。
さあさあ、どっこいしょと、そんな感じで。

ところで数年前、妙なことに気づいた。
「麻木」とググると、なぜか中国語のツイートがズラズラ並ぶのだ。
薬膳を学び始めて、その謎が解けた。
薬膳学校では土台の理論として中医学を学ぶのだが。

そのテキストにやたらと「麻木」とでてくるではないか!

「麻木」・・・。それは・・・。
「四肢の痺れ」のことだったのだ!
麻酔とか麻薬とか麻婆とかの「麻」。
あのツイート群。あれは中国の皆さん方が「手足のしびれの悩み」について語り合っていたものだったのだ!

ということは?
「麻木久仁子」は「痺れ久仁子」?
あはは!これではアジア進出は難しそうだ。

さて、この歳になると手足の痺れはよくあることで、実は私も手の痺れに悩まされた時期があった。ちゃんと病院で診察を受けて、リュウマチなどの病気から来るものではないとなれば、薬膳的には「水の流れの滞り」を原因のひとつと考える。体内の水の流れが滞り、むくみが生じると関節などの節々に痺れが出るのである。

そんな時お勧め食材の一つがハトムギ。
たくさん茹でておいて、1回分ずつに小分けして冷凍しておくと便利です。
サラダに入れたり、スープに入れてもよし。チャーハンに加えても。
いろいろとちょい足しします。

気を巡らせて気鬱を解消する蕎麦の実のリゾットにハトムギちょい足ししてもいいかな。
気と水の巡りを同時に改善する組み合わせになりますね。

ハトムギは生薬名を「薏苡仁(ヨクイニン)」といい、漢方薬にも含まれています。むくみ取りだけでなく、肌の不調にも良いいわゆる美肌食材でもあります。冬の乾いたお肌にもよし。
一番手軽なのはハトムギ茶。いつものお茶に変えて。

立春とは言ってもまだまだ寒い。
みなさんもくれぐれも体と心を労って。気をつけてくださいね。

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