朝霧 レン

古い音楽を愛でたり、絵を描いたり、言葉を並べたりします。たまにギターもポロロン

朝霧 レン

古い音楽を愛でたり、絵を描いたり、言葉を並べたりします。たまにギターもポロロン

最近の記事

詩「印度紀行」

大正九年、脈絡。 メロウ、溶けかえる陽 ほつれと思える純米吟醸 懐かしき顔ぶれ、口も利かぬ そのうち狂いだす 気ばかりが狂いだす 「ここは印度、昔も今も!」 闊歩する背中、包む暮色

    • 詩「母性たる家」

      おいで おいで。 ——これはカカオの匂いだね。 いっしょにハンケチ枯そうか。 こうして、このまま抱いてやろう。 私の母性で、抱いてやろう。 家がそんなにも苦しい? ——家は空間、血。 それじゃあ楽にはなれないよ。 キミが家を生まなきゃならぬ。 ——これはココアの匂いだね。 感じてごらん、音楽を、私を。 キミは思う、あなたこそ家と。 家はいくつあってかまわぬ。 キミがあそこへ、行ってもかまわぬ。 おいで おいで 手がこんなにも冷えている。 抱いて

      • 散文「ペンネームの由来」

        ぼくの名前は、朝霧レンです。 秋、明石へ行きました。 父と母が道を違えたのも十何年前、 今回は父と初めての遠出でした。 父の大きなバイクの後方にまたがり 初めて受ける刺激的な風の中、やはり沸々と考え事は湧いたのであります。 (先日の投稿で言及したように、) わたくしはこの夏、目的がありました。 もう死のうという、目的がありました。 そして、同じくして出会った人物の訃報を聞いたのです。 あの人が車で乗っけてくれた道を、 奇しくもこのバイクで通ったわけです。 泣きながら

        • 人はいずれ死にます、僕は僕を遺します。

        詩「印度紀行」

          散文「前のめりで生きろ」

          昔の人はえらかった____ 1で10を語るのは疎ましいが、 この傾向は実際にあるのだと思う。 スマホのない時代、 それは時間の消費質もさることながら 何よりも「やってみなけりゃ」のバイタリティがあった。 調べりゃポンッと正解の出てくる我が世代にとって なにか疑問が起きれば、「知ること」で解決する。 "昔の人"はそうはいくまい。 他人に聞くことはあれど、結局は「経験する」ことで前へ進んだだろう。 ここで、言及しておきたいこと、 僕は『経験こそが人間を分厚くする』と信じて

          散文「前のめりで生きろ」

          詩「概念:ディレッタント」

          おまへは ”概念” になりたがる、 そんなに床(とこ)につっぷして。 『僕はもう疲れてしまった』 翳りに甘えた唇が、かすかに動くさまが見えた。 おまへは "概念" になりたがる、 今まさに、宿すようになりたがっている。 『僕は言葉がうらやましい』 たっぷりこさえた情感を、湿らすようにつぶやいた。 おまへは "言葉" になりたがる。 わたくしの初恋は言葉でした。 いつごろかなんて覚えていません。ただその感触のみが残るのです。 思へば、昔からよく書き物を致しました。すこ

          詩「概念:ディレッタント」