俺独自のゲームワールド[俺独ゲー]2-4

はぁ、はぁ、なぜ俺が走り出したかというと、いい作戦を思いついたからだ。その作戦はこういうものだ!
1・ミランとキースにゴーレムの足止めをしていてもらう。
2・その間に俺は近くの山に登る
3・コウモリ男をどうにか倒す
あのコウモリ男を狙う理由は主に2つ、1つはコウモリ男がいなくなる前に[見学]すると言っていたことだ。つまりまだ近くで見ている可能性が高い。そして2つめはミランの言っていた、ゴーレムは召喚か生成しないと生まれないということだ。つまりコウモリ男を倒せばゴーレムも消失する可能性があるというわけだ。
「どこに行きやがった?あのコウモリ野郎!」
あいつは空を飛んでいた。それならもしかしたら山の上かもしれない。近くの小山に近づいた。よし、試してみるか。
「[大地]!足突起!!」
すると足の裏にドリルのような尖った突起ができた。
「よし、出たな。とぉっ!」
足突起って名前はダサいが、山登りには最適だ。そう、この突起を壁に突き刺せば…
「よし!固定されて壁にくっつけた!」
ロッククライミングのように足を山の壁に突きさして壁を登っていく。このままドンドン上がっていけば…
「(ドォーン!バコォン!!)」
「!!ミラン!キース!」
2人がいた所を見るとゴーレムが腕を振り回して木をバッタンバッタンと薙ぎ倒していた。2人は無事だろうか…?
「ケイゴーーー!!!!」
「……!」
キースの声が聞こえてきた。
「俺たちは大丈夫だーー!!!」
その言葉を聞いて安心した。俺は俺のやるべきことをやる…!かなり体力を使うがどんどん登っていく。俺がやらないとダメだ。手を切ってしまったが、キースは背中を折ってる。こんなことでは諦めない。山を登り終えるとそこにはコウモリ男が立っていた。
「!?どうやってここまで……!?」
「はぁ、はぁ、俺を見くびってたのか?ここまで来れないとでも思ってたんだろ?はぁ、てめぇをぶっ飛ばしたらゴーレムはどうなるのかな?」
「ギクっ…!」
その反応……!やっぱりそういうことだな!
「趣味の悪いことばっかしやがって!!ぶっ飛ばしてやる!コウモリ野郎!!」
「[超音波]!!」
突如口を大きく開き、目に見えない音波を放ってきた。俺はそれを直に受けてしまった為耳がつんざけるかと思う程うるさかった。
「なん…だ…!うるせぇ…!」
「ケヒヒヒヒ!単体では攻撃手段が無いとでも思いましたかぁ!?[超音波]!!」
「ぐ……ぐぁーー!!耳がぁー!!」
耳を塞いでても耳を貫通して聞こえてくる。しかも体が揺れてまともに立ってられない。ふらついたら山から落下しそうだ。見えない音波に当たった瞬間に脳まで響く爆音が聞こえてくるのだ。避けない限り防御不能というわけである。耐えられてもあと1、2回だな。
「見えない…攻撃だと…[逃走本能]も無効か…」
確かこいつは魔法バリアも付いていた。これでは近づいて攻撃もできないし、魔法での攻撃も無理ということだ。
「ケヒヒヒ、お前には攻撃手段がなさそうですねぇ。わたくしに魔法を放てる訳でもなさそうですし。ここにきた意味がなかったようですねぇ!ケヒヒヒヒヒ!」
くっ、こいつ…!…………ん?今こいつなんて言った?魔法を放てる訳でも無いだと?魔法が撃てたら何だ?さっきみたいに避けられるんじゃ……
「おい!お前の名前はなんていうんだ!勝負するなら互いの名前くらい知っときたいからな!」
「ほう、意外と誠実ですねぇ。いいでしょう。わたくしはラウヴァン。殺戮の魔人エルガゴーム様の直属の家臣です。ここに来たのもお前の強さを確認せよとエルガゴーム様本人に指名され参上したまでですよ。」
「魔人……!!そうか……納得の強さだな…」
「そうでしょう!そうでしょう!このわたくしの能力[超音波]と[召喚魔法]この2つはエルガゴーム様の家臣が相伝の能力として持っているものなのです!弱いはずがないのです!」
よし、乗ったな…
「スキル2つとも強いな……勝てる気がしないぜ…これ以上スキルはないよな?」
「ええ、良かったですねぇ。これ以上私が強かったら勝ち目が本当になくなりますからねぇ!」
「あぁ、良かったよ、2つしかない事知れて。」
俺はそう言い、ラウヴァンに向かって走った。
「ん!?なぜこっちに走ってくるのですか!?これを喰らえばどうしようもない事は分かってますよね?[超音波]!!」
俺は大地スキルの足突起を出し、地面に突き立てる事で吹っ飛ばされずに済む。
「っ!?なぜふらつかない!?」
「うるせぇし、耳はぐわんぐわんしてるけど…今だ…![乱魔法]!!」
俺はミランから貰ったこのスキルを発動した!やっぱり使えるようになってる!!
「パキパキ……ヒュンッ」
