俺独自のゲームワールド[俺独ゲー]1-1

 俺はゲームが好きだ。暇があればゲームをしている。そんな俺の名前は谷口圭吾。高校2年で、趣味はゲーム。特技はゲームプレイと人間観察だ。人間観察といっても相手の動きを見て次の行動を今までの動きから予測して楽しむというものだ。ちなみに今は絶賛学校をサボってゲームをしている。真面目な人はこの紹介を聞いただけで嫌気がさすだろう。しかし!俺はゲームをすることに意義を感じている!!なぜならゲームをすることで日常生活の中で普通は気付かない発想が出てくるからだ!!
読者の中にはもう気づいているものもいるだろう。
そう、彼、谷口圭吾は………………ゲーム廃人であった!!!(ゲーム廃人とは、ゲームをしすぎて現実と空想の区別がつかなくなっている人のことだ!)
ピロン。
「ん?母さんからRINE?まさか学校行けとかそういう…………???」
そこには「・牛乳 ・卵 ・じゃがいも ・玉ねぎ ・カレールー ・にんじん ・うどん」と。
「いや息子のRINEをメモ帳代わりにすんな!!」
呆れたが、自分も学校に行ってない身なので何も言えない。家族全員自分が学校を休んで(不登校)いることを気にしていない。俺が言うのもなんだが、何も言わずに放置というのはそれはそれでどうかと思うのだが。
「はあ、暇だなぁ…爆シナでもやるか。」
爆シナとは現在人気沸騰中のゲーム[爆進!シナリオぶっ壊せ!]の略だ。このゲームはただのRPGではなく、基本となるゲームのシナリオを途中途中にある選択肢によってどんな風にでもシナリオが変わるため、人によって仲間もボスも、なんといってもエンディングまで変わるという斬新なゲームスタイルから大人気となっている。
「さて、まだチュートリアルしかしてないから早く進めるか。」
洞窟に入ると、目の前に美形の騎士が現れた。
「やあ!僕の名前はシュバルツ!君の名前はなんと言うのかな?」
「お、ゲームあるある発動!チュートリアル中に聞かれる名前だな。そうだ、おもしろいこと考えたぞ。」
そこで俺はこう打ちこんだ。
「俺の名前はシュバルツ。よろしく」
おんなじ名前にしたらどうなるんだろうか?
「え?君もシュバルツというのかい?でもややこしくなるから他の名前はあるかい?」
いやいや名前の変更求めるとか現実だったらやばいだろ。なら…
「大丈夫。お前みたいな変な名前じゃないから安心してくれ。俺は圭吾だ。」
これならいいだろ………
「な………!何だと!!君は僕の事を馬鹿にするのか!?許さん!君の首を落とす!!」
キレた!?
     ブゥン
突然ブゥンという音が鳴った。なんだ?
とったったったったったったったっ…………
「は………?」
目を開けるとシュバルツが俺に向かって剣を構えて走って来た。
「おいおいおいおい!!」
こんなの聞いてねぇ!!!
「ちょっと待て!一旦落ち着け!」
「落ち着いてられるか!!僕の母から貰った大事な名前を君に侮辱されたんだ!許せるはずがないだろう!!」
「すまんかった!その事に関しては本当に冗談だったんだ!本当にごめん!許してくれ!だから斬らないで!」
「むぅ………まぁ、そこまで謝るなら許そう。僕も騎士だからな。非道な真似はしたくはない。ただし、次に僕の名前を侮辱したら覚悟しろよ。」
「ああ、ごめんな。」
おいおいおいおい、どうなってんだ!なんでさっきまで家でゲームしてたのに、今目の前にこいつがいるんだ!?まさかこれは異世界転生ならぬゲーム召喚か!?
[谷口圭吾がログインしました。]
「ログイン?」
「なんだ、今の声は?谷口圭吾というのは君のことだよな?どういう意味だ?」
シュバルツにも聞こえているようで、ログインという言葉に反応している。ログインという事はゲームに入ったのは間違いないけど、ゲームに自分自身が入るってどういうことだ?
そんなのしらんぞ。だけどシュバルツに説明すると分からなくなりそうだから話さないでおこう。
「ああ、えっと、今の声は俺の精霊で、俺の事をお前に紹介したんだよ。」
「何!?精霊だと!?精霊なんてものは王族しか契約を交わせないと聞いていたが……まさか!!」
「いやいやいや!王族なんかじゃないけど精霊と契約できちゃったんだよ!決して王族なんかじゃない!」
やべえやべえ、王族なんかにされたら本物の王族にバレた時に「王族を騙る怪しい者め!処刑だー!!!」
ってなるかもしれねぇ!
「まず……精霊なんてものは見たこともない……君は一体……。」
「(ああああまずい!)全然普通の一般冒険者です!」
怪しまれたら終わりだ!
「そ、そうか。なら別にいい。そうだ。ケイゴ、近くの街に行った事はあるか?ハマリングの街に。」
「ハマリング?いや?」
「君の服装的にまだ初心者冒険者だろう?君のような初心者冒険者ならハマリングの街くらいの単価が比較的安い街に行くといいよ。」
こいつ今の一瞬で俺の服装とハマリングの値段を馬鹿にしやがった……こいつ人の事言えねぇよ…
「分かった…ありがとな。」
「あ!そうそう!道中のモンスターには気をつけるんだよ!特に目が血走った犬のモンスターは僕レベルの冒険者でも勝てないから!」
「お、おう。気をつけるよ」
そうして、洞窟を出た。
「はあ、まさか自分で歩く事になるとは……。俺はこれからどうすれば…。」
俺は本当にどうすればいいのだろうか…。俺の物語がここから始まる。

1-1 完

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