俺独自のゲームワールド[俺独ゲー]3-3

俺は今、さっき空間魔法を使ってきた魔族、ベルジュと対峙していた。空間魔法により全員が分断された為、頼れるのは自分のみ。みた所ベルジュは武器を何も持っていないように見える。空間魔法はさっきの様子だと黒い穴から離れれば吸われる事も無さそうなので警戒すべきは空間魔法だろう。ベルジュはこちらの様子を窺いながら呟く。
「知っていますか?界域を制御している者はその界域内ならば界域の守神の力を少し使用できるのですよ。」
刹那、ベルジュの体が黒穴に飲み込まれ俺の背後にいた。
「なっ…!」
「[サラマンドロー]」
物凄い勢いで炎が噴射し、俺は全身に炎をあびた。
「意外と呆気なかったですね。もう少し期待をしていたのですが…、さて、他の方の援護を」
「(超音波スキル)[超騒音(スーパーラウド)!!!!]」
俺は大地スキル欄に増えていた[岩防御(ロックガード)]を発動し、腕だけしか変えられないが岩の防御力を得ていた。そのスキルでガードしてから煙で見えない時に超音波スキル[超騒音(スーパーラウド)]をベルジュに直撃させた。
「ぐぅっ!!何っ!?(キィィィィィーーン)(くそっ、耳にこの騒音が響いて音が聞こえないっ!!あの炎を喰らって生きていたのか…!!)」
「さて。俺を馬鹿にした事後悔するんだな。」
ベルジュは耳を抑えながらケイゴを睨みつける。獲物を捉えた獣のように。
「(キィィィィィーーン)(常に鳴っていて何も聞こえない!!いつになれば治まる!!!)貴様、殺す…!!」
本性表したな。ベルジュはゆらりと立ち上がると空に手を伸ばした。まるでそこに何かがあるかのように。
すると黒い穴が開き中からどこから持ってきたのか金色の棒が黒い穴から伸び、ベルジュの手に渡る。
「それがあんたの武器か。でもそんな棒じゃ俺を倒せるかな?」
「ただの棒ではない。無限に伸び続ける棒[無間棒](むけんぼう)だ。」
そう言いながら棒を振り回す。ただ奇妙な事に先端が空間魔法に入ったままで出てこないのだ。
「ん?なんで先端が……(ドスっ)うっ!」
突如背中から勢いよく何かに打たれた。後ろを振り返ると空間魔法からあの無間棒が伸びて俺の腰に当たっていたのだ。
「(そうか…!先端を出さずに空間魔法に留める事でいつでも反対側の先端を出す事が出来る!だからあの棒は無限に伸びるのか!!)」
打ってきた棒は空間魔法に素早く飲み込まれ、次の瞬間には横腹を打たれた。
「ぐっ!」
後頭部