氷の刃を形成して飛んでいった。
「!まず…」
グサッ
しっかりと魔法が当たった。こいつのスキルは2つしかなく、魔法バリアなんてたいそうなものは無かったのだ。さっき魔法が当たらなかったのは、超音波スキルで軌道を揺らして当たらないようにしていたのだろう。しかし今超音波を先に出していて連続で発動できなかったので喰らうしかなかったという事だ。
「グァぁ!!わたくしのスキルの弱点を見抜いたですと!?お前のスキルは何なのですか!?」
「俺?俺のスキルは[奪取]スキルだよ。」
「は?何ですかそれは?…っ、とにかくこの事をエルガゴーム様に報告しなくては…!さらばっ!」
「逃がさねぇよ![ナイフ]スキル!パワーダガー!」
「っ!?ギャァーー!!!」
さっき走ってくる前にキースからナイフを借りておいたのだ。剣スキルはないからたまに借りるようにしよう。そして、ラウヴァンは光の粒子となって消滅した。よし、倒せたか。キースとミランは大丈夫かな……
「おーーーーーい!ケイゴーーーーー!どこに行ったんだーー!!」
「あっ!おーーーい!俺はここだぁーー!!」
ケイゴがミランに引き摺られながらこっちに来ていた。
「ちょっと!大声で叫ばないでキース!耳がおかしくなりそうよ!」
「すんません…」
耳がおかしくなるって……ん?
「ちょっ……イゴ!…………ろ!危な…!」
(ん?何言ってるんだミラン?超音波くらいすぎて耳が悪くなったのかな?途切れ途切れで何言ってるか分から)
バコッ
「ぐあっ?」
――数分前に戻る
「…っ!このゴーレム思ったより素早いわね…!」
「グゴゴゴゴ……グオッ!」
ゴーレムの腕を振る速度が速く、近づきすぎると致命傷を受けてしまう。遠距離から乱魔法を撃ち続ける。
すると、
「グゴゴゴゴ!ハイジョ!ハイ…………」
「?何だ?どうした?」
ゴーレムが光に包まれて消えたのだ。
「あっ!もしかしてコウモリ男を倒したのかも!」
「そういうことか!!よし!俺をケイゴのところまで連れてってくれ!」
「自分で歩きなさいよ。」
「俺様の背中の傷見てくれよ!ほら!今にも死にそうだろ!喋れてるだけ奇跡なんだよ!早く連れてってくれ!」
「あーー、はいはい。」
よくよく見ればただの打撲だった。けど後がめんどくさいので引き摺る事にした。
「ぎゃぁーー!!いたいたいたたたーー!!ちょっ!やめっ!引き摺らないでぇ!」
「うるっさいわねぇ!ちょっと黙ってて!」
「おーーーーーい!ケイゴーーーーー!どこに行ったんだーー!!」
「あっ!おーーーい!俺はここだぁーー!」
ケイゴが小さい山のてっぺんにいた。
「ちょっと!大声で叫ばないでキース!耳がおかしくなりそうよ!」
「すんません…」
でもケイゴが無事にコウモリ男を倒せて良かったわ、ケイゴも元気そうだし……っ!?
「ちょっとケイゴ!後ろ!危ない!」
ケイゴの後ろに先程までいなかった髭面の男が立っていた。ケイゴはフラフラしていて、私の声が聞こえていないようだった。後ろの男はケイゴの頭を後ろから殴って反動によりケイゴが崖から落ちてしまった。
「ケイゴ!!ぐえっ!」
キースを放り投げてケイゴの真下に走る。
「持っていて良かった!クッションフラワー!!」
野宿するときに使えそうな投げるとクッションのように膨らむ花、クッションフラワーを投げてケイゴの下に出した。
「ケイゴ!大丈夫!?」
キースもほふく前進して近づいてきた。
「頭から血を流してるけど死んじゃいねえな。急いで街に帰ったほうがいい。」
「でもあいつは?」
崖の上から眺めている男は不敵な笑みを浮かべたまま動いていない。
「貴様ら…ラウヴァン1人にここまで弱いとはな…ラウヴァンが強かったか、貴様らが弱いか…どっちだ?冒険者共。」
「…?ラウヴァンっていうのはさっきのコウモリ男ね?」
「そうだ。」
「って事はあんたがラウヴァンを仕向けた元凶ね。」
「いかにも。俺が貴様ら、特に今気絶している男の強さを量りたかった者だ。しかしジライゲンがこのガキにやられるとは…衰えたな。昔だったらもっと暴れられたというのにな。」
「!?ジライゲンって大地の魔人のことだよな!?お前ジライゲンの名前知ってるって何もんだよ!!」
男は崖の上から見下しながら声を張り上げて言った。
「俺は[殺戮の魔人]エルガゴーム・マサークル。それだけで分かったか?貴様らは」
その瞬間、周りの木から骨の魔物、ゾンビ、小型のドラゴン、悪魔、ゴブリン、スライム、首の無い騎士などが30体以上のモンスターが姿を現しケイゴ達3人を取り囲んだ。
「詰みだ。クククッ。」

2-4  完

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