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女の眉毛と歳の重ね方

今年もあっという間に12月、師走だ。

今年は幸い、家族に病人が出なかった。ありがたいことだ。
というのも、このところ毎年のように入院騒ぎがあったからだ。冬になると多くなるという脳卒中だが、妹が脳出血、母が血管が詰まるほうの脳梗塞だった。いずれも対応が早かったことが幸いして命の別状はなかったが、ひやっとした出来事だった。今年はコロナの対応で病院の体制が逼迫していると聞く。救急医療体制も厳しそうだ。もしいま何かあったら去年や一昨年のような万全の医療を受けられたかどうか・・・と思うと怖くもなる。コロナのみならず、病気や怪我にも出来る限り注意しながら過ごさなくてはと思う。

ところで、一昨年の今頃。救急搬送されたのち、絶対安静期間を終えた母。なにしろ突然の入院だったから下着から寝巻きから歯ブラシから、とにかく身の回りのものを何も持って行っていなかった。そこで私が色々届けることになったのだが、一通り必要なものを聞いて、最後に「まだ何かある?」と聞くと。
急にモジモジと照れ臭そうに顔を赤らめて・・・・

「アイブロウペンシル持ってきてほしい・・・」

一瞬何を言っているのかと思いました(笑)。一人で病室に寝ていて、面会も家族だけなのに、なんでアイブロウペンシル?
「だって先生や看護師さんの前で、眉毛がないのは嫌っ!」

まあたしかに眉ががあるとないとでは結構人相が違ってしまう。病院では顔色も診察のポイントだろうから化粧をするのは良くないだろう。が、そこまで言うなら眉毛くらいはいいか、ということで次の日持って行きましたよ。いやはやそりゃあ嬉しそうに、早速眉毛を描いていました。そうね、眉毛を描いたら病人とはいえ表情が明るくはなりましたね。よかったよかった。

で、去年の今頃。今度は妹である。会社の同僚の方が異変にいち早く気付いて救急車を呼んでくださったおかげで、こちらも幸いことなきを得た。
が、会社から病院直行、だったのでやはり身の回りのものがない。落ち着いたころあいに聞くと、あれこれ日用品だの、年末の様々な支払いのことだのを一通り私に頼んだのち、これまたちょっと恥ずかしそうに照れ臭そうに・・・

「あと、アイブロウペンシル持ってきてくれる?」

お前もかっ!(笑)
眉毛、そんなに大事かっ!
「だって眉毛がなかったら、情けない気持ちになっちゃうもん」
と切なく訴えるので、持って行ってあげました。妹もすごく嬉しそうに、すぐにその場で眉毛を書きはじめましたよ。うんたしかに眉毛があるのとないのとではぜんぜん違う。病人とはいえ、生き生きと見えた。

女のオンとオフのスイッチは眉毛にあったのか!「こんな時に眉毛気にする?」と思ったのは私の不見識であった。まあ、母も妹も「眉毛なしに人様の前に顔を晒してなるものか!」という思いがあるうちは、生きる力もあったということなのだろう。ぎゃくに眉毛なんてもうどうでもいいと思うようになったら危ないということだ。

ふと見れば26歳の娘が、ばっつんばっつん毛抜きで眉毛を抜いている。
「ちょっと手入れしないと一本眉になっちゃうんだもん(怒)」
そう、娘はそんなところだけ私に似て、毛深いのである。私も若い頃はそれが悩みの種で、眉毛やらうぶ毛やら手足やらVゾーンやらと、年中、全身の毛を剃ったり抜いたり引き剥がしたりしていた。つるっとした肌の人が羨ましくて、手入れしながらいつも忌々しい気持ちでいた。
今は娘が、洗面所にムダ毛ケアのグッズを並べまくって奮闘している。

が、娘よ。そんなに毛が忌々しいのも実は若いうちだけなんだよ。若い頃は眉毛がゲジゲジ、ボサボサなくらい生えていた私も、ふと見ればいつの間にか眉毛がほとんど生えてこず、ついでに言えばまつ毛も半分くらいになっているので、化粧を落とせは平安貴族みたいなんだよ。全身あんなに旺盛に生えていた夏の空き地の雑草のようだったムダ毛も、今は冬の禿山のようなんだよ。娘よ。あんまり抜きすぎると、早めに枯れるよ。少しは育てる気持ちも持っておくほうが・・・。
と言いかけたがやめた。若い人には若い人にとっての、大事なことの優先順位があろうというものだ。

そして、我が家の非常用持ち出し袋の中には、懐中電灯だの非常食だの水のペッドボトルだの軍手だの救急手当て用品だのとともに・・・。
どんな非常時においても必要な備品として、アイブロウペンシルが入れられることになったのである。万が一のとき避難所に身を寄せるような事態になってもアイブロウペンシルは配られないと思うからねえ。入れとかないとね。

それにしても、若い時には歳をとった自分なんて想像できないものだ。
容姿が衰えるのは仕方のないことではある。だが、せめて「より良く歳を取りたい」と思う。東洋医学では「先天の精」といって生まれながらにそれぞれが持っている生命力と、「後天の精」といって食事や運動などの日ごろの養生で培われる生命力が合体して、体を生かすと考える。先天の精は自分ではどうにもならないが、後天の精は心がけだ。薬膳でアンチエイジングといったら、養生によってより良く歳をとることを意味するのだ。

そんな薬膳でアンチエイジング食材というと、まず黒ごまが挙がる。各種ビタミンやミネラルを豊富に含み、最近ではアンチエイジング栄養素としてセサミンがよく知られるようになった。抗酸化作用があるという。肌細胞の酸化も防ぐとか。
薬膳で言い伝えられてアンチエイジング力が、西洋医学で認められたというわけですね。白ごまと黒ごまがあるが、薬膳ではどちらかというと黒ごまがシワやたるみなどの老化防止に、白ごまが肌の渇きに良いとされている。
いずれもせいぜいたっぷり摂りましょう!

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今日は黒ごまあんをご紹介。
ごまはそのままだと消化にくく栄養素を十分とれないので、ペーストやすりごまを使います。

炒り黒ごまの軽くすったのと(すり鉢がなければ市販のすりごまでよい)市販の黒ごまペーストを大さじ1:大さじ2位の割合で。といっても、製品によって黒ごまペーストのかたさがまちまちなので、様子を見て割合を変えてください。だんごに載せるならすりごまの分量を増やしてかために、ヨーグルトやアイスにかけるならすりごまを減らしてゆるめに仕上げます。

さて、続いて(ペーストが甘みが入っていないものなら)砂糖を投入。味見しながら好みで好きなだけ入れます。砂糖の分量によってはかたくなるので、その時は少しお湯を足してのばしながら混ぜていきます。
そして塩を少々。醤油を小さじ1/2くらい。みりんも同じくらいちょろっと。

今日は白玉団子に乗せた。おいしいわ。黒ごまがたっぷり食べられる。トーストに塗ってもいけますよ。

さあて。まだまだ頑張るわよ!

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