右腕
左胸
どこから棒が伸びてきてどこを狙った一撃なのか分からないから避けられない。すると俺に攻撃を続けながらベルジュは高らかに声を上げた。
「貴様のようなただの人間がエルガゴーム様の邪魔をできるはずが無い。ましてはこの私ベルジュでさえもな!人間の価値とは強さだ!弱ければ何もなし得ない!弱いやつはこの世に必要ない!分かっただろう!今この瞬間にな!」
「………」
「そうそう、貴様の部下のキースという男はこの屋敷に連れてきて少しばかりの抵抗をしていたが、虚しい攻撃すぎて話にならなかった。今は地下の牢で監禁しているが、貴様、あの雑魚は仲間に必要か?あんな価値のない人間は要らないだろう。」
「……あ?」
「所詮、素人の集まりというわけだろうが、あんな使えない奴は切り捨てるべきだ。まあ貴様も見ての通り弱者だから変わらないがな。」
「弱者だと…?」
私は今までたくさんの弱者、雑魚、無価値な人間をたくさん見てきた。魔力の弱い者や戦闘能力が低い者、運動神経が悪い者、そのような者は無駄なだけだ。そして目の前にいるこのケイゴという男。こいつも無価値だ。見たところ魔力もキース以下。筋肉量も一般並、観察力はあるようだがそれまで。今も私の攻撃を喰らうしかない。何もできない弱者だ。
「俺の仲間が弱者?」
「ああ、そうだ。」
「じゃあ負けても文句言うなよ。」
何?負けるだと?何を夢見てるんだ。この私がお前のような弱者に負けるわけないだろう。
「それで?どうやって勝つつもりだ?私の攻撃を喰らいすぎて全身あざだらけ。所々出血もしている。そんな満身創痍では私に勝てない、ぞ!!」
そう言って空間魔法の応用で空間魔法に取り込んだものの大きさを歪めて、空間魔法に入っている間は巨大にできる[ビッグメイス]を頭上に落とした。
「終わりだ……………!!?」
「終わり?何が?」
見るとこいつはあの巨大な[ビッグメイス]を避けていた。そして一直線に私に向かっていたのだ。
「…っ!まぐれだろう![エンドレスメイス]!!」
私の空間魔法により大量に増殖させた無間棒で一気に!
しかし[エンドレスメイス]を全て避けられた。
「何!?なぜだ!?」
「超騒音[オーバーラウド]」
「(キィィィィィィィィィィン)ぐわっ!!」
するとケイゴはベルジュの背後に周り、手を犬の形に変えて切り裂く。
「はあっ?何を…」
ベルジュが振り返った瞬間に回し蹴りを顔面に当てる。
「ぐはっ!!」
ベルジュはそのまま後ろに飛ばされ、倒れ込む。
「(な、なんだ!?この反応速度は!?さっきのやつと同じ人間か!?しかし身体能力的な話では何も変化は無い!!)」
ケイゴは腕を人間に戻してベルジュに向かって走り出す。
「馬鹿め!!これならばどうだ!」
ベルジュはケイゴの向かった先に空間魔法の穴を開け、ケイゴを取り入れた。そして空中に空間魔法を開きケイゴを落とす。
「その高さから落ちれば防ぐ術はないだろう!!」
ケイゴは落下しながらポケットに手を突っ込んでスライムのカケラを取り出した。
「[召喚魔法]スライム。」
スライムが手の上に現れた。その直後に
「[モンスター使い]スキル。スライム、俺のことを守ってくれ。」
スライムを床に投げつけ、スライムがケイゴをクッションのように受け止めた。
「何!?今の間にスライムを出してクッションにしたのか!?」
[乱魔法][短時間詠唱]。」
炎、雷、氷、風、土の魔法が同時に発射された。
「はぁ!?」
(ドォォオーーーーン!!!)
「はぁ、はぁ、(空間魔法でいくつかは軌道をそらしたが全部は捌ききれなかった…。それにしてもなんだこいつは…!!いくつスキルを持っているんだ!!)」
「次はこれだ。[アイアンウェブ](シュパーー!!)」
手から無数の糸が出てきてベルジュの体を拘束し、身動きが取れなくなった。
「(!!これは鉄の糸!!くそ!壊れん!)」
「どうした?もう終わりか?まだ試してない技あるんだけど。」
「(……!?)」
「まあいいや。俺の勝ちだ。[サラマンドロー]」
「なぜその技を…!!」
(ボォォオオオオーー!!!)
ドサッ。
ベルジュは死んではいないが熱さで気絶をした。しばらくは動けないだろう。
「よし、何とか勝てたな。」
ケイゴはベルジュの攻撃を喰らいながら自身のスキル欄を見ていたのだ。スキル欄によると使用可能スキルと未使用スキルの2つに分かれていたのだ。使用可能スキルには・モンスター使い・乱魔法・逃走本能・ナイフスキル・大地スキル・超音波スキルの6つがあった。そして未使用スキルには・犬・ドラゴンスキル・短時間詠唱・アイアンウェブ・コウモリ・召喚魔法・飛来の7つがあったのだ。これは使ってなかったから技の表示が無かっただけで発動は出来たのだった。
「まさかバウラドッグやドラゴンのスキルも持ってたなんてな。しかも今のバトルで[サラマンダー]と[空間魔法]も使えるようになった。早く他のみんなのところに行くか![空間魔法]!!」
そう言った途端にさっきの黒い穴が出てきて入った。ここからは俺の独壇場だ!!

3-3 完

